ぽっしー

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最近の記事

青の世界

地球は青かった。 たくさんの人が一度は、ガガリーンの真似をして、この言葉を口にしたことがあるに違いない。 ジュアー。ジュアー。 コロン。カラン。 私の目の前に広がる世界は、いつもよりも少しイビツで、眩しいほど青い。 郷愁漂う神社とたくさんの出店。 いつもならオレンジ色に染まる時間。 私だけの青い世界。 いつからだろう。この甘味を、ねちっこいと思うようなったのは。 昔は、この入れ物が好きだった。 何かのキャラクターの顔みたいで、小さな宝石を忍ばせている。 この甘味もやさしく爆

    • たね #2

      あなたは、いつもふざけている。 私の悩みのタネ。 私思うの、あなたの笑顔は、やさしさは、決してただの潤滑油なんかじゃないって。 笑顔は、おまもり。おどけは、魔除け。 そんなんじゃない。 あなたの人生が、その苦労が、あなたに与えた大切な個性なの。宝物なの。 あなたは、いつも笑っている。 私の悩みのタネ。 あなたの笑顔がみずみずしくて、私の悩みのタネに芽が出たわ。 それは、思っていたよりもキレイな色で、見たこともないような色だった。 私は、ずっとあなたを見ていた。 苛立ちのタ

      • たね

        彼は、いつもふざけている。 私の苛立ちのタネ。 先生にさされると、人を蔑むような態度で、ふざけた返答をする。 壇上に立つと、ふざけた笑みと泳ぐ瞳、頭をかく手と落ち着かない足。「緊張しすぎだよ」みんなの言葉を待っている。 クラスのみんなは、彼をおもしろいやつと笑う。 でも、私は騙されない。彼は、クラスという樽に落とされようとするひと匙の泥水だ。 ぼくの言葉は、雪崩。ひとつの語がずれ落ちて、後ろの語を飲み込んでいく。 ぼくの言葉は、バンジージャンプ。次の動きはわかるのに、少し

        • よろい #2

          https://note.mu/possy/n/ncc466167e014 「中世の鎧は、私の体重と同じくらいあったのか」私はある夜独り言ちた。 この鎧は、思っていたよりもずっと重い。 お風呂に入り鏡を見ると、形のない罪悪感や虚無感に襲われる夜もある。 でも、これで良かったんだ。 そう信じて、体温36.6℃と、たばこの匂いが微かに残るベッドへと戻る。 「  くん、返信遅いな」 #小説 #短編小説 #ショートショート #短編 #願い #見た目

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        記事

          よろい

          ひさびさに会った君は、あの頃とは全く違った。 ニコニコしていて、グラスを片手におどけている。 「もしかして くん?」聞き覚えのある声が僕の名前を呼ぶ。 「久しぶりだな。 さん」僕は、大人になりすれ減ってしまった声で返答した。 「まさかこんな所で再会できるなんて。それに、私って気がついてくれて嬉しい」 「すっかり変わっちゃったでしょ、私」 「まぁ、少しね。                   」 私は、自分が嫌いだった。 昔から、ブサイクで、友達なんていなかった。 周りの女

          私は窓が嫌いだ。 窓は、私に青空を見せる。 あたたかい太陽の光を浴びさせる。 外の新鮮な空気を吸わせる。 それらすべては、私には不相応で 私の手に届かないところにある。 私の世界は、生まれた時から、ベッドの上だけと決まっている。 生まれつき病弱な私は、病院のベッドと自室のベッドの上を行き来する生活をおくっている。 私にとっては、この日々が日常で、他人の同情など雑音でしかない。 生まれた時から、これが私にとっての普通なのだ。 私は、過度な希望を持たず、その日その日をただ生

          卒業のテンプレート

          咲き乱れる桜。 あふれる涙。 私は、そんな卒業式を想像していた。 現実の卒業式は、想像とは全く違う。 3月は、桜の時期にはまだ早い。 予行演習で何度も繰り返した光景に、いまさら涙を流すこともない。 卒業、その言葉がただ先走る。 気持ちがまだ追い付いていない。 式中、多くの友人が涙を浮かべていた。 でも、私は泣けなかった。 桜もなし、涙もなし。 それが、私の卒業式の現実だ。 卒業と桜を結びつけたのは、どこのどいつだ。卒業シーズンと桜の季節は被らないではないか。 しかし、卒業

          卒業のテンプレート

          ただそう願う

          ぼくは、風俗に行くことにした。 その日ぼくは、友人とあるイベントに参加するために、秋葉原に行っていた。慣れない土地ということもあり、想像以上に疲れたが、時を忘れてイベントを楽しんでいた。     ふと窓から外を見ると、すでに街には夜の帳が下りていた。時計を見るとすでに22時を廻っていた。 「そろそろ、閉店かな。でも、閉店後に裏のエレベーターから降りられるから大丈夫だよ」 何度も店に通っており、この土地にも慣れている友人が言った。 ぼくたちは、閉店するまでひたすら遊ぶことにした

          ただそう願う