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光る君へ〜銀座ブルガリタワー来訪の記録 in 2024

某大河の話は一切出てきません。2024年の出来事にちょっと引っかけてみただけです🤪めちゃくちゃ個人的な内容なので公開してよいものか迷いましたが、どうしても忘れたくない一心で書き、お相手のご了承をいただいたのでアップします。よかったら、一緒に極上のひとときを味わっていただけましたら幸いです🤗

銀座2丁目の交差点に彼女が現れた瞬間、音が消えた。

艶やかな黒髪を揺らしながら「ぽたまるさぁーーん!」と無邪気に駆け寄ってくる彼女の全身からは、目に見えない光というかエネルギーが迸り出ているようで、私が篠山紀信だったなら、今この瞬間にシャッターを切りまくったに違いない。なんだろう。銀座の街がこんなに似合ってしまう人を、私は他に知らない。

ここは銀座、ブルガリタワー。今日はこれから、彼女の担当さんにアテンドされて豪奢品を2人でキャッキャと試着する算段だ。

それなのにあろうことか、この時点で私は彼女を待たせていた。待ち合わせ20分前に着いたからとマロニエ通りのスタバに入ったが最後、待てど暮らせどラテが来ず。ようやく受け取り大慌てで飲んだけれど、間に合わなかった(教訓:あの店は時間に余裕のない時は入っちゃダメです。あとあの中は完全に外国だかんね!)。

彼女ーーこいぬちゃんに会えた喜びを表現するより先に、しどろもどろに謝り倒す羽目になった自分の迂闊さを呪う。昔からそうだ、肝心なところでキメられない。これがデートだったら気まずいよなぁ、なんて思い浮かんだところで、自分の気合いの入りっぷりに気づいて我ながらちょっと引いた。

そんなわけで、ご挨拶もそこそこに早速入店。恭しく出迎えてくださったのがスポーツマスクの似合う精悍な男性であることに驚いて、「担当さん」といえば女性だという自分の思い込みに気づかされる。そしてこの後、彼の鮮やかなしごできっぷりに度肝を抜かれることになる。

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まずは、私の希望でバッグのフロアへ。こちらの記事を拝読してからというもの、「スマホ以外なーんも入らんちぃちゃい鞄」なるものを一度持ってみたくてたまらなかったのだ。しかもヘビちゃん付きのやつ!

ラグジュアリーな空間に上から下までゆったりと配置された鞄・鞄・鞄。平日の店内は無論混雑とはほど遠く、静かで温かな時間がゆっくりと流れていた。気になったものを指差してはこいぬ家担当さんに取っていただき、鏡の前で歓声を上げ、こいぬちゃんに渡し、またひとしきり盛り上がる。あるいはその逆。以下繰り返し。

天井が高く煌びやかでありながらアットホームな空間で、他の方を一切気にすることなく思う存分次から次へと試着させていただくこの贅沢さよ。それをまた、お店の方に見守られているというこの上ない安心感よ。ラグジュアリーなお買い物とはかくあるものか、と私は心ひそかに感動していた。

そして肝心の鞄はといえば、かわいいことこの上なかった。ただしブルガリの鞄はすべからく宝飾品である、というのが私の感想。これは、持ちやすさや使いやすさを求めるものではない。むしろ実用性は二の次とはっきり了承した上で、無理に使おうとはせずに、飽かず眺めて愛でるもの。私にとってはそんな感じだ。

憧れていた、持ち手にヘビちゃんがあしらわれたちぃーちゃいキラキラした鞄は、とてもうつくしくて予想外にかわいらしかった。でも私が持つと、別に変ではないけど説得力もない。モノもほぼ入らないし、なんで持ってるの?という感じ。だけどこいぬちゃんが持つと、見事に「ヘビを飼い慣らしている」感が出る!さすが。

それにしても、キラキラした小さな黒いバッグがこいぬちゃんによく似合うこと!2人ともスギサキさんのカラーレッスン受講生なので、「冬はやっぱり派手ツヤ得意ですよね!」「秋はマットなトープがいい感じですね!」などと言い合ってはいたものの、ツヤッツヤの蛇頭の金具に負けないのはこいぬちゃん個人の特性だよ。

いやー。私がブルガリの鞄を買うことは、多分今世ではないと思う😇でもめちゃくちゃ楽しかった。

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そして、こいぬちゃんのご希望でジュエリーのフロアへ。ここからがめくるめく、もはや官能的とすら呼べる時間だった。

今年節目を迎えるこいぬちゃんにお見せしたい品がある、と担当さんがバックヤードに下がる前、当然のごとく商談ブースに通される。ブルガリの!商談エリア!!と内心一人浮き立つ私。荷物を置いて、まずはぐるりとフロアを一周。こんなにたくさんうつくしいものがキラキラしてる売り場、初めて見たよ(語彙が死亡)。

昨年のリング100本試着旅で強烈に惹かれてやまなかったブルガリディーヴァが、フルラインナップの中でなんと大人しく見えることか!私が「きれい!」とショーケース越しに近寄るものはシンプル(+ちょいクセ)なデザインなのだけれど、こいぬちゃんにふさわしいのはそういうものではないな、というのがよくわかった。

果たして担当さんが持ってきたのは、とんでもないお品だった。

シルバーカラーベースにヘビの鱗がすべてダイヤモンドで表現された、華奢ながらも果てしなく手の込んだシリーズ。その、リングとピアスとネックレスをセットで。頭と胴体が等分の区画で連結されたデザインで、ネックレスに至ってはウネウネと生きているかのように可動するのだからたまらない。

宝飾品を最大限に美しく照らす光の下で、それらはキラキラ、否、テラテラと艶かしい輝きを放っていた。自信を持ってカットされたダイヤモンドたちの輝きは無論のこと、その間に超絶技巧で差し挟まれた地金の輝きが効果的だ。両者の照りが双方映えに映えて、もはや光が無限に増殖されるかのよう。

こいぬちゃんに、と差し出されたお品を横で見ているだけなのに、もはや私が舞い上がって浮き足立ってどうしようもなかった。こんなものを!ガラスも通さずに!この至近距離で見て良いものなんですかっ?!

ふと横を見ると、こいぬちゃんのまんまるな目が大きく大きく見開かれ、わかりやすく釘付けになっている。あのこいぬちゃんをして、まだ見ぬ美しいものがこの世にあるというのか。

ブランドとしておそらく誰にでも見せて良い品ではないだろう、というのは容易に想像がつく。それをこいぬちゃんに、と躊躇なく選び取るセンスと、実物を用意させるだけの胆力。こいぬ家の担当さんのことを、ふわりと空恐ろしく感じた瞬間だった。

こいぬちゃんがそろりと手を伸ばす。興奮しているのか、ほんのりと頬が紅潮している。それを見ながら思わず、女の私がドキドキしてしまった。何せ、商談ブースの真隣の席である。手をつなげるくらいの至近距離で、世にも美しい女性が信じられないほど輝くジュエリーを肌に当てている。なんだこれ。美味しすぎか。

リングは申し分なくお似合いだった。でもピアスは細くて小さめのフープタイプ。それを見て思わず横から、「もっと太いものってあったりします?」と茶々を入れてしまった。これはおそらく比較的(どんな比較だよ!!)気軽につけられるデザインだけど、こいぬちゃんの存在感に対しては華奢だと感じたから。

「ございますよ」とあっさり答えた担当さんが瞬く間に次の品を運んできた瞬間、「きゃーーーーーっ」と叫んだ。私が。

しっかり存在を主張する、ヘビの短めのボディが真っ直ぐ下に垂れ下がるピアス。もちろんこちらも頭と体が等分に連結されていて、重力でゆらゆらと揺れる。それをこいぬちゃんが受け取って耳にかざした瞬間、惚れるかと思った。割と本気で。

なんという光景だろう。

瞬きをするたびバサッバサッと音を立てそうなほど長いまつ毛に縁取られた、丸く大きな瞳。その存在感が、耳元でユラリと揺れる白銀の蛇に全く負けていない。艶やかな黒髪と、うっすら上気した頬までもがすべて揃いの宝飾かのよう。それはまるで蛇が女神に仕え、健気に慕い守ろうと寄り添っているかの如し。

そして、彼女が恭しくリングを首に巻きつけた瞬間、世界が完成した。


なんという光景だろう。


もう、言葉が出てこない。


ああ、なんという瞬間に立ち合わせてもらったのだろう。

最高のジュエリー、最高の女性、最高の接客。あらゆるものの頂点を全て掛け合わせた夢のような世界が、その小部屋の中で完結していた。この空気を真空パックに詰めて帰りたいくらいだった。なんという甘やかな空間。こんな瞬間に居合わせることができるなんて、一年前の私が聞いたらひっくり返って驚くだろう。

こいぬちゃんにとっても、これが強烈な体験だったことは間違いなさそうだ。磁力で引き寄せられるかのように、外したジュエリーから1ミリも視線を外せなくなっているのを横でニヤニヤしながら見守った。ねえ、こいぬちゃんの旦那様。こんな奥様横で見てたら、そりゃぁつい、買ってあげちゃいますわよね?今日はあなたの気持ちがよくわかる。お会いしたことないけども。

***

この日のことを、私はきっと忘れないと思う。こんな空間がこの世にあるのか。こんな瞬間って人生に訪れるのか。美しかった。本気で美しいものを見ると心がこんな風に揺さぶられることを、身をもって知った。ねえ、こいぬちゃんに惚れた男は本当に大変だね?😂

帰り際、こいぬ家の担当さんに心の底からこう言って、退店した。

「良いものを見せていただき、ありがとうございました」


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