タイムシフト、ロケーションフリー

従来、ラジオ番組で話すことができるのは、ごく一部の人間だった。普通の人はラジオで話したいと思っても簡単には話せない。

コミュニティFMやアマチュア無線などの方法もあるが、聴取エリアが限られている上に一定の設備や機材が必要だったりと金銭面的なハードルもあった。

比べて、インターネットラジオという方法では、聴取エリアに制限は無かったが、ストリーミングサーバーなどが必要となり、同時に聴くことができる人数が制限されるなど、やはり制約があった。

Podcastはというと、既存の技術の組み合わせであり、じつはアナログな方法だったので、個人であっても気軽に行えることができるのが魅力。リスナー数が少ないうちは、サーバーも高スペックである必要もにない。

いわゆるラジオでは「不特定多数が同時に聴く」ということが行われた。インターネットラジオの場合、「オンデマンド」という形で、同時ではなく聴きたいときに聴くことができたが、その都度、サーバーからストリーミングで聴くという方法だった。

Podcastは、番組となるものを録音したものをインターネット上にアップロードして公開するだけだ。写真を、写真共有サイトにアップロードしてしまうのと同じである。聴く方は、ダウンロードをして聴くので、好きなときに好きな端末で聴くことができる。ダウンロードしてしまうので、サーバーの負荷も大きくない。

端末さえあれば、好きなときに好きな場所で聴けるということで、「タイムシフト、ロケーションフリー」などと言われるが、なんてことは無い、やっていることは単純で、リスナーがダウンロードして好きな時に聴くからだ。言うなれば、ラジオの真似事をカセットテープに録音して友達に配って好きな時に聴いてもらうのとそれほど変わらない。

加えて、録音設備も大層なものは要らない。もちろん、音質が良いにこしたことはないが、多少悪くても配信できてしまう。ICレコーダーや携帯電話(当時はスマートフォンなどなかったので)などでも録音し、通常の家庭用のパソコンで編集して配信できてしまうという手軽さだった。(もちろん、凝れば凝るほど編集は手間になります)

ICレコーダーなどで録音できるので、録音の部分も「タイムシフト、ロケーションフリー」と言っても良い。しかも、更新されたらダウンロードされる仕組みであったため、定期的に決まった曜日や決まった時間に配信しなければいけないという制限も無かった。例えば1年ぶりに配信しても登録しているリスナーにはダウンロードされるという仕組みで、配信スケジュールも自由というものだったので、配信者にとってはハードルが低く、選択肢の多い方法だったといえる。

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