PostStudiumPost

岡﨑乾二郎がディレクターを務める、新しい芸術の研究拠点 Post Studuim が定期的に発信する、芸術文化全般の読むに値し、語るに値する記事=Postです。

「東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村」展をめぐって

岡﨑乾二郎

先頃、板橋区立美術館で開催された 《東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村》展は、戦後沖縄にあった、(NHK日曜美術館で放映もされ話題となった)ニシムイ美術村の活動から池袋モンパルナスを捉え直す、展覧会の構成でいえば、《第5章》の「沖縄・ニシムイ美術村」から《第3章》「戦後の池袋モンパルナス」へさらに《第2章》「池袋モンパルナスと戦時下の画家たち」へ遡る流れが核となる企画だった

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(言葉の真理あるいは)言葉の心(こころ)と理(ことわり) ——藤富保男「詩の窓」

岡﨑乾二郎

 真理の言葉というものがあるらしい。真理は真理であるゆえに、いっさい変更不能、置き換え不能、これをなにかに喩えたり、水でうすめるかのようにパラフレイズして解りやすくすることなどはできない。飲みやすくしようなどと試みて、極上のワインを水で薄めたりしたらワインも台無し、アロマ・ナンバーワンもナンバーツウもいづこともなくうせにけり。
 藤富保男さんの書かれるものはいつでも真理であるので、そ

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愚かな風

※1 ※2

岡﨑乾二郎

 ディランがアカデミックな賞をもらったのは、今回がはじめてではない。もっとも有名なものは一九七〇年にプリンストン大学でディランに名誉学位が授与されることになったとき。外野の反応は今回よりずっと小さいが似たようなものだった。いや反撥(というより嘲笑)はディランを聞いてきた人々の側にこそ起こった。まさに“How does it feel?"(どんな気分かい?)。

 逡巡す

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ディランの頭蓋を開ける─ディランの思想、夢を覗く

岡﨑 乾二郎

And if my thought-dreams could be seen? They’d probably put my head in a guillotine? But it’s alright, Ma, it’s life, and life only――It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)

メディア/ディラン/メディウム

  多

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菱田春草 を見る

岡﨑 乾二郎



0 妙竹林の実験

「見えないものをいかに描くか」。そして「見えないものを平明な構成としていかに表わすか」菱田春草の仕事を貫いていたのは、おそらくこの課題だった。

今回の充実した「菱田春草」展は、そのことが、はっきり確認できる絶好の機会である。

「見えないものを見る」というと語義矛盾にも聞こえる。正確にいいなおせば、われわれはもともと視覚的でないものを、視覚を通し

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