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【摩擦注意】美奈代がかける魔法は、おっさんとのバトルに発展した


魔法

僕が、その日の仕事を
一通り済ませて
ホッと一息ついていると
なにやら
休憩室に使っている部屋から
賑やかな声が聞こえてきた。

(どうしたんだろう…?)

気になって
部屋に入ってみると…
「な?? すごいやろ!?
私の手…魔法の手やねんッ!!」
と、どデカイ声が耳に入ってきた。

声の主は、美奈代。
鼻高々な様であった。
なんだかわからない状況だけれど
おそらく
セイジツ君は、美奈代の助手を務めてそうだった…

(また始まったよ……。仕事してよホント…
絶対いつもの二人による”ショー”やん…笑)
一瞬にして、状況を飲み込んだ
僕とは違って、
みんなに優しいシュワ美は
「うわぁー!美奈代ちゃんすごーい!!!
ほんまや、魔法の手やー」と
”ショー”に付き合ってあげていた…笑

しまいには
「でしょでしょ?」と
助手のややこしいヤツも参戦してくる始末…
ここで、終わってればいいのに
満を持して
本命が参戦してくる…

「じゃあ次、僕の番やなッ♪♪♪」
絶好のいらんタイミングで
おっさんの参戦表明である。
おっさんは、用意されている
背もたれのある椅子に深く腰掛けた。
なんだか、ワクワクしている…

次に
椅子に座ったおっさんの前に
美奈代が立ち
おっさんの額(オデコ)に手を当てる。
美奈代が言った。
「いいでしょう。おっさん。立てるもんなら立ってみなさい。
私のこの手は魔法の手です…」

立ち上がろうと
一生懸命なおっさんが言う。
「んーー。んー。立たれへんー。」
嬉しそうに、美奈代が返す。
「な?すごいでしょ?私の魔法の手♪
まだまだ、おっさんも修業が足らんなッ♪」

悔しそうなおっさんが言った。
「魔法の手かどうかは、わからんけれども
すごいのは、すごいな…笑
立たれへんわ!」

魔法使い気分の美奈代は
続けて、先ほど部屋に入ってきた僕にも
声をかけた。
「よかったら、”らむと”もどう?
私の魔法の手を受けてみる?」

僕は、間髪入れずに答えた。
「え。いいわ。それ、魔法の手というか
運動学の話しやでな…苦笑」

ちょっぴり怒った魔法使いと
その助手が言う。
「セイジツ君、こいつ私の魔法を信じてないみたいやわ
なんか言ったって!!!!」

助手
「僕先輩!美奈代ちゃんの手は魔法の手です♪」
(いや…そのまんまやん…苦笑)


「別になんもすごないから苦笑
運動学的に無理やで、そんなんオデコ押さえられて
立ち上がろうなんて…」

ここから、僕の理屈による説明が始まった…
「重心がー…。支持基底面がー…。押されることによってー…etc」

シュワ美とおっさんを含む4人が
ポカンと口を開けて
僕の理屈を聞いていた。

一通り僕の理屈を聞き終えた
おっさんが、しばらくして
口を開く。
「で、ようわからんけど
どうやったら、立てるん??
美奈代ちゃんの魔法に勝てるん?」

すっごい不服そうな顔で
魔法使いと助手も聞いていた。
僕は、答えた。
「この条件じゃ、ほぼほぼ無理やな…
まあ方法が、ないことはないけど…」

キラキラした目をしたおっさんが
聞き返してきた。
「え??教えて!!
魔法に勝ちたい!勝ちたい♪」

(はぁ~…仕事してよみんな…)
「まあ、立てる可能性があるとすれば
おっさんの額が
美奈代の押す力よりも
強く押し返せば立てるんじゃ…」

最後まで聞く前におっさんが言った。
「よし、それでやってみよう♪
僕は魔法に勝つ!」

シュワ美は優しく微笑んでいる…。

そして、
ここまで黙って聞いていた。
魔法使いも準備万端のようであった…
「いいでしょう、私の魔法のすごさを
信じてない、”らむと”とおっさんに
魔法のすごさを
もっかいみせてあげます!!!
負けへんでッ!!!」

おっさんへの2度目の魔法は
何故だかわからないのだけれど
バトル形式に発展していた…笑
僕とおっさん VS 美奈代とセイジツ君
審判 シュワ美
みたいな感じかな?笑

両者集中を高め
静かな部屋の中…
まずは、おっさんがそっと
背もたれのある椅子に腰かける…

続いて
美奈代が、おっさんの前に立ち
魔法の手をおっさんの額に当てる…
緊張の一瞬……。

この緊迫した空気を破ったのは
魔法使いこと美奈代であった。
ここまでの空気など気にもせずに
シュワ美に言った。

「よーいどん!って言って!!」

(ちょっとまてよ…魔法やろ設定…
よーいどんってなんやねん…笑
おっさんも、しっかり身構えてドン待ちすんなや…笑)

なんて、僕が心の中で突っ込んでいると
部屋に声が響いた。
「よーーーーい、ドンッ!!!!」

(え…え…シュワ美もノリノリやないか…笑)

ニコニコ微笑む、シュワ美…
ワクワクしている、セイジツ君…
やる気満々な、おっさん…
臨戦態勢な、美奈代…
あきれる、僕…
結果は見えていた…
どうなるかも、だいたい分かってはいた。

よーいどんの後
次の瞬間には
どデカイ声が部屋中を満たしていた…

「いてててててててーーーーーッ!
いたい!いたい!いたいッ!!!!
皮膚!皮膚!!
皮ッ!皮!!
伸びてるって、痛いッ!!痛いッ!
あかん、あかーーーん!!!」

シュワ美とセイジツ君は
大爆笑である。。

おっさんは、うめき声をあげながら
痛がっている…

そんな声を気にせず
美奈代は
おっさんの、額を
これでもかと押している…
もう僕にはどうにもできない
クレイジーな状況である…

僕はやっぱり呆れていた…
真っ赤なオデコのおっさんが言った。
「美奈代ちゃん!!!
魔法の手をそんなに
押し付けたらあかんって笑
痛いやん笑
皮あり得へんくらい伸びたで笑」

美奈代は
かっこいい顔をしながら
言い返した。
「私の手、魔法の手やから…笑」

また次回。

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(๑╹ω╹๑ )