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この本の前にも後ろにも上にも下にも内にも外にも人生は続いてる 2024.01.20

朝5時半起床。出張へ。京都府南部まで電車に乗って向かう。出張先は前の職場の先輩や同僚が働いているので会えるのが楽しみだ。同業他社の仕事内容を見ていると刺激的で面白い。何人かの方と話が盛り上がって、一緒に仕事しましょうということになる。会いたかった先輩にも会えた。昼は仲の良かった同僚と再会して、一緒にラーメンを食べに行く。何もかもが懐かしい、また一緒に働きたいなという話をする。

電車を乗り継いで北花田に向かう。北花田のイオンモールにある無印良品で、岸政彦さんとスズキナオさんが『大阪の生活史』のトークイベントをする日。開始時間を記憶違いしていて、1時間前に会場に着いてしまうが、打ち合わせを終えたナオさんと合流してコンビニで1缶飲む。

開演前のナオさん

イオンモール北花田の無印良品は、今まで見た無印良品の中で一番大きかった。もはや巨大なスーパーであり、ホームセンターであり、街だった。その一角の本を売るコーナーに、『大阪の生活史』のコーナーがあって、天井に吊るされた目次から自分の名前を探す。トークイベントはレストランのスペースを借りての開催だった。ドリンクを受け取って、席を確保する。お菓子のサービスがあったり、空間も開放感があったり、椅子も座り心地がよくて、無印の良さが生かされた空間だ。近くの席に、ホリーニョさん、ヤスモトさん、Iさんという岸先生のイベント常連メンバー。僕の隣にガキさんが座る。

どうやら無印良品の中でマグロの解体ショーをやっているらしく、「ここでやってくれへんかな!」という岸先生の話からトークイベントはスタート。

前半はナオさんの聞き取りの話が興味深かった。
・都島のそば、うどん屋「こっぺ」にアポを取りに行ったがその日は雨だったので「やめておこう……」となった。
・アポ取りに昔「こっぺ」でバイトをしていた人に同行してもらったが、店主がその人のことを覚えていなかった。
・聞き取りは営業時間中に時間を見つけて。天ぷら玉子そばを20杯は食べた。昼食とは別に食べていたのでめちゃくちゃ太った。
・献本を持って行ったが「いらない」と断られたので家に2冊ある。

それに対して岸先生が「老舗の蕎麦屋じゃなくて街のなんでもない蕎麦屋なのがとうとい、そういう残さなければ消えてしまう語りを残したかった」と言っていた。
中盤は岸先生の話の中に印象深い話がいくつかあった。
・マイノリティは語らされる、という問題があるが『大阪の生活史』にはマイノリティの方が聞き手側に回って自らのことは語ることなく原稿になっている、という例があってそれが嬉しかった。
・この本の前にも後ろにも上にも下にも内にも外にも人生は続いていて、『大阪の生活史』は1200ページもあるかもしれないけれど、人生に比べたらめちゃくちゃ薄い、一部でしかない本。

終盤は齋藤直子先生(おさい先生)も参加しての話。岸先生が「ほらあの話」「いや俺にしか分からんやん」など仲良く話を引き出しながら話していたのが良かった。齋藤先生のファンデーションを落とす話は何度聞いても「大阪やなあ」と思う。

終始、岸先生はバンバン笑いを取り、時折客席にキラーパスが飛ぶ、めちゃくちゃ楽しいイベントだった。
終演後、岸先生にサインをもらうための本を忘れた上に売っている本は全部持っていたので、サイン会の列には入らず(齋藤先生にどんくまを描いて頂くチャンスを逃してしまった…)、常連のみんなと無印の一角でビールを飲み始める。
サイン会が終わり、販売用のサイン本を岸先生、齋藤先生、ナオさんが作っている間も我々はビールを飲み続けていたので岸先生から時折ツッコミが飛んでくる。周りがめちゃくちゃ健康的な無印のご飯を食べている中でひたすらビールを飲み続ける我々。

サイン本を作り終えた岸先生と齋藤先生、ナオさんも合流して軽くビールを飲む。岸先生は体調が戻られてから最初のビールだったようで「お前ら見てたら我慢できんくなったわ!」「やっぱビール美味いなあ」と仰っていた。
先に岸先生と齋藤先生は帰られて、僕、ナオさん、ガキさん、ホリーニョさん、ヤスモトさん、Iさんで飲みに行く。結局19時半くらいまで無印で飲んでいた。二軒目はイオンモール近くの焼き鳥屋へ。

酒が入りまくってめちゃくちゃ昔の恋愛の話などをしてしまう。ホリーニョさんとヤスモトさんにめっちゃいじられた。なんかもういいやという気持ちになってめっちゃ喋った。最高。
その中で、人との出会いとか思い出とかとどんな風に向き合っているかという違いが面白かった。帰りに一人になって考えて、ようやく言葉になったのが、僕は人との記憶を図書館の本みたいに扱ってるんだなあと思った。
いつ開いてもその本に書いてある情報は変わらないが、読むたびに受け取りかたが違う。ただ読んだ記録だけが、本の末部に取り付けられた図書館カードに蓄積されていく。過去に読んだ時の記憶は思い出せたり思い出せなかったりするけど、本は長い間自分の中に収蔵され続ける。そんな風に自分の中にある記憶と向き合ってるなあと思う。

23時過ぎまでひたすら話して飲んだ。みんなで御堂筋線から帰る。一足先に天王寺で降りて、なんとなくもう一杯飲みたくなって、家の近所のバーでクラフトジンを飲んでから帰った。

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