私は学生ながらにこっそり踊ってみたをしていた
誰にもバレたくないからずっとマスクだった

学校入学時、1番大事なのは
どうグループの輪に入るのか
まともに人と話せない私にとって
1番苦手なことである

女子クラスというのもあり、
ここで上手くグループに入れないと
今後の学生生活が詰む確率が上がってしまう

私は入学式の日同じオタクのオーラをまとってる人
2人に勇気をもって声をかけてみることにした

見事にオタクだった

その中の1人がネットで絡みのある子がいると
ある1人を連れてきた

クラスの中で1番綺麗で高嶺の花みたいな人
休み時間も1人イヤホンしてずっと何かしている
この人はさすがにオタクじゃないだろ、、？

普通にオタクだった

ある年の夏、夏休みが明けて
高嶺の花(以後花子)と授業中にペアで作業していた時
花子が話しかけてきた

「(本名)さあ、踊ってみたやってる？」

時が止まった

事情を聞くと花子の姉が踊ってみたが好きで
たまたま勧められた動画に私がいたらしい

幸いにも理解のある友達で、
踊ってみたの事はずっと周りに黙っていてくれた

ある日花子たちとお昼を食べてるとき
「盛岡にメイドカフェがあるらしい！」と
その話題で持ちきりになった
私は可愛い女の子が好きなので、詳しく話を聞くと
どうやら花子の姉が働いているらしい

これは行くしかない！

初めて行ったメイドカフェ「めいど〜る」は
とても夢のようだった
床も壁も全部ピンクとハートだらけ
フリルたくさんのメイド服を着たメイドさん
みんな可愛くて優しい
大きなステージが別室にあり
そこでアイドルみたいにみんなが歌って踊る

花子の姉「るきちゃん」とも挨拶をした
このるきちゃんとの出会いが私の今後を大きく動かす

るきちゃんはとにかく天然だ
会話すると独特な空間に引き込まれて
最終的に頭の中に「？」が残る
でもすごく一緒にいて楽しい

その半面、るきちゃんはとんでもない行動派である
やりたいと思ったらすぐ行動する
やりたいと思って5年かける私とは真逆のタイプ

るきちゃんと何度か会っているうちに
一緒に踊ろうという話になった
今度は一緒にイベントに出ようと誘われた
めいど〜るのステージ、盛岡のDJイベント、他の踊り手さんとコラボ……
るきちゃんに誘われるままあれよあれよと
いろんなイベントに出て、動画を出した

気づいたら私はめいど〜るで働いていた

色んな理由はあるが、メイド喫茶で働けばかわいい女の子に囲まれながら働けて幸せなのではというただの下衆な理由が大半である
今まで働いたことがなく、
まともに会話ができずかなり迷惑をかけたが、
ご主人様お嬢様が全て個性として受け止めてくれた
おかげで少し人との会話もできるようになった

このめいど〜るでたくさんの出会いがあった

花子とは今でも友達で、卒業アルバムの寄せ書きに
「ファンです」と書いてくれたことを覚えてる
現実世界の初めてのファンで、
今もこっそり応援してくれてる

ここで出会ったご主人様お嬢様は
今でも応援してくれている人が多い

ここで出会ったメイドさんは文章にしきれないくらい今でも仲良くしてくれてる人が多い
イベントで何回もお世話になってる人もいれば
別の形で頑張ってる姿をみて
刺激になってる人もいる

ぽてそのターニングポイントで、
忘れたくない前世のお話