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杉本清隆ライヴ活動10周年。音楽活動の全てを語る!​

インタヴュー・文:黒須 誠 撮影:木目田隆行

※本インタヴューは2013年1月19日に発行された音楽冊子「Popsicle Clip. Paper+ vol.1」に収録されたものです。途中まで無料でお読みいただけます。文字数:約1万文字です。

‘02年にオレンジノイズショートカットで活動をスタートさせこれまでに5枚のアルバムをリリースしている杉本清隆。’00年代にエイプリルズやスパゲッティ・バビューン!、tetrapletrapなどと一緒にネオ渋谷系の一角として、はたまた渋谷系チルドレンの一人としてシーンを牽引してきたのも記憶に新しい。もともとはゲーム会社で職業作家としての音楽キャリアをスタートさせた杉本はpop'n music(ポップン・ミュージック)に代表される音ゲーと呼ばれるジャンルに多数の楽曲を提供、その類稀ない音楽性はとりわけ楽曲のクオリティやアレンジにこだわる音ゲーファンのみならず、10代から20代の若年層のギターポップファン、渋谷系ファンにも絶大な人気を集めており、’08年にソロ活動へ転身後も今でもなおその人気は留まるところを知らない。よくよく話を聞いてみると杉本は幼少のころからピアノやパーカッションなど多くの楽器に触れながら音大では音楽理論から作詞、作曲、器楽的アプローチなどについても学んでいたという。つまり楽曲に関する基礎となる部分が非常にしっかりと備わっているアーティストであることがわかる。今回は音楽キャリアという視点で彼のこの10年の振り返りインタヴューを行った。今でこそ明かせるオレンジノイズショートカットの結成秘話からバンドの活動停止に至った理由、ソロ活動を通して芽生えたアーティストへの想いなどを存分にお伝えしたいと思う。


あんまり人前で演奏するのは好きじゃないんです(笑)

●まずはじめに音楽と出会ったきっかけから教えていただけますか?

杉本清隆(Vo,Key) 「はじめは習い事からスタートしたんですよ。家の近くにヤマハの音楽教室があってそこに通ってたんです。5歳からピアノを習っていて高校生くらいまでやってたかな?それがきっかけではあるんだけれども最初はクラシック・ピアノをやってたからポップスや歌ものをやってたわけじゃないんですよ。歌ものに興味を持ったのは小5くらいかな。当時チェッカーズやCCB(シーシービー)とかが流行っていて、歌番組を見ると中森明菜や松田聖子などが出ていて。当時そんなにテレビを見ていたわけじゃないんだけど、FMラジオで何かのランキング番組が流れててそれに興味を持って歌謡曲をチェックしはじめたんですよね。あとは小学校にクラスに一台オルガンってあるじゃないですか?あれを一人でよく弾いていましたね」

●じゃあ音楽の授業でも校歌や合唱曲の伴奏を?

杉本 「やってました(笑)でも所詮伴奏なんで、誰かがメインで後ろで弾くというかたちだったから。ピアノの発表会も苦手でしたね。舞い上がっちゃって(笑)」

●それは恥ずかしかった面も?」

杉本 「あんまり人前に出るのは好きじゃないんです(笑)。その頃はあまり失敗したくないから一生懸命練習するんですけど、本番になると色々精神状況が変わって(笑)、必ず間違えるような子供だったんですごく悔しい思いをしていたんですよ」

●今からすると想像できないですけどね(笑)杉本さんはピアノ以外にも楽器を演奏されますが?」

杉本 「小学校に入り歌番組を見るようになったときにCCBが流行っていて。ドラム叩きながら歌う人を見てこれは凄い!って(笑)。その後高校でドラムをはじめたんです。最初は軽音楽部に入りたかったけど人数が多すぎちゃって、ドラムだけで10人以上もいたから(笑)、それで吹奏楽部に入ったんです。そこでパーカッションをやったのがきっかけで」

●今ではサポートでボンゴなども叩かれていますからね(笑)

杉本 「そうですね。高校のときのブラスバンドがきっかけで・・・大学に進む際もどこに行こうか悩んで・・・自分が一番楽にいけそうなのがどこか考えてたら音楽大学しかなかったんですよ(笑)」

●でも音楽大学って別の意味で大変だと思うんですが?

杉本 「そうですね(笑)。でもそこに狙いをつけて楽器の練習を頑張って。大学に入ってからは打楽器の練習をひたすらしていましたね。打楽器の人は全部できなきゃいけない、みたいな感じがあって。ラテン・パーカッションやコンゴなど叩くものはなんでもやってました」

●作曲もその頃から?

杉本 「いや小学校の頃から作ってましたね・・・作ってたといっても子供が画用紙に絵を書くレベルだけど(笑)。五線譜に自分で弾いたメロディを書き取って満足してました(笑)その後高校生になってからよりちゃんとやりはじめましたね。シンセサイザーについているシーケンサーに打ち込んで作ってました」

●杉本さんの頃だと小室さんがフィーチャーされていたYAMAHAのEOSですか?

杉本 「それの少し前のKORGの01/Wですね(笑)」

●01/W!あれは多くのアーティストが使っていたシンセサイザーの名器ですからね(笑)

杉本 「今でも大事に持ってますよ(笑)」


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