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リン=マニュエル=ミランダを愛でる③ 【古典愛】

生きる伝説リン=マニュエル=ミランダを愛でる第3段!!

ヒップホップをミュージカルにとりいれた革命児とも言えるリンですが、彼のつくる作品は実はとてもとてもクラシカルで、昔からのミュージカルの型に沿った作品なのです!!
ミュージカル界に新しい観客層を取りこみながらも、古参のミュージカルファンをも魅了する、彼の古典愛、過去のエンターテイメントに対するリスペクトに注目した記事になります。

1.リプライズの秀逸さ
ミュージカルの見どころに、リプライズがいかに上手く入っているかがあると思います。

リプライズとは、ある曲(ナンバー)を繰り返し登場させる技法です。
その曲が再登場する時(=リプライズ)、
同じ人物が歌えば、心境の変化や改めての決心を示せたり、
別の人物が歌えば、全くキャラが違っても人として持つ感情が共通していたり、
各キャラの曲を交差させて新たな曲(ハーモニー)をつくりだしたり、
作品全体を通したテーマ性の強調できたり、
といったふうに見どころなのです!
(『レ・ミゼラブル』の“One Day More”なんかは、リプライズがとっても分かりやすいです。)

彼の作品である『イン・ザ・ハイツ』と『ハミルトン』2作で、『イン・ザ・ハイツ』では“Finale”、『ハミルトン』では“Non-stop”が分かりやすいかと思いますが、
特に、『ハミルトン』は、あっちこっちに聞いたことのあるナンバーが散りばめられていて、まるでかくれんぼ、謎解きのように楽しむことができると思います。

これがですね!同じメロディを使用して、盛り上げているのではなく、物語の進行、キャラクターの感情とのつながりが踏まえられすぎているのがとってもすごいと思うのです!!
例えば、『ハミルトン』の“Ten Duel Commandments”と“The World Was Wide Enough”で同じメロディが使われているのですが、
1幕の“Ten Duel Commandments”で、決闘がどのようなものであったかをあえて描いておきます。それによって、何よりの見せ場である最後の決闘シーンで、決闘の説明を不要として、
1幕と同じメロディで、バー目線にハミルトンの様子を語らせる…
すごくないですか?
どう練ったら、こんな風にできるんでしょうか…
古参ファンも、うなるリンのリプライズを、ぜひ楽しんでもらいたいです!

2.ミュージカルに必須のロマンス
恋愛要素は、古典ミュージカル作品の主題であり、現代のミュージカルでも、やはりポピュラーです。リン作品はかかさず、ロマンスを取り入れています。
『イン・ザ・ハイツ』ではNinaとBennyの甘々ラブソング(映画版ではUsnaviとVanessaがメインなかんじですが)、『ハミルトン』では、主役と3人の女性が描かれていて、盛りだくさんです…!


3.過去作、ミュージカルを支えた偉人たちへの深いリスペクト

リンは、純粋に熱烈なシアターファンでもあります。なので、現代までシアターを支えてきた作品や全ての人たちへの敬愛が強いです。 例えば、『オペラ座の怪人』について、Phantomに共感して、「イケメンでない天才作曲家が、音楽で必死に気になる女性の気を引こうとする、めっちゃいい!」と大興奮です。

また、リンは、全編にわたり、ヒップホップを含めた音楽でストーリーを進行させるミュージカルを実現していますが、彼は、「『イントゥ・ザ・ウッズ』の“Prologue”で、Stephen Sondheimが、既に音楽でミュージカル進行ができることを証明している」と語っていました。(出典不明です…すみません)

最近の監督作品『チック・チック…ブーム!』でも、随所にJonathan Larsonへのリスペクトを感じさせるだけでなく、“Sunday”では、レジェンドたちのカメオ出演で、シアターファンたちにとって、夢のような映像をつくりあげています。

彼の作品中では、過去作へのオマージュが出てきがちです。なかでも、わたしが気になるのはシェイクスピアへの造詣です。シアター人にとって、シェイクスピアは必修とも言えるのでしょうが、リンは、とてもシェイクスピアをも意識しています。『ハミルトン』でも、“Take A Break”で『マクベス』を例えに使っています。また、2016年トニー賞受賞スピーチに、フリースタイルを披露することが期待されていた中、彼が発表したのはソネットでした。(ソネットは、13世紀ごろの十四行詩で、シェイクスピアの『ソネット集』が有名)

演劇史にのこる全ての技法を、網羅しきっているのでしょうか…やはり天才です。


目新しさと派手さが目立つリンですが、全ては、大好きな演劇を後世にのこすためであり、リンには、その責任感と演劇へ関われる喜びに満ちていると思うのです。これからも目が離せません!
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


※noteを使いこなせておらず、引用•参照などが不適切な部分、ご容赦ください💦



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