見出し画像

京都音博の思い出

今年も京都音楽博覧会が開催される。今年で17回目。

2007年の第1回から通い続けている音楽フェス。
長男出産(8月)で参加できなかった2019年を除いては、すべて参加してきた。
出産翌年の2020年、7月に次男を出産した2021年も、コロナ禍の影響でオンライン開催だったので参加できた。

学生時代こそ、いくつかのフェスに観客として参加したりスタッフとして潜り込んだりしたけど、
もうこの10年(もっと、かな)音博にしか参加していない。
転居、結婚妊娠出産などを経て、音楽やライブとの関わり方も変化したけれど、「これだけは絶対に」という気持ちで毎年参加している。

音博の思い出を個人的な思い出と共にダラダラ語りつつ、音博の楽しさってなんだろうと考えてみる。
今年初参加する人の参考にはなるかもしれないしならないかもしれない(たぶん、ならない)
音楽に関しては全然詳しくないので、コアな音楽ファンは回れ右だよ!


音博は雨。ミスチル、くるり、雨。小田和正も雨。

音博といえば雨。
音博が開催されるのは9月後半の3連休あたり(3年ぶりのリアル開催だった昨年、そして今年は10月)。
なので暑さの記憶はあまりない。

でも雨の記憶だけはめちゃくちゃある。

2007年の1回目。
当時私は広島に住んでいて、音博の前日は広島ビッグアーチ(現エディオンスタジアム広島)でのMr.Childrenのスタジアムツアーを見に行っていた。
そのミスチルのライブの日、広島は雲ひとつない晴れだった。
市内中心部の自宅からスタジアムがある広域公園に到着し敷地内をスタジアムに向かって歩いていると、みるみるあたりが薄暗くなった。
突然の土砂降り。
雨用の装備を1つも用意していなかった私と友人はずぶ濡れ。物販で何か凌そうなものを…と思ったけど、買えたのは細いマフラータオルだけだった。
その後もシトシトと降る雨の中、マフラータオル1本で野外ライブを耐えた(ライブは最高でした)

翌日は晴れ。新幹線で京都に移動しても晴れ。
1回目は確かチケットもめっちゃ安くて、飲食ブースもめちゃくちゃ充実していて(この頃は地元のカフェや飲食店がたくさん出店していた)
いや〜最高だねー!とフェスを満喫していた。

雲行きが(文字通り)変わったのは、小田和正の演奏中だった。
歌う小田和正の背後から、黒い雲がぐんぐんやってきて雨が降り出した。
いや、この光景は2年目だったかも。とにかく小田さんの背後から迫る黒い雲のインパクトたるや。
すっかり「小田さんが雨を降らす」という印象がついてる。

結果、前日のミスチルに続き2日連続のずぶ濡れ。
濡れたまま新快速に乗り、当時高槻に住んでいた友人宅に震えながら辿り着いた。

私の中で
くるり×ミスチル→雨
くるり×小田和正→雨
となってしまったので、2016年にミスチルが音博に登場した際は嫌な予感しかしなかった。
そして天気予報的にも不安がある中、くるりとミスチルがコラボした曲が「シーラカンス」
いやもうめっちゃよかった。岸田さんがミスチルと共演したかったのがこの曲、というのもよかった。
…よかったんだけど、これは雨乞いじゃないか…と思ってたら、半端なく雨が降って途中で、音博は中止になった。
途中で中止になったのは、昨年までの16回でこの時だけ。

2007、2008と出演して雨を降らせた小田和正が2011に再び登場したとき「これは…」とがっちり雨の準備をして行ったけど、この年はたしか降らなかった。
小田さんのせいにしてたけど、雨男は大工さん(同じく2007、2008年に出演された大工哲弘&カーペンターズ)だったのではないかしら…(でもまた見たい、大工さん。なんと朝ドラに出てた!)

3年ぶりのリアル開催だった去年は、ほぼ1日雨が降っていた。
装備はバッチリだったけど、10月の雨の中、終日立っているのはしんどかった。
しんどかったけど、音博らしいねって笑えた。
オンラインでは味わえない。

音博に行くみなさんは、街フェスだからと侮らないでレインコート、長靴のご用意をお忘れなく。会場内、傘はさせません。

「博覧会」の名前を裏切らない

いきなり天気の話から始めてしまったけど、音博の魅力は当然音楽。
音博は「フェス」ではなく「博覧会」と名乗っているだけあって、その年のフェスシーンで活躍しているアーティストだけじゃない、トリッキーというかマニアックなブッキングが特徴的。

前述の大工さん(琉球民謡)もそうだし、
ルーマニアのロマ音楽のグループ(2007タラフ・ドゥ・ハイドゥークス)とかアイルランド・ケルト音楽のユニット(2008リアダン)とか、ジャンルレス。
演歌歌手の石川さゆりが初めてフェスに出たのも音博だった。
彼女は2009と2011の2回、音博に出演しているけど、
2009の時、私は友人たちと最前列で見ていて
「天城越え」で拳を突き出しながら「これは完全にロックだね!」と興奮して話したのを覚えている。

小田和正さんみたいなJ-POPの大御所が出演した時「事前に食事に行った時、岸田くんが僕の〇〇という曲について熱弁してくれて…」みたいなエピソードがごろごろ出てくる、岸田繁の音楽愛がダダ漏れのラインナップなのだ。

毎年「ご飯を食べるために捨てるアーティスト」を最初に友人と話し合うんだけど、
国内の有名なバンドより、一見マニアックな異国のアーティストを優先しがち。
だって音博だから。聞いてほしいのはこれだろ?って気持ちで挑んでいる。

最近は参加する私も歳をとり、新しい音楽をなかなか取り入れられないでいるけれど、
去年の音博でVaundyを初めて見て心を奪われ、あれから1年近く毎日聴いている。
音博が私の中で果たす役割もちょっと変わってきているかも。

「音博のお客さんは最高」

これ、最初の年にめっちゃ思ったし
エンディングで毎年のように岸田さん佐藤さんも言ってる。

音博はお客さんが最高。

なにがって聞かれたらよく分かんないけど。
ふわっとした印象だけど、あんまりウェイ!って感じの人がいない。
マナーがいいのもそうなんだけど、嫌なノリがない。みんな音楽が大好きできてるんだなぁって感じであったかい。

5、6回目からは子連れのファミリーが増えてきた印象もある。それが馴染む。
いつか私も子供を連れて行きたいなと、独身時代から思っていた。

最近のフェスの環境配慮事情がどうなってるかはよく知らないんだけど、音博は初期からゴミの分別を徹底していて、食器はリユース。
会場内もゴミが散らかっているイメージも(私が見た限り)ない。

くるりが京都の町を想う気持ちが、ちゃんとファンにも伝わっている。だから、長く続いてほしい、続けたいという観客とくるりの思いが、梅小路公園に集結してるんだと思う。

音博のくるりは本当にいい

これは書いておきたかったこと。

音博のくるりの演奏、パフォーマンスはすごくいい。
ワンマンはもちろん最高なんだけど、
音博の主催者でありヘッドライナーである、くるりのパフォーマンスを音博の締めに聞くと
「今年も音博良かったなぁ。音博のくるりは最高だなぁ」と毎回思うのだ。

主催者として裏では大変なことも多いだろう。
いろんなものをきっと背負って最後にパフォーマーとしてステージに立つくるりは、毎回すごくいい。

毎年最後に「宿はなし」を聞くと「ああ、今年も音博に来れて良かったなぁ」と言う気持ちになる。

音博のくるりの良さを全然言語化できていないんだけど、このnoteを書くにあたって絶対に外せなかったのはこのこと。
「想いが乗ってるからかな」とか言っちゃうのは簡単だけど、なんだかそれで片付けるのはもったいなくて。
今年も、それを確かめるためにまた音博に行く。

いつか出てほしいアーティスト(メモ)

音楽を聞いていると
「ああ、この人音博に出てくれないかな」と思うことが多いので、思いつくままに自分のメモをここにおく。
今後もここに追加していこ。
実現可能性のことはまったく考えてません。
届け!

クラムボン
安藤裕子
土岐麻子(1回ゲストボーカルで出てるけど)
東京スカパラダイスオーケストラ
YUKI
TOMOO
星野源
上白石萌音
ウ山あまね

私と京都音楽博覧会

離婚中に行った音博で高橋優が刺さりまくったこととか、
西陽で顔をしかめながら歌う椎名林檎とか、
ワンマン後のサイン会で「音博皆勤してるんです」ってくるりに直接伝えられたこととか、
音博について語りたい思い出はまだまだあるけど、なんだかまとまらないのでこのへんにしておく。

2023年、17回目の音博は初めての2days開催。
チケットを取り、ホテルを確保した。
2daysということでいろいろ悩んだ結果、音博当日は上の子も連れて行くことにした。
昨年の音博でVaundyにハマった母(私)から毎日聞かされ、保育園で怪獣の花唄を熱唱している4歳児(音博当日の年齢)。

2007年、音博1回目は広島に住む新社会人だった私は、
広島、福岡、高松、大阪、そして明石と移り住み、結婚して離婚して結婚して、2児の母になった。
各地から毎年京都に向かうのは、お盆や正月のような年中行事だ。
1回目から一緒に参加している友人とは音博以外で会う機会がなく、でも年に1回京都で会える大事な友達。

今の私はエンタメの現場に行くにはいろんな調整が必要で、それゆえ面倒くさくてなかなかライブには行かなくなったけど、それでも絶対に譲らないと決めたのが音博。
今の私が息子と見る梅小路公園の景色を、音を、すごく楽しみにしている。

岸田さん、佐藤さん、過去のメンバーやスタッフの皆さん
今日音楽博覧会を作って続けてくれてありがとうございます。

いただいたサポートはおいしいおやつに使わせていただきます!