見出し画像

エレファントカシマシの隠れた名盤「風」を久し振りに聴く

私事であるが最近コロナにり患した。10日ほどどこにも行かず自部屋に閉じこもりて漫画など読みふける、まるで10代のような暮らしを送っているうちに、無性に聴きたくなったのがこのアルバム。聴きだしたら止まらずずっとぐるぐるリピートしてしまう、恐るべしEMI時代。沼落ちの頃繰り返し繰り返し聴いた大好きなEMI三部作(俺道、扉、風)の中でも相当に好きな1枚。

1.平成理想主義 2.達者であれよ 3.友達がいるのさ 4.人間ってなんだ 5.夜と朝のあいだに 6.DJ in my life  7.定め 8.勝利を目指すもの 9.今だ!テイクアチャンス 10. 風

久保田光太郎アレンジの4曲(1.2.3.10)はどれも大名曲に仕上がっている。文句なしにかっこいいまたは切ない。今でもライブで現役中の現役。

けれどそれ以外どれも地味なんだけどそれらがまた聴けば聴くほど沁みるスルメ曲。

・4人のしっかりしたバンドサウンドで奏でる宮本人生劇場

・ミヤジにしか書けない深淵で秀逸な歌詞

・ロックだけど単純なrock 'n' rollじゃない。輪唱、コーラス、転調、転拍子で表現するまるで一人歌劇のよう

ミヤジは歌を歌うのは大好きでパフォーマーで歌唱には自信があるけど、作詞・作曲に関してはそれ程的な発言を時としてする。が、このアルバムを聴くとその豊かな音楽的才能と作詞、編曲のセンスまで相当なもんじゃないかと思える。

しかしこれらのいわばマニアック曲たちが、今後もライブで日の目をみることはないだろう。佐久間正英プロデュースの次作「町を見下ろす丘」を最後に、エレカシはエレカシであってエレカシではなくなり、「みんなでつくるエレカシ」となって、再ブレークから怒涛の30周年、ソロ活への軌跡を歩む。より聴きやすくわかりやすくシンプルに受け入れられやすい曲作りを展開してゆく。それは目指したとて成し遂げられるものではないし、このアルバム発売の2004年から苦節20年、長い時間をかけてたどり着いた今の35周年の堂々たるエレカシの姿を、心から喜ばないファンはいないはずだ。

それでも、売れなかったEMI期のマニアック曲たちは、強烈な個性を主張するエピック曲とはまた異なる魅力をもって私の、そしておそらくは多くのエビバデの心をつかんで離さない宝物だ。たまにこうして宝箱を開けてみれば、自分だけに価値がわかる(と錯覚させる)ダイヤモンドの原石のように、あっという間に引きずりこまれてしまう。そしてそれらはミヤジとメンバー達の心のどこかにも、きっと大切にしまわれてるのだと思いたい。

#エレファントカシマシ
#宮本浩次
#風
#EMI期

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?