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英語を勉強するもう1つの理由と高齢者とオーストラリアの繋がり

私は現在英語を学んでいます。それは一緒に働く外国人労働者のリアルな考えが知りたいから。ともう一つ理由があります。

私は現在毎月1回skype(ビデオ通話)を通じて老人ホーム同士の交流会を行なっています。

きっかけは1年半ほど前、日本在住のあるオーストラリア人から母国の老人介護施設が「日本の介護施設と交流してみたい」という企画の持ち込みからスタートしました。

当初は私が担当というわけではなく、何人かの会社の役職者でローテーションという形で行なっていましたが、何回か行っていくうちに私が担当ということになっていました。

とは言っても、介護施設による国際交流会・・・

正直、皆戸惑いました。

施設に入居されている高齢者に必要なのか?

入居者自身にニーズがあるのか?

初めての試みな上に前例がなく、モデルがないことで、イメージもつきにくい企画でした。

実際1回目の交流会ではとにかくまずはお互い挨拶ということで、事前に作られたスクリプトを入居者に読んでもらうという内容でしたが、挨拶以外は言葉が理解できないため、画面越しにお互い何を話しているのかわからない時間を過ごしました。中には、国際交流に心を踊らせ、最初から最後までハイテンションな入居者もおられましたが。

2回目からはお互いの国の文化を英語を使って紹介し合うという形で行いました。こちらからは、日本の四季のこと、行事のことや、中には昔和菓子のお店をやっていた方が昔使っていた和菓子作りの道具を持って来て、お話をしてくれるということもありました。オーストラリアの方からは、毎回歌を披露してくれる人もいます。回数を重ねるごとにお互いの関心は深まり、内容も濃い物になっていきました。

しかし、交流会という視点においては、自国の紹介は一方的なスピーチになってしまい、会話にはなかなか繋がらない、という感じでした。中には途中から寝てしまう方もいました。

ということで、お互いの質問タイムやゲームを行うことになりました。

画面越しのため、じゃんけんゲームや輪投げゲームなど実施したのはシンプルなものでしたが、やはり勝負事となると一瞬で国境を超えます。お互い画面に夢中になる表情が伺えました。

自国の紹介もクイズ形式にしてみると、ゲーム感覚で楽しむことができました。

今では英語で自己紹介をしてくれる利用者もいます。(カンペを読みながらですが)

現在、交流会は皆が楽しみにしているイベントとまでは言えませんが、そこそこ楽しめる企画にはなっています。

私自身も最初はやらされ感が強く、なんとか1時間ほどの時間を無事にやり過ごせればと思っていましたが、徐々に前向きな気持ちになり、いつしか画面の向こうで会話するスタッフ、利用者同士の英語で話される会話をリアルタイムで理解したいと考えるようになりました。

本当の意味で豪州と日本の介護施設の交流の架け橋になるために、英語を理解し話せるようになりたいと考えています。

また、この交流会を通じて改めて発見できたこともあります。

ある時、向こうの女性利用者が「来年、日本に行ってオリンピックを観戦するのが今の夢です」と話をすることがありました、

高齢者対象の介護において、レクリエーションを考える時、回想法や音楽療法など、過去に目を向けその人が馴染みのあることをヒントにすることが多いと思います。

しかし、将来に目を向け何かを企画することはそんなに多くないと思います。特に施設においては、安心を築くことはあっても、将来に何かを期待することはなかなかできない現実があります。

馴染みのあるものには安心感を覚えます。

触れたことのないものには期待感を感じます。

しかし、触れたことのないものにはリスクもつきまといます。リスクが壁となり、行動できないこともたくさんあります。

実際は、期待感を感じている高齢者はいます。昔、CMの中で孫のバイクの後ろに座ることになったおばあちゃんのように、歳を重ねても憧れはあります。

この交流会も、触れたことのないものに触れることのできる機会となり、もしかすると、誰かの期待感に繋がるきっかけになれたのかもしれません。

私もその誰かの中の一人であり、将来交流先の施設を実際に訪問し、直接触れることで交流をさらに深めたいと考えています。