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これから僕が作らなくちゃ

ハンブレッダーズの最新アルバムより、「グー」について書きます。

自分たちのことを歌った歌だと仰っていましたが、
これは私のための歌だ!という最高の勘違いを起こしちゃう歌です。

私の作るものは必要なのか

私は、文章を書くのが好きで、お笑いが好きで、ラジオが好きです。
いつしか趣味で漫才のネタを書いたり、
ネット大喜利に勤しんだり、
ラジオにネタメールを送ったり、
1人で喋るラジオ配信を始めました。
そして、去年からは、
stand.fmのラジオ番組の制作兼作家をさせてもらっています。

その中で、自分が作るものより
もっとおもしろいネタがあることを再認識し、
もっとおもしろい文章が書ける「素人」がたくさんいることを知り、
世の中に「素敵なもの」が溢れていることを感じます。

また、AIもどんどん発達していて、
今書いているような文章は、実は一瞬で書けることを知りました。
推敲推敲の労力が無くたって、
同じ結果が秒で目の前に現れるのです。

だから私の作るものなんて必要ないな
と何度も何度も思うのです。
無くても社会は続いていくじゃん。

本気でそう思うし、今も思っています。

おもしろいものを作りたい、企んでいたい気持ち

いったい何を書いたかよりも
その筆圧が生き様になる

ハンブレッダーズ「グー」より歌詞引用

初めはこの歌詞の意味が、イマイチわかりませんでした。
でも、聴くほどに、わかってきた。
それは、まさに私が感じていた「AI」との葛藤だったのです。
私とAI、同じものが書けると思う。
でも、AIに筆圧なんてないんだなぁ!

そう言えば、以前読んだこの本にも、
「人間とコンピュータの違いはモチベーションである」って書いてありました。

そして、そんなことを思い出した時、
ハンブレッダーズのムツムロアキラさん(Gt./Vo.)がアルバムのリリース前にラジオで話していたことと、繋がったのです。

モノとかコトを作ることって
熱中する時間ってめっちゃ尊い(中略)
どれだけAIが発達して仕事を奪っていったとしても
やりたいっていう気持ちはAIに変えられない

ハンブレッダーズ・ムツムロアキラのオールナイトニッポン0(2024.2.11放送)

そうだ。
「やりたい」から発する創作と、
その創作にこもる熱に意味があるんだ。
思い出したのは、幼い頃、鉛筆を握りしめて紙に穴を開ける勢いで書いた物語とか詩とか、
手が汚れるぐらい塗りつぶした絵とか。
そんな熱と圧にこそ
私の生き様が出るんだ、と思いました。

最初はグー

ムツムロさんが「カベポスターのMBSヤングタウン」に出演された時に、
カベポスターのおふたりが、
「最初は偶然(グー)」から
「高く掲げろピース(チョキ)」、
「開いた手のひら(パー)」になっていくおもしろさを指摘されていました。
まさにここが妙味だと思います。
(ゲストの曲を自分なりに解釈して解像度高く話す、カベポスターの凄さを思い知った、という話は今度書きたい)

どこを探しても見つからないから
これから僕が作らなくちゃ

ハンブレッダーズ「グー」より歌詞引用

繰り返されるこのフレーズ、
モノづくりの話だけじゃ無く、
私は、「自分探し」にも当てはめて聴いてしまいます。
自分を探すんじゃなくて作っていこうという決意。

ライブハウスでお客さんが突き出す拳を見て思いついたという「グー」。
一人ひとりは孤独で、でもたくさんの熱量を持っている。
悲しい時こそ笑って、後ろ髪引かれる思いに蹴りをつけて、新しいものを、信じる事実を、作り続ける。
自分と世界とを繋ぐ何かを、
生きているという実感を
つかまえるために、結んだ手を開く。

今は孤独でも、熱量で自分を動かして周りを溶かして、繋がっていくというストーリーを感じる描写です。

ハンブレッダーズらしさ

心地よい韻、印象的なギター、元気なビート、Aメロをみんなで合唱する時間。
全部全部ハンブレッダーズらしくて、
またお守りソングができちゃった!

ここにあるものじゃ物足りないなら
これから君が作らなくちゃ

ハンブレッダーズ「グー」より歌詞引用

ドキッとしました。
私も彼らも、まだまだ物足りないんだ。

もうおもしろいことなんて思いつかないと思う日があっても、
次の瞬間根拠のない「ちょっとやばいな」ってドーパミンに支配されて、
また企みが始まる。

「躓いたりひん曲がったりしながら生きていく」

そんな私が作るラジオ!聴いてね!


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