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humming parlour 『食べすすんでいくと、少ししょっぱい。』発売記念インタヴュー

※本記事は最後まで無料でお読みいただけます。
※本記事は2013年5月16日にポプシクリップ。上で掲載したものです。


都内を拠点に活動している humming parlour から、新作『食べすすんでいくと、少ししょっぱい。』が届いた。なんでも8年の音楽キャリアにおいて初のスタジオアルバムであるという。そういえば2年前 に彼らが配信限定でリリースした1stアルバム『answer in the halfway,』は確かライヴアルバムだったよなあ、なんて当時のインタヴューことを思い出しながらその音を聴いてみると、そこにはかつてないエ ヴァー・グリーンの世界が広がっていた。疾走感溢れるキラキラしたギターにヴォーカルkawaie.の甘く切ない、でもどこか中庸的な歌声がとても心地よ い・・・こんな気持ちになれたのは何年ぶりだろうか、と1曲目のイントロを聴いた瞬間から舞い上がってしまった自分に驚きを隠せなかった本作品は、ネオア コ・ギターポップのお手本とも言えるような典型的な楽曲はもちろんのこと、彼女の声を前面に生かしたオリジナリティ溢れるアルバムに仕上がっている。

80年代にイギリスで起こったポスト・パンク、ネオアコ・ブームは、日本でも90 年代前半にフリッパーズ・ギターをはじめとした渋谷系サウンドの中でも紹介されたことを機に多くのリスナーを獲得、以降90年代後半に登場したアドヴァン テージ・ルーシーやソロ活動をはじめたカジヒデキ、そして00年代前半に渋谷系チルドレンとしてもてはやされたテトラプルトラップやスパゲッティ・バ ビューン!など、日本の音楽シーンの片隅で脈々と受け継がれてきた。それが10年代の今もなお続いていることをこの作品は証明してくれたのだ。

とはいえ本作品を手にしたとき、このアルバムのカテゴライズがどこにハマるのかが 全くわからないと感じるリスナーも多いだろう。ジャケットのデザイン然り、タイトル然り。そこで編集部ではタイトルにもある「少ししょっぱい。」部分につ いて紐解くインタヴューを行った。ヴォーカルのkawaie.さんのお話からわかったことは「自分自身の在りかたへのこだわり」だったように思う。アー ティストとして新たな一歩を踏み出した彼女らを応援するとともに、インタヴューを通じて一人でも多くのリスナーにhumming parlourを知ってもらえたらこんなに嬉しいことはない。

取材・文 黒須 誠/編集部
写真/山崎ゆり 協力/下北沢mona records


ブルー・バッジレーベル、ヒグマさんとの出会いがハミパラ結成の原点。

──デヴュー・アルバム完成おめでとうございます。今日は新作のお話を中心にお伺いしますが、まだhumming parlour(愛称:ハミパラ)を知らないリスナーも多いと思います。そこで結成秘話なども交えながらお話したいですね。いつ頃から活動をはじめたのですか?

kawaie. 「2005年ですね。だから8年目にして初のアルバムです。“何してたん?”って感じですよね(笑)」

──期待の大型新人ですよね(笑)。

kawaie. 「(苦笑)。まるで蝉のようにじっくり土の中で育った感じです」

──活動のきっかけは?

kawaie. 「もともとヒグマさんが主宰するbluebadge label (ブルーバッジ・レーベル)からコンピレーション・アルバム『guitar pop crazy!』のお話をいただいたのがきっかけです。それまではギターポップやパワーポップ寄りのオリジナル・バンドを別にやっていたんですけど、そのコンピに参加したくてギターの伊東さんに曲を書いてもらい結成したのがhumming parlourだったんです」

──先に出すことが決まっていて結成するというのは、インディーズ・シーンとしては割と珍しい展開ですね。ヒグマさんとは以前からお知り合いだったのですか?

kawaie. 「そうでもなくて、私が18歳のときにやっていたバンドのライヴをヒグマさんが見に来てくれていたんですよ。当時今とは全く別のインディー・ギター・ポップのバンドをやっていたんだけど、それを覚えてくれていたようなんです。そして数年経って2005年に行われたブルーバッジのイベントに私が遊びに行ったときに、ヒグマさんの方から声をかけてくれたんですよ。確か受付で再会したと思います。私もブルーバッジ・レーベルのことは知っていたのでびっくりして」

──余程印象に残っていたのですね(笑)。

kawaie. 「ねー、怖いですね。あの時のライヴを見られていたなんて、今から思うと恥ずかしい(笑)」


advantage Lucy を知って、“あ、これだ!”って思ったんです。

──音楽はいつ頃から?

kawaie. 「小学校からクラシック・ピアノを習っていました。私、ピアノを弾きながら歌いたかったんです。当時KANが流行っていて“ああいう風になりたい!”って思って。でもしばらくしてあまり向いていないことに気づいたんですね(笑)。それで高校に入ってからバンドを組んでJUDY AND MARY
のコピーなどをやっていたんですけど、高3のときにadvantage Lucyを知って、“あ、これだ!”って思ったんです。私は踊れないし、“のってるか~い”なんて挑発とかもできないし(笑)。“こんな力の抜けた感じでいいんだ”ってことを初めて知ったんですよ。それからはインディ・ギター・ポップをたくさん聴くようになりました」

kawaie. 「そうですね(笑)。ただ私の場合はいわゆる学校のサークルとかではなくて、社会人や他の学校の人とバンドを組んでいたんです。その時はスピッツを好きな 人が曲を書いていたし、ラルクが好きなメンバーもいたし割と自由で。ギターポップは私が無理矢理メンバーに聞かせて広めていきましたね(笑)。でも一時期 メンバーがなかなか決まらない時期もあったんです。
With9(ネット上にあるメンバー募集掲示板)で募集をしたんですけど、メン募に書いていた参考アーティストのadvantage Lucyを別のロックバンドの
Lucyと勘違いしている人も多くて(笑)、100人近く会ったけどその中でインディー・ギター・ポップを知っている人はほとんどいなかったので大変でした(笑)」


アルバムリリースのきっかけはモナ・レコード店長のユキさん。ユキさんの一言がなかったら今でも出せていなかった。

──ハミパラの活動を見ると2005年の結成以降、2年前のライヴアルバム発売まで6年、今回のスタジオアルバムまで8年と大分かかりましたね(笑)。

kawaie. 「実はどうしていいかわからなかったんです。作品を出したい、レコーディングをしたいという想いは持っていたんですけどやり方がわからなくて。この間ちょ いちょいコンピに参加させていただいたりはしていたんですけど、いざアルバムを作るとなったときにどのようにやったらいいのか、何をしたらいいの か・・・。伊東さんも私も引っ張るタイプではなかったというのもあると思います。周りでは結成半年でミニアルバムを出している人たちもいて、“どうやって いるんだろう?”と不思議に思ってたくらいで(笑)。あと、コンピのように締め切りがあると一生懸命頑張るんですけど、いざ自分たちでとなったときは、あ まり動けなかったんです」

──2年前にライヴアルバム『answer in the halfway,』を配信でリリースされましたよね?あのときはどのように目標設定されたのですか?

kawaie. 「あのときは、その年に演奏したライヴが自分自身ものすごくよかったんです。だから記念に音源として残しておきたいという衝動があったんです。だからできたんだと思います」

──今回の『食べすすんでいくと、少ししょっぱい。』はいつごろから?

kawaie.  「当初は去年の末に出す予定だったんですけどね(笑)。きっかけはモナ・レコードの店長でいらっしゃるユキさんなんです。一昨年の末にユキさんから“最近 どんな音楽をやってるの?”と聞かれて、携帯に入れていたデモを聞かせたんですよ。そうしたらユキさんから、“いいじゃん、これ出そうよ!”って話になっ て・・・それがきっかけでした(笑)」

──その時、聞かせた曲を覚えています?

kawaie. 「今回のアルバムにも収録している「triangle of the heaven
」と「リーチ」ですね」

──なるほど!特に「triangle of the heaven」は疾走感とアレンジのこだわりがリスナーに響きやすいと個人的には思っていましたので勝手に納得してしまいました(笑)。しかしユキさんが後押しをしてくれたのはきっと何かインスピレーションがあったのでしょうね。

kawaie. 「ノリかもしれないですけどね(笑)。ユキさんの一言がなかったら今も出せていなかったと思うので、とても感謝しています」


表現したかったのは“可愛いだけだと思うなよ!”っていう点ですね(笑)。

──アルバムで伝えたかったものは何ですか?

kawaie.  「表現したかったのは“可愛いだけだと思うなよ!”っていう点ですね(笑)。ハミパラがリスナーから見て「可愛いギターポップ」の枠組みの中にいるとした ら、“幸せいっぱいのルンルンだけの音楽ではないよ!”という想い、アルバムを通して色々なハミパラを見てもらいたいという考えがありました」

──ギターポップというジャンルにカテゴライズされるのは嫌なんですか?

kawaie.  「そんなことないですけど、それだけの枠に収まりたくないなという感じですね。“ギターポップバンドの新譜が出た”と思われたくなかったので、楽曲選びや アルバムタイトル、ジャケット・ワークなども含めて色々な視点で捉えてもらえるように作りました。アルバムのために新たに作った曲はないんですけど、最近 のハミパラの曲のほうが自分の気持ちにしっくりくるので、今まで作った曲の中から最近の曲を中心に選んで収録しました」

──楽曲のお話が出たところで、普段はどのように制作されているのでしょうか?

kawaie.  「きっかけの部分は伊東さんが作っているんですよ。でも“いいアルペジオできたよ”とか、ワンフレーズだけのことも多いですけどね(笑)。携帯で録った コード進行を伊東さんが私にメールで送ってきて、それに私がメロディをつけて歌ったのを録音して送り返してやりとりをすることが多いです。その過程で煮詰 まると、“じゃあスタジオ入ろうか”となり、二人でつめます。歌詞は夜な夜な書いているとかそういうことはあまりなくて、移動していることが多いので電車 の中が主ですね」

──デモを構築するタイプではない?

kawaie. 「全然違いますね(笑)。稀に完成度の高いデモが出てくることもありますけど・・・」

──スタジオで二人っきりで煮詰めると・・・喧嘩になったりしません?

kawaie. 「喧嘩はないけど・・・静かになることはありますね(笑)。そのときはいったんジュース買ってきたりしますけど。二人って大変だなあと思います」

──でも人数がいるバンドはもっと大変ですよ。

kawaie. 「うーん、でもこれからはもっとバンド感を出していきたいので、大人数でやってみたいという想いはありますね」

──レコーディングはどのように進められたのですか?

kawaie. 「ベースとなるオケは伊東さんが作っています。ピアニカ、鈴、タンバリン、ツリーチャイムや鉄琴などは私がのせています。ミックスは
Corniche Camomile(コーニッシュ・カモミール)の桜井康史さんにお願いしました。演奏に加えて打ち込みも使ったのですが、そこを桜井さんが臨場感ある仕上がりにしてくれたんです。桜井さんはLittle Lounge*Little Twinkle
のきだしゅんすけさんに紹介してもらったんですよ。きださんにも一曲アレンジをしてもらいました」

──それはいい出会いでしたね。


“今のままじゃ嫌だ!”と追い込まれた状況で書いた詞が多い。

──収録曲を見ると英語詞が少し多めですね。

kawaie.  「英詞4曲、日本詞3曲とほぼ半々ですね。もともと英語で詞を書きたくて大学で英文科に入ったんです。英語は響きを楽しめるじゃないですか?日本語も好き ですけど、メッセージ性が強すぎるときがあるんです。例えば「愛してる」と言われたら愛してるだし・・・。それがわからないように遊びたいという気持ちが あるので英詞が好きですね。私にとって歌詞は言葉遊び的な要素が強いので」

──では歌詞の内容も創作要素が強いのですか?

kawaie.  「いや、体験談ばかりです(笑)。ただリスナーは私の体験談なんて聞きたくないじゃないですか?聴き手が自分に置き換えたり、自分の自由な感じ方でいい じゃないですか?だから詞にするときは、その隙間みたいなものを絶対に作りたいんです。「リーチ」のように割と直接的なものもありますけど、その隙間を言 葉でくぐるのが好きなんですよ。リスナーには何かを感じてもらわないと嫌なんです。何も感じない詞は書きたくないので。それを聴く人が悲しい曲と思うの か、楽しい曲と思うのかは自由であって欲しい、というスタンスですね」

──もう少し具体的な詞の内容について教えてもらってもいいですか?

kawaie. 「例えば5曲目の「triangle of the heaven」のような、“緑がざわめく場所へ出たんだ/その中で君の記憶を見送る/ただ、何も言えず/踊っていたんだ”は、その時置かれた自分の状況を書いていて、ラストの「door
」の、“続いてゆくこの星の少しを/瞬く間に駆け抜ける私は/ためらい、持て余すほど疎くて”などは具体的な相手を想像して書いたり、色々ですね」

──どのような心境で書かれることが多いのでしょうか?

kawaie. 「もやもやしている時が多いですね。基本的に自分に何か余裕がなかったり、もやもやしていたりすることを吐き出していて、それが色々な言葉になっているんですよね。「Cherish」なんかは私にとってはやけ酒の歌ですから(笑)。現実逃避して高校時代の同級生とずっと飲んでいたいという気持ちで書きました(笑)」

──「リーチ」のように素直に心に問いかけるような歌もあります。

kawaie. 「ありがとうございます。ただ先の「Cherish」や「to be star」など、やけっぱちだったり、抜け出したいというイメージの曲が多いかも。普段かなり多忙を極めた生活を送っているので、その分のもやもやが一気に出ているのかもしれません(笑)。今のままじゃ嫌だ!と追い込まれた状況で書いた詞が多いので」

──じゃあ日常のもやもやが多ければ多いほど・・・。

kawaie. 「たくさん詞が書けます(笑)」


“昔こういうインディー・ギターポップ・バンドあったよね?”と言われないようにはしたかった。

──楽曲はネオアコ、ギターポップの影響を多分に受けているように感じます。日本だと帯コメントを書いてもらったadvantage Lucyなどがその部類に入りますが?

kawaie. 「advantage Lucyっぽいね、と言われる事もありますが、それはギターの伊東さんとadvantage Lucyの石坂さんのルーツが近いからだと思います。伊東さんも石坂さんもザ・スミスが大好きなんですよ。二人とも洋楽が大好きでその影響を受けているから、生まれてくる曲も自然に似通っている部分があるんだと思います」

──なるほど、そんな偶然の一致があったんですね。kawaieさんは?

kawaie. 「私はあまり洋楽を通ってきていないんです。初めて買ったCDは光GENJIで、その後T-SQUAREやカシオペアなどのフュージョンを聴いたり、最近だとサカナクションやthe band apart、大橋トリオなどもよく聴きます。割と雑多ですね(笑)」

──その他こだわりなどはありますか?

kawaie. 「ミックス作業にあたっては現代っぽさを意識してほしいと桜井さんにお願いをしました。今っぽさというか、“昔こういうインディー・ギターポップ・バンドあったよね?”、と言われないようにはしたかったんです。また曲順については、一曲目は「arpeggio」、そして「door」を最後にしようと初めから決めていました。あとは聴きやすいように日本語、英語を交互にしながら曲調も考えてバランスをとりました」


フェンスって固いけどすぐに破れたりするじゃないですか?まるで人の心のようだと思って。

──ジャケットのデザインも独特ですね。

kawaie.  「デザイナーさんから女の子を使おうという案を頂いたんですよ。そして私がどちらかというとフェロモンがある方がいいと言ったので、じゃあ下着を使ったイ ラストでどうかという話になったんです(笑)。最終的にはパンツ見せちゃいました。あとはバックインレイの写真も見ていただくとわかるんですが、“フェンスを入れたい!”と思って大阪まで撮影に行きました。はまちゃん(濱田英明:写真家、Songbirdメンバー)に撮ってもらいたくて、お願いしたんです。それでフェンスの写真と私の写真を一日中撮ってもらいました。100回くらいジャンプしましたね(笑)」

──何故フェンス?

kawaie. 「固いものと柔らかいもの(女の子)を合わせたかったんです。フェンスって固いけどすぐに破れたりするじゃないですか?まるで人の心のようだと思って。それもアルバムタイトルの“少ししょっぱい”にひっかけているんです。そして女の子は最後の曲の「door」でドアから外に出ていってしまうんですが、そのイメージを歌詞カードで表現しています。ジャケットデザインはかなり力をいれたつもりです」

──写真を見るとkawaieさんの顔が写っていませんね。

kawaie. 「顔は写っていませんがそれをアー写としても使っているんです。ハミパラが一人とも受け取られたくないし、私の顔が載ることで私一人のバンドに見えるのが嫌だったので」


そうやって心に引っかかってもらうことが狙いだったりするんです。

kawaie.  「仕事も恋愛もバンドも最初は美味しいけど、段々続けていくとしょっぱいことも色々起きてくるよね、ということをそのまま例えた感じですね。これはランチ でリゾットを食べているときにぱっと思いついたんです。さっきの“可愛いだけじゃないよ!”、というところにも通じています。嫌な部分とか喧嘩したりとか 泣いたりとかって、全てのことに“絶対についてくるもの”という意味ですね。このアルバム作成も辛いことが多かった・・・(笑)。タイトルは長いので「食 べすす」って呼んでください」

──辛いことばかりなんですか?デビューアルバムはモチベーション高い人が多いですけどね。

kawaie.  「そう、でも右も左もわからなかったのですごく怒られたし、周りの人にとても迷惑をかけてしまったんです。それが辛くて。やらなければいけないことはわか るんですけど、一曲一曲仕上げていく過程で色々あったんです。曲のアレンジを詰めていく中で行き違いが起きてしまったり、それこそ引きこもったりもしてし まったんです。それで年末発売予定だったのが半年遅れてしまったんですよ。私も苦しくてどうしたらよいかわからなくなったので、ユキさんや、きださんにも 相談に乗ってもらいながらなんとか乗り越えることができたんです。そんな体験もアルバムタイトルに反映されている気がします」

──しかしこのジャケットやタイトルはリスナーにはわかりづらいかもしれませんね。

kawaie.  「そうやって心に引っかかってもらうことが狙いだったりするんです。そのまま「わからない・・・」となったら残念なんですが(笑)。ギターポップとも何の ジャンルかもわからないジャケットにしたかったし、使っている紙もあえてそれっぽくないものを選びました。タイトルにある食べ物もどこにも出てこないけ ど、“うん?これ何だろう?”と思ってくれたらそれでいいのかなと」


たくさんの人に参加してもらいながらいいものを作っていきたい。

──でも話を聞いていて、だからこそkawaieさんはギターポップを強く意識しているのだなと感じました。

kawaie.  「うーん、意識している・・・なんなんでしょうね。ただギターポップの世界って、どうしてもスモール・サークルのイメージがあるんです。ハミパラは今そこ に留まっているような気がするんですよ。だからこの一枚をきっかけに幅を広げられたらなあと思っています。それこそCDはレコードショップだけではなく て、雑貨屋さんやカフェ、本屋さんにも置いてもらえるようにしたいと思っています」

──それではポプシクリップ。でイベントを企画する際は少しバリエーションがあるブッキングでお呼びさせていただきます(笑)。

kawaie. 「ぜひぜひ(笑)」

──これからのハミパラについて何かありますか?

kawaie.  「ハミパラはこれまで二人ユニットだったんですけど、これからは私が中心となりつつ、キャラバンみたいな考え方で進めていきたいと思っています。伊東さん も含めて、みんなメンバーという感じで、多くの人に参加してもらいたいと思っているんです。でもこれはサポートとも違っていて、都度参加してもらうメン バーには思いっきり頼りながら、その場にいるみんなで作るという面を出していければと思っています」

──それは・・・重たい決断ですね。その場合何をもってハミパラを定義していくのか、難しい舵取りになる気がします。

kawaie.  「まずはサポートという言葉をなくしたかったんです。サポートとメンバーでは意味が全く違いますから。たくさんの人に参加してもらいながら、その時参加で きるメンバーと力を出し切って協力しながらいいものを作っていきたいんです。仕事でいうと参加型のプロジェクト制みたいなイメージですね。私はほとんど歌 うことしかできないので、「メンバー」という気持ちで一緒にやってくれる人達が、都合の合うときに参加してくれて、その時集まったメンバーで出来る最大限 の事をみんなでやる、っていう風にしていきたい。LittleLounge*LittleTwinkleでは杉本清隆さんがドラムで参加したり、反対に杉 本さんをきださんが手伝ったり・・・互いに助け合っていて、理想的です。ということで、ただいまハミパラはメンバーを大募集中なのでそこのところPRして おいてください(笑)」

──わかりました。原稿に必ずいれておきますね(笑)。


何らかの形でいっぱしになりたい。

──アーティスト活動をされようと思ったそもそものお考えなどありますか?

kawaie.  「私の周りには自立してやっている同年代の方がすごく多いんですよ。はまちゃんも写真家だし、スパゲッティ ・バビューンのちいこさんもイラストレーターですし・・・友達を見て、「何らかの形でいっぱしになりたい」と常に思っているんです。今は何のいっぱしでも ないので。“何やっている人ですか”?と聞かれて、自分が死ぬときに“あ、結構よく働いていたよ”とか“仕事がんばってた人だったよ”とか言われるのは嫌 なんですよね。何をやっていた人だったのかが今のままだと明確ではないので、頑張らなきゃいけないなと思っているんです。“歌を歌ってた人だったよ”とか 何でもいいんですけど、何かしらの人になっておきたいと思っています」

──今回あえて自主レーベルからリリースされるそうですね。

kawaie. 「自主レーベルにすることで、学ぶこともたくさんあるとユキさんからアドバイスをいただいたんです。“厳しいこともあるだろうけど学べることが多いよ”って」

──レーベル名は?

kawaie. 「yukeyuke records」、略称「ゆけれこ」って言います。レーベル名のアイコンがビールなんですよ(笑)。だからオリジナルグッズでビアグラスとか手ぬぐいとか作りたいですね」

──ビール飲んでいけいけ言ってる、つまり“やってらんねーよっ”ていう気持ち・・・そこがこのアルバムの肝ですね(笑)。

kawaie. 「そうですね。いつかビアガーデンでライヴやりたいです(笑)」

──ありがとうございました。


 

<作品情報>

食べすすんでいくと、少ししょっぱい。/humming parlour
2013年5月8日リリース yukeyuke records 1,800円(税抜)

1. arpeggio 2. リーチ 3. I don't need a story, someone does.
4. to be star 5. triangle of the heaven 6. cherish 7. door

Amazon商品紹介ページ


<プロフィール>
bluebadgeレーベルのコンピレーションアルバム『guitar pop crazy!』への楽曲参加と同時に2005年より活動開始。kawaie(カワイ:Vo)が中心となり都内のカフェ、ライヴハウスなどで、2人~バンド 編成でのライヴ活動を行っている。コンピでは『headstart for happiness』、『boys(&girls) wonder』(T.K.O new music corporation)などにも参加。2011年に初となるライヴアルバム『answer in the Halfway,』を配信リリース。そして2013年5月8日に待望の1stスタジオアルバム『食べすすんでいくと、少ししょっぱい。』を発売。

humming parlour 公式ホームページ


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