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AB6IXの絶対的魅力(3)

BACK→本格ヒップホップに乗せる決意表明

TAKE A CHANCEー上品なアンビション

AB6IXにとって6番目のアルバムとなる「TAKE A CHANCE」は、
その製作過程を映画として収めているほど、気合の入った作品です。
「一か八かやってみよう」という意味のある「Take a chance」。
挑戦も感じられます。
アルバムの解説に欠かせない、ビジュアルイメージの話からしたいと思います。

AB6IX、上品すぎる

AB6IXのメンバーはそれぞれ見た目も性格も、個性が違って楽しいグループです。
また、全員礼儀正しくて、楽曲のオシャレさと相まって上品なイメージです。
ファンミーティングに行った時にも感じましたが、
多分とってもいい子なんだと思います。
その上品さが時に損になってしまうこともあると思います。
内に秘めた野心や負けん気、努力の汗が、上品すぎて前に出てこない。
ちょっとワルい感じのパフォーマンスにも、どこか品を感じてしまう。
ガチャガチャしたストリート系のスタイリングでは、幼さを感じる。
もちろんこれらは彼らの魅力の1つですが、
燃えたぎる気持ちやグループとしての個性、
感受性の高さなどをもっともっと表現できる方法はないものか、、
と素人なりに考えておりました。

キッチュというアンビバレントなビジュアル

ありました、そのカギが「キッチュ」です。
キッチュとは、「俗悪なもの」「安っぽいもの」という意味です。
今回のアルバムのビジュアルイメージ、そして
タイトル曲「Sugarcoat」の衣装やMVのテーマの1つが「キッチュ」です。

近年流行している「Y2K」や「ニュートロ」、「ギャル」
に通じるところもあります。
最近K-POPでは、そういったイメージを取り入れている楽曲やMVが多いです。
AB6IXもポップでカラフルなコンセプトをこれまで何度もやってきているので、
得意とするところではあり、
「ニュートロ」系は音楽性から見ても似合っていると思います。

しかし、ここに来て「キッチュ」を取り入れたことが大当たりでした。
「上品」と対極にある「安っぽさ」を持ってくることで、
いい子すぎない「こなれ感」が出ました。
とはいえ、元が上品なので退廃的な感じは一切ありません、
また、これまでカラフルな衣装の時は「可愛い」が基本にありましたが、
今回は余裕感と時代に流されない個性、
そして音楽に通じるお洒落さが際立ったと思います。
「キッチュ」を組み合わせたことで、
上品さが彼らの良いところとして立ってきたのではないでしょうか。

音楽を聴いて欲しいという思い

実は、アルバムのビジュアルは2パターン以上あることが多く、
今回も「キッチュ」の他にもう1パターンあります。
それは、全員が白いTシャツにGジャンとダメージデニムを合わせた
シンプルなルックです。
夜のネオンのようなライティングで撮影されたこちらのイメージから、
「可愛い」を跳ね除けるような、色気を纏った鋭い光と、
飾った姿よりも音楽に注目して欲しいという思いを感じました。
どちらかというと、レトロキッチュよりもこのデニムスタイルの方が
今回のアルバム全体のイメージには合っているかも知れません。

ついに心を侵食する

そして音楽のことですが、今回のアルバム、ヤバイです。
可愛いポップな曲、バラード曲がありません。

1曲目は、中毒性があり心身の奥底を刺激するような「Paranoia」です。
前作のタイトル曲「SAVIOR」が、
AB6IXにしては少々依存的なラブソングだったので、
次はどんな感じでくるだろうと思っていましたが、
「Paranoia」は危なげでどこかセクシーです。
これが1曲目なので、先述の通り、そういうアルバムです。

続く「Sugarcoat」で得意の浮遊感に包まれますが、
これも砂糖がトロッと溶けていくような感じで少し依存性を感じさせます。

そして3曲目の「Weightless」。
別れの曲で、こみ上げる切なさに実感はこもりつつ、どこか冷たく感じる曲です。

続く「Complicated」は、メンバーのいつもと違う声が聞けます。
新しい歌い方や表現のしかたを模索したナンバーだと思います。

そして「共鳴(Resonance)」。
ノリの良いビートにエモーショナルな表現が呼応する、絶妙なバランスの曲です。

続く「Crow」は、リズミカルで安定感があるAB6IXらしい曲で、
大事な人を守るという歌です。

最後の「CHANCE」は、抜群のノリの良さと明るさで、
彼らの爽やかさが生きている曲です。

安心感のある「らしい」曲の中に
危なげな雰囲気の曲を織り交ぜた「TAKE A CHANCE」。
聴き終わった時にまた初めから聴きたくなる中毒性があり、
AB6IXから離れられなくなります。
韓国語の歌詞が分からなくても、
聴いているうちに、
心のざらつきや誰かの温もりを感じるようなこのアルバムは、
ついに心に入り込む音楽を出してきたか!という感じです。

上品で元気で可愛いだけじゃない
悩みや、色気や、野心や、新たな覚悟が現れた
「今」のAB6IXの姿をぜひ、聴いてみてください。

あとがき

大好きなAB6IXの音楽の魅力について書くにあたって、
改めてたくさんの音楽を聴き、歌詞を読みました。
長いこと応援しているので、
それぞれの音楽に様々なストーリーが思い起こされ、感傷に浸りました。

感性豊かなメンバーたちのセンスが光る音楽が、
またもう一度、そして何度でも、
私の五感を、記憶を、身体を、刺激する。

AB6IXは今はめちゃくちゃ有名というわけではなく、
たくさんの賞をとっているわけでもありません。
でも私は、音楽ってそういうものだと思います。
言葉にできない感情を表現する手段であり、
世界へメッセージを伝える方法であり、
エンターテインメントのひとつです。
相対的に評価できるものではないと思うのです。

少なくとも私は、AB6IXの音楽に何度も助けられてきました。
これからも、アイドルという枠に囚われずに、
いろいろな音楽に挑み、より多くの人を幸せにしていってほしいなと思います。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

おまけ−ABNEWにしかわからんやつ

4人のAB6IXについてよく書いていますが、
MXMからのヨンドンペンだったところから始まったABNEWライフだったので、
この文章を書いていても正直ヨンミンのことをたくさん考えずにはいられなかった。
もしも5人のままだったら、また違った方向に進んだだろうな。
パラレルワールドでは、RED UPを5人で披露する世界が続いています。

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