私は窓が嫌いだ。
窓は、私に青空を見せる。
あたたかい太陽の光を浴びさせる。
外の新鮮な空気を吸わせる。
それらすべては、私には不相応で
私の手に届かないところにある。

私の世界は、生まれた時から、ベッドの上だけと決まっている。
生まれつき病弱な私は、病院のベッドと自室のベッドの上を行き来する生活をおくっている。
私にとっては、この日々が日常で、他人の同情など雑音でしかない。
生まれた時から、これが私にとっての普通なのだ。
私は、過度な希望を持たず、その日その日をただ生きてきた。
なのに窓は、私に希望を、願ってはいけないような願いを抱かせる。

窓は、私に恋を連れてきた。

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