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高知は左右に長くて(高知旅行記)2023.07.16-07.17

1日目

朝6時。目を開けると高知県だった。珍しく夜行バスでぐっすり眠ることができて、体感としてはバスに長時間乗ったという感覚はない。
はりまや橋のバスターミナルに降りて、暑さと湿気に包まれながら今年も来たぞという気持ちになる。早朝のはりまや橋はしんとしている。そこからしばらく歩くと日曜市。すでに準備が始まっており高知の朝が目覚めようとしていた。
ホテルに荷物を預けてから日曜市を歩く。初めに食べるものは決めていた。MASACASA TACOSのタコスだ。高知県の素材を使ったタコスはスパイシーながら優しく美味しい。今回は豚のホルモンを挟んだものが美味しかった。

今回の高知旅行はこれまでとは視点を変えて、高知市内以外にも足を伸ばすことに決めていた。日曜市を見て回ったあとは高知駅に移動して、特急に乗り土佐久礼駅を目指す。

しかし倒木の影響でなかなか電車は来ない。しばらく待って30分遅れで電車は到着。涼しい車内で揺られながら西を目指す。

海が見えた。咄嗟のことだったのでピントは合わなかった。

海が見えてきて、綺麗だなと思っていると土佐久礼に到着した。駅舎に人はおらず、線路の向こうに広がるトンネルとその上に広がる緑と青があまりにも夏だった。

土佐久礼駅から歩いて10分ほどで久礼大正町市場に到着する。カツオを食べるならここという名所だ。先日、梅田の阪神百貨店の高知フェアで食べた田中鮮魚店のカツオが美味しく、ぜひ現地で食べなくてはと思っていたのだ。

田中鮮魚店はその場で購入した魚を向かいの店舗で食べさせてもらえるスタイル。僕はカツオの刺身、タタキ、そしてウツボのタタキを頂く。「一人で食べ切れる?」と聞かれたが多分大丈夫だろう。

しばらく外で待って、番号が呼ばれたら中へ。そして運ばれてきたのがこの量だ。たしかに一人で食べる量ではないが、高知の魚なら多分すぐになくなってしまう。ご飯と味噌汁とともに頂く。
感動の美味さ。特にカツオの刺身の新鮮さは今までで一番かもしれない。タタキも美味い。夢中になって食べ進める。途中で塩とニンニクを追加して食べられるのもよし。土佐久礼に来てよかったなあ。

食後腹がいっぱいになったので電車の時間まで散策。市場の外にある駄菓子屋兼甘味屋さんでかき氷を食べる。ひやしあめ味がさっぱりと美味い。

それから地元のスーパーまで歩いて、よさこいデザインのスーパードライなどを買う。そうこうしているうちに電車の時間になったので乗車。

帰りは鈍行に乗る。ワンマン電車に揺られながら疲れが溜まっていたのだろうウトウトと眠る。1時間半ほど揺られて高知市内へ戻る。ホテルにチェックインしてシャワーを浴びて冷房で体を冷やすと疲れがすっと抜けていく。17時頃まで部屋で過ごす。

17時に再び外出。高知に住む友人Oさんと絵金祭りを見に行くことに。Oさんは大学の友人でもう13,4年は付き合いがある。高知に行くと必ず会ってくれて高知の色々なところを見せてくれる。素敵な友達なのだ。
高知から電車に乗って「あかおか」を目指す。次は東に向かって電車は走る。

絵金は幕末から明治にかけて土佐で活躍した絵師で歌舞伎などを題材にとった屏風絵が有名である。絵金祭りはその貴重な絵を屋外に展示して、さらには蝋燭の火で灯すというイベントだ。
お酒を飲みながら夜になるのを待つ。そして夜の帷が降りて、ロウソクに火が灯されると絵金祭りのはじまりだ。

屏風絵の中でダイナミックに動き、時に血に塗れて苦悶する表情が、ロウソクに照らされて幽玄な美しさを湛えている。すごい、すごすぎる。地元の方の解説も聞きながら町中を歩いて絵を見て回る。大満足だ。

あかおかから高知まで電車で戻り(1時間に1本ペースなのを忘れて駅でめっちゃ待ってしまった)、Oさんと一杯だけ飲もうということになり、深夜まで開いている「とさ」へ。

「もうほとんど売れちゃったよ」と女将さんが言うが、それでもネイリの刺身に、川海老の素揚げといった高知の地のものを食べられて満足。最後にハムエッグを食べる。お店は深夜でも賑わっていて「お父さん一人で料理してるからこれ以上は出されへん」と女将さんが言う。それなりに食べて飲んだところで店を出る。やっぱりいい店だったな。Oさんが帰るのを見送ってからホテルに戻る。一杯やろうかと思ったがすぐに寝てしまう。

2日目

朝6時起床。昨日〆にと買っていた金ちゃんヌードルにお湯を入れて食べる。身支度を整えてチェックアウト。10時に再びOさんと待ち合わせて今日は梼原町へ。折坂悠太のライブを見に行く。ありがたいことにOさんが車を出してくれた。道中、Oさんに教えてもらった自由軒というラーメン屋でピリ辛ラーメン。暑いけど美味い。

それから梼原町に向かって走る。梼原町の名前で「書林くものうえ」という無人の古本屋さんがあったので立ち寄る。ミシマ社の本を推していたりしていてチョイスがいい。コーヒー屋さんや弁当屋さんも並んでいていい場所だったな。

梼原町に到着。町全体が整備されていて綺麗な町だ。こんなところに住みたいなあと思う。ライブまで時間があるので「雲の上図書館」へ。隈研吾建築の建物で、館内は靴を脱いで裸足で歩くのを推奨している。写真撮影や、場所によっては飲食も可能で人々が集まる場所としての図書館といった感じでとても良い。

本のチョイスから館内の配置まで、「ゆっくり本でも読もうよ」という心遣いを感じられる。きっとこの町の時間はゆっくりと流れていて、ものを考えるのにとても良いのだろうと思う。感銘を受ける。
時間になったのでライブ会場の「ゆすはら座」へ。かつては公民館として使われていた、木造建築のステージ。一階と二階が選べたので二階へ。そこは座布団を敷いてのんびりと座ってみることができる特等席。本当にいい場所だな……。

この場所で聴く折坂悠太はあまりにも最高だった。ギターを鳴らし、歌声を響かせると木造建築に響いて微かに震える。この雰囲気とさらには折坂悠太の粋な口上とがマッチしていて、ああここまで足を運んで(運転してくれたのは友人だが)よかったなとしみじみ思う。
アンコールが二度あり、折坂悠太も二度目は想定していなかったようで「何しましょか」と問いかけると「角部屋!」とリクエストが入る。「いいですね」と応えて折坂が歌う。最後は会場全体を包みこんでの拍手喝采。素晴らしい公演だったなあ。
終演後、サイン会があり手ぬぐいにサインを頂いた。大事にしよう。

それからOさんの車で高知市内に戻る。お互いの話をする。車に乗っているとどんどんと深い話になってくる。

市内で降ろしてもらって、Oさんとはここで別れる。別れはいつも寂しい。「また会おうね」とついつい何回も言ってしまう。
一人になって、まだバスまで4時間ほどある。コインロッカーに荷物を預けて夜の市内を歩く。しかし祝日は想定外のお休みが多くて、3軒ほど連続でお店に入れず。駅の近くの「あおき」という居酒屋があったので入る。

奥にあるのが新子

女将さんがフレンドリーで刺身を一人前盛り合わせにしてもらう。そこに「新子」も入れていただいたので嬉しい。「塩タタキは温かいうちに食べてね」という言葉に従い食べる。当然美味い。酒席で東京から来た落語家の方と話をする。寄席と寄席の合間に休みができたので飲み歩く旅をしにきたそうだ。
まだまだ飲み足りないので二軒目に。「おおい」さんへ。ここは酒飲みのTwitterの友人たちもオススメの店として教えて頂いていたのだ。

よだれ貝食べたかったなー

珍しいサバのタタキをいただいて食べる。あー美味い。こういう食べ方もあったんだな。ハイボールで始めたがこれは日本酒だと久礼をもらって飲む。続いて食べたハチクのきんぴらも絶品。今度は腹ペコで来なくては。

日本酒を3杯飲んで結構気持ち良く酔った。バスまであと1時間といったところだったので酔い覚ましに高知を歩く。楽しかったなー。

23:15の夜行バスに乗る。名残惜しいが今回の旅はここで高知とお別れ。今回行けなかったお店、まだまだたくさんあるな。冬あたりにまた行きたいと思いながら、眠りにつく。

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