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バテンカイトスHDリマスターが面白かった話~敵の目の前で炊飯するゲーム~

タイムラインで偶然見かけた「バテンカイトス」、遊んでみたら非常に真面目な王道さと妙にシュールな面白さが共存してとても面白かったので記事にしてみました。
 ※ストーリーの重要なネタバレは含みません。
 ※バテンカイトス2はまだ未プレイのためこの記事では触れていません。
 ※2作目もクリアしました!こちら↓の記事で触れています。




○独自の設定と独自のシステム


「こころのつばさ」や「マグナス」、「精霊憑き」などバテンカイトスには独自の設定があるのが特徴です。
この記事では独自のバトル・ゲームシステムに関わる「マグナス」や「精霊憑き」について書きたいと思います。

・ハマると爽快!「マグナスバトル」


バテンカイトスではあらゆる物をカードに封印し、好きなときに取り出せる技術があります。何かしらを封印したカードを「マグナス」と呼ぶのですが、本作のバトルもこの「マグナス」を使って行われます。これが結構面白い。

マグナスバトルをざっくり説明すると事前に作成したデッキからマグナスを引き、攻撃のターンと防御のターンのそれぞれに適したものを使うというもの。文字に起こすとシンプルですが、やってみると結構判断力が試されます。

例えばただマグナスを使うだけでなく「精霊数(マグナスにかかれている数字)」が同じマグナスだけを使う「ペア」系、1・2・3……といったように数字を並べて使う「ストレート」などが出来るようにすると攻撃力やダメージ軽減力が上がります。一部の役だけ出てくるポーカーといった感じですね。
またマグナスには属性がついているものもあり、敵の弱点をつける属性の場合はダメージに補正がかかって大きくなります。
なお本作では相対する属性(火と水 など)のマグナスを同時に使うと相殺されて弱くなってしまう特徴もあります。
そのため考え無しに選んでいると相殺されまくったせいでマグナスをたくさん使った割にはダメージが大したことない……なんてことも。

さらに事前にデッキで調整できるものの、その状況に適したマグナスが引けるかは運次第のため攻撃のターンなのに1枚も攻撃向けのものがないといった盛大な手札事故を起こすこともあります。そんなこともあってか戦闘はわりと長引きがち。

上記のような特徴があるため、その場の判断やマグナスの引きなどが上手いことハマった時の爽快感はひとしお。面白~い!

属性相性も取り入れつつペア系で揃えて大ダメージ!うまく決まると気持ちいい


・模索するのが楽しい!「スペシャルコンボ」


前述した「マグナスバトル」にはもう1つの魅力があります。
それは決まったマグナスを、決まった順番で使うことで別のマグナスを作成するシステム「スペシャルコンボ」!

マグナスには武器や防具以外にも食べ物や道具などがあるのですが、これらの組み合わせと、それから産み出せるものが非常に豊富。
例えば木を燃やせば炭が、氷を削ると氷の彫刻が手に入ります。
マグナス自体の説明にかかれているヒントを参考にしながら「これはこうすれば良いのかな?」と模索していくのがとても楽しい!もちろんより役立つマグナスが出来上がることでバトルも楽になります。

……これだけ言うと凄く真面目なシステムに見えますが、実はこの「スペシャルコンボ」の存在がバテンカイトスのシュールな面白さを産み出す一因となっているんです。

一例として、この色んなマグナスが作成できるスペシャルコンボでは新しい食べ物(回復アイテム)も作ることができるのですがやたらバリエーションが多くなっています。
チーズにワインを加えてチーズフォンデュにしたり、フルーツを冷やしてフルーツシャーベットにしたり、日本酒を暖めて熱燗にしたり……と本当に様々。
そもそもゲーム内のヘルプで紹介されるコンボがプリンに醤油をかけたらウニの味になる(のでウニのマグナスが作れる)というもの。そういうのもありなんだ……。
なんなら米を炊く際に炭を使うとより良いものが出来るなどという妙に細かい違いがあったりもします。これクッキングゲームなの?

しかも上述したスペシャルコンボは全て戦闘中でのみ作成可能。つまり大真面目に敵と戦っているはずなのにその目の前で料理をしていることになります。どういうこと……?

密林の中、敵の目の前でわざわざ炭まで入れて丁寧に炊いたご飯を苦労の末にゲット!色々とおかしい

ちなみに、スペシャルコンボも狙う際にも当然カードの引きの良さが絡んでくるため「なかなかご飯が炊けないのでターンを稼ぐために敵になにかしら食べ物(回復アイテム)を食べさせて待たせる」という場面が出来上がったりします。冷静に考えれば考えるほど面白くなる……。

このシステムが面白いらしい、と知ったのがこのゲームを買った理由なのですが、予想以上に面白かったです。色んな意味で。
マグナス作りが本当に良かっただけに、戦闘終了後に獲得できるマグナスの数が1枚から増やせたらもっと良かったなぁ……と思います。

・「精霊憑き」とは?~プレイヤー自身とキャラクターの交流~


知恵と力を授ける異世界の精神「精霊」がおりた存在「精霊憑き」。バテンカイトスの独自設定の1つですが、より独自性を高めているのがこの「精霊」がゲームを遊ぶプレイヤー自身であるという点です。
ゲームの主人公カラスはこの「精霊憑き」なので、特定の場面で選択肢で意見する形でも干渉できます。
また選択肢によってはプレイヤーとカラスの信頼度が上がって戦闘中にチャンスが訪れやすくなるので、是非仲良くなりましょう。

キャラクターが画面の向こうの精霊(プレイヤー)に向かって話しかけてくるシーンも多く、結構新鮮な体験が出来ます
基本的に精霊(プレイヤー)と交流できるのはカラスのみですが、他の仲間達と交流出来ることも
ちなみに精霊(プレイヤー)の性別は選択可能。このように言葉遣いに影響が出ます




○王道ながらも「驚き」を与えてくれるシナリオ


バテンカイトスのシナリオは「主人公がヒロインと出会ったことをきっかけに、各地で仲間達と出会いながら邪悪な存在を復活させないための旅をする」と非常に王道。
しかし決して無難なわけではなく、この作品独自の設定を生かした「驚き」を与えてくれます。あんまり言及するとネタバレになってしまうのでこのように書くことにしました。どんな「驚き」なのか知りたい場合は是非遊んでみて欲しいです。



○便利な新機能の数々


元々ゲームキューブで遊べる作品だったバテンカイトス。それをSwitchに移植したリマスター版では新たな複数の機能が追加されているのですが、これがとても便利。
特に私は「ゲームスピード」と「エンカウントキャンセル」、「インスタントKO」にお世話になりました。

・移動もイベントもサクサク!「ゲームスピード」


「ゲームスピード」機能とは文字通りゲームスピードの速度を変更できる機能です。オリジナルのスピードの100%、2倍速の200%、そして3倍速の300%に変更可能。とってもシンプル。
オリジナルのスピードで遊んでみるとゲーム全体のテンポとしてやや遅めに感じます。しかも一部フィールドでは移動がより遅くなったりするので結構大変でした。それがこの機能のお陰で解消されるので本当に便利。

ただこの機能の難点として一部イベントシーンでは映像だけが倍速され効果音が遅れてしまいます。どうしても違和感。

ちなみにバトルを倍速する「バトルスピード」機能もあるのですが、こちらはあまり使いませんでした。このゲームではバトルの演出を早める=コマンドの入力可能時間も早まって短くなる となり難易度が上昇するので……。戦闘途中ではスピードが変更できないのもあって、活用出来る機会はそんなになかったです。ドロップするマグナスを集めるときとかは重宝しましたが。

・戦闘したくない時にはこれ!「エンカウントキャンセル」


バテンカイトスのバトルはフィールド上の敵と接触することで始まるタイプです。有効にすると接触してもバトルが始まらなくなります。分かりやすい機能ですね。
単純に戦闘したくない時はもちろんフィールド上のアイテムの探しの他、本作ではフィールド上でパズルをすることもあるためこういったものに集中したい時にも便利です。
ただしフィールドでも発生する一部の強制戦闘はキャンセルできないので後述する「インスタントKO」もセットで有効にすると安心。

・もっと気楽にマグナス作成!「インスタントKO」


「インスタントKO」とは敵にほんの少しダメージを与えただけですぐ倒せるようになる機能です。「エンカウントキャンセル」とは違い戦闘は行うのがポイント。
戦闘をすぐ終わらせたい時に便利なのですが、本作の魅力の1つであるスペシャルコンボによるマグナス作りにかなり役立つんです。

このゲームの戦闘でネックになるのが時間がかかりがちなところ。
新しいマグナスを作ろうとすると敵を倒さないように工夫することが多く、マグナスを作り終えてさあ敵を倒そうとしてもカードの引きが悪いせいでなかなか倒せない……ということが起こるので余計に時間がかかります。
そこで「インスタントKO」を有効にすると攻撃用のカード1枚使うだけでマグナス作成後の敵の処理があっという間に終わるんです。すごく楽!

どれだけ小さなダメージでも勝てるので、敵に醤油を垂らすだけでも勝てます。またそういう方面で面白くなっちゃった……

戦闘をすぐに終わらせることができる性質上、経験値も集まりやすい性質があります。あまりやりすぎるとレベルが上がりすぎてしまった……となりそうですが本作のレベルアップは自己申告制なのでその辺の都合がつけやすくなっています。素材は集めたいけどレベルは上げたくない人にも便利。

経験値が足りていれば好きなタイミングに好きなだけレベルを上げることが可能。一度にあげるレベルが多いほどプラスの補正がかかります。このシステムも面白い




○雑多な感想集


上記ほど言語化できないけどここの感想も言いたい!という部分を集めました。いろんな魅力があるので!

・時間経過で変化するマグナス


物を封印した状態のカード「マグナス」ですが、実は「時間経過」の概念があります。食べ物ならば腐る、熟成する……などですね。ものによってはまったく予想できないものに変化したりするのも面白いです。

・戦闘スタイルの違い


仲間たちの戦闘スタイルが本当に様々で良いのです。必殺技もそれぞれの個性が出ています。個人的なお気に入りは必殺技が光属性か闇属性かで攻撃方法がはっきり分かれるリュード。というかスフォルツァンドという技があまりにも良い味を出しすぎていました。ボイスやモーションも相まって非常に良い仕上がりになっているので是非実際に見てほしいです。

キャラによっては「こころのつばさ」で攻撃する姿が見られるのも面白いですね。


・各種テキストのこだわりが良い


「!」マークが出る箇所を調べるとメッセージが出るのですが、バリエーション豊富かつ生活感などを感じるテキストがとても多くなっています。マグナス集めのために調べることが多いのですが、テキストを読むだけでも普通に楽しい。

また人々が「こころのつばさ」を持つ、という設定を反映してか他のゲームでいう「宿で休む」行為に当たるコマンドが「つばさを休める」になっているのも良いですね。


・BGMが良い


「桜庭統」氏手掛けるBGMが良かったです。通常戦闘曲「The True Mirror」もかなり良かったのですが、一番のお気に入りは「Chaotic Dance」です。「ジャコモ戦の曲」と言えば通じるアレ。

・キャラクター達について


みんな良いキャラしてますね!不自然に事を荒立てたり変に贔屓されたりするキャラがいないので、素直に好きになれるメンバーでした。隠し事が妙に多い印象はありますが……。

・豊富なやり込み要素


一風変わった収集要素「クズマーンの系譜」、星座を集めて星図の完成を目指す「星図のかけら」などやり込み要素が豊富です。

そもそもバトルなどで使用するマグナスも全1022種あったりするので、マグナス自体もコレクション要素として楽しめます。凄い集め甲斐。




独自の世界観やシステム、王道ながらも斬新さのあるシナリオが魅力のバテンカイトス。とても面白かったので興味ある方は是非!




余談ですが、バテンカイトスはゲームキューブ版の公式サイトページが残ってたりします。

リマスター版サイトでは見られない情報があったりするので結構面白いですよ。

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