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20年越しにPC車載の夢が叶った話

注:本記事を参考にしての施工によって、何かしらの被害を被ったとしましても、こちらでは責任を負いかねますので、何卒自己責任でよろしくお願いいたします。

「クルマにPCを搭載したい」という妄想を、自作PC大好き侍である友人たちと膨らませて、その実現方法を議論し合ったのは実に20年ほど前、専門学校の卒業を控えた頃の話でした。

当時はオーディオやカーナビを埋め込む2DINに自作PCを埋め込む算段だったと記憶しています。実際にやってみた人がネットに記事を挙げたりしていたのを見ての事だったのですが、しかし市販のベアボーンキットがあるわけでもなく、筐体から自作しないといけないのは、ロマンがありながらもハードルが高く、結局ただの夢物語で終わりました。
そもそも当時乗ってたシビックフェリオは1DINしかなかったし。

それから2~3年経った頃にも車載PCプランは再燃します。
当時、諸般の事情から、手元に見たい映像がたくさんあったものの、忙しくてなかなか見られず、朝の通勤渋滞中に見られればちょうどいいと考えての事でした。しかしその映像はDVDではなく動画ファイルで、それもMPEG2やMPEG4ではなく、当時一部の界隈で流行りだしたばかりのDivXやXviDでエンコードされたものなので、再生機器もなかなかありません。
ならば、PCを乗っけてしまうのが早かろうと。

しかしこのときも実現には至らず、結局のところ怪しげな中国製のHDDマウント型メディアプレイヤーと、これまた中国製の安いモニターを通販で買って、うまいことして車で見られるようにしました。

そんな21世紀初頭から実に15年以上経った今。
様々な問題を技術の進歩という名の棍棒でなぎ倒すような、意外な解決方法で車載PCが実現します。

ノートPCを乗っけりゃいいんだよ!!!!!!

  • 2000年初頭のノートPCと言えば、いくら安くても15万はした

  • それでいてバッテリーはすぐ劣化して、1時間程度しか持たなくなった

  • 当時のメーカー製PCは(メーカーにもよるけど)大量のプリインストールソフトが入っていてべらぼうに重かった

という環境下から、当時の私は自作PCこそコスパ最強、メーカー製のPCを買うなんて情弱もいいとこだと、公言はせずとも腹の中で思っており。
まさかその15~20年後に、家にはデスクトップPCが1台もなく、ノートPC1台で事足りる生活になっているとは思いもしなかったでしょう。
…いや、そうなってほしいとは思ってたかな。

しかしまあ、令和の今にあって、ただ単にノートPCを乗っけるだけにしても、それなりに考えることはありました。せっかくなんでその辺の施策を紹介するとともに、「見て見てボクこんなことしてたんだよ!」と日曜大工の成果をひけらかすnoteです。自己満足だよ。いいだろ。

ちなみに設置した車種はマツダ・デミオ(DJ型)です。

14インチ級のデカブツをインパネに設置する

私の愛用のノートPCはHPのENVY x360。いわゆる2 in 1ノートで、ヒンジを180度回転させればタブレット風に扱えるというものですが、その大きさはタブレットのそれを凌駕する14インチ。ついでに重さは1.2kg。
これを運転席から見える・操作できる位置に置こうとすると、市販のタブレットホルダーでは収まりませんし、耐荷重も足りません。

そこでホルダーは自作を検討……していたものの、私は日曜大工が大好きなのに木材をまっすぐ切れた試しがない事でお馴染みの不器用人間。なるべく既製品をバラしたりくっつけたりで何とかしようと100均を探していたら、木製のイーゼルを発見。これの不要な部分を切って使いました。

滑り止めはホームセンターでクルマ用のものを調達して、木工用ボンドで接着。
このイーゼルも、まさか自分が車内でノートPCを掲げる存在になるとは思わなかったろうに。

これでホルダーは完成。

次に、このホルダーをマウントするマウンタを用意します。
そもそもどうやってマウントするか…マツダコネクトモニターに荒縄を引っ提げさせるか、あるいはダッシュボードに粘着させるか…などと悩みながら、ふとマツダコネクトモニターの下部分を剝がしたら、おあつらえ向きに穴があり、ここに強度高めの板材を突っ込んで挟めばいけるんじゃないか、という事でアルミ板を切って突っ込んでみたところ、いい感じ。

あとは以前ホームセンターで衝動買いした木材の切れ端詰め合わせから材料を調達して、ノコギリで切って木ネジで固定。元来の不器用さでだいぶ不格好になってしまいましたが、ホルダーを引っ掛けてPCを置けば見えなくなるので、問題なしとしましょう。してくれよ。頼むよ。

いくら好きでも長年やってても、得意にならないこともあるのです。中学の頃、木材加工がカリキュラムにあったときの技術家庭科は通信簿が2でした。ホントどうにかならんのか。

実のところ一番悩んだのがこの部分で、それなりの強度と夏場の熱に耐える材料として最初はオールアルミを選んだものの、私がアルミの加工に慣れず難航したのと、熱で溶けないまでもアルミ自身が熱を持ったら内装を焼くんじゃないか?ということでお蔵入りになり。
その後、ABS樹脂やPP樹脂なら耐熱性もあるだろうと採用したものの、不器用さもあってこれまたうまくいかない。結局のところ木材が一番、加工が楽で耐熱性もあるという結論に落ち着いたのでした。

マウンタにホルダーをセットした様子。全体像を撮っておけばよかった

電源の確保とオーディオとの接続

いくら最近のノートPCのバッテリーの持ちが良くても、車内で充電できないのはナンセンス。しかしノートPCの給電と言えば、ACアダプタの定格を見ると大抵16~19V程度。車のアクセサリー電源では12~14Vで足りず、しかも不安定です。そうなるとコンセントが使えるインバータを設置する必要がありますが、手持ちのインバータは安物だからか騒音と排熱がひどい。

しかしここも技術の進歩でぶん殴れました。USB PDです。

USB PD対応のチャージャーもピンキリで、カー用品店やホームセンターでは30W程度しか出力できないものが目立つのですが、ノートPCを充電するならもっと大出力のものを選ばなければいけませんし、そんな電力を取り扱うなら中国ブランドは避けたいです。
そうした結果、日本のMAXWINが販売しているPCA-33Bがヒットしました。…まあ、これも中国製ではあるんですけど。

隠れてしまったハザードスイッチを押しやすくする

両方のハザードスイッチを画角に収めた結果、ターボメーター(前のオーナーがエアコン送風口をくり抜いて設置)が被写体みたいな事になってしまった図

さて、冒頭の写真で分かる通り、ノートPCを設置するとハザードスイッチがすっかり隠れてしまう形になりました。上から手を突っ込んで押せなくはないのですが、ちょっと危ないです。
実はそれが、マウンタとホルダーを分けた理由のひとつでもあって、ハザードスイッチが隠れることで車検に通らなくなるとまずいので、取り外し式にしていたのですが、ホルダーを外してもちょっと押しづらいです。

そこで写真の通り、ハザードスイッチの根元からスイッチを増設。
助手席側ダッシュボードの革の部分を引っ張ると簡単に外れ、意外と簡単に済みました。
せっかくなのでそれっぽい色とマークに塗装してクリアーを吹いています。

実際に試運転してみた様子がこちら。


作業を終えて

20年前に思い描いていた形とはだいぶ違いますが、何だかんだで夢が叶ったと考えると、なかなかに充実感を味わったひとときでした。
家庭を持ってから、独身時代と比べてクルマいじりや電子工作に時間を割きにくくなってきましたが、それでもどうにか、こうやって時間を見つけていじり続けたいもんです。

ちなみに実用的にも申し分なく、街乗りで右左折してもPCが脱落することはなく、またWindows PCが車で動かせることで、5年近く溜まったデレステのコミュ閲覧消化に一役買っております。オートにしとけばラジオドラマを聴いてるようなもんで、画面を見なくても操作しなくても消化できます。
iPadでは事足りない、Windows PCを設置したいという意図はここにあったのでした。

とりあえずひと段落ですが、ここからさらに以下を検討中です。

  • アルミ板が夏場に発熱しないように(あと怪我防止のために)ビニールテープか熱収縮チューブで保護する

  • マウンタの引っ掛けが長すぎるので切って調節

  • 流石に木材そのままは不格好なので塗装

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