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アメリカの中学校で「もやし」を育てる

娘が通うアメリカの中学校理科の授業では、「水耕システム」(Hydroponics System)について学ぶ時間がありました。そして最終的には、各生徒が水耕システムを作り、提出することが課題に挙げられました。

そうした授業がある前から、私はキッチンでブロッコリー・スプラウトを育てていました。アメリカのスーパーで売られているスプラウトは新鮮でない上に値段が高く、量が多くてすぐには消費しきれません。ならばと、自分で栽培し始めたのです。なので、そんな大仰しいことを言わなくてもと、思ってしまいます。システムというほどでもなく、必要なものは、種と水と器と、光を遮る段ボールくらいでしょうか。

アメリカの学校の授業で配られたプリントを読むと、アリゾナやイスラエルなど乾燥した地域や国への対応策として水栽培を挙げ、少ない水や土地で野菜を栽培できる、とあります。その上で、水耕システムを自分なりに作るのが課題になっていました。その際、緑豆(Mung Beans)を育てるのです。アジア系なら馴染みのある「もやし」です。

いつも思うのですが、アメリカの小・中学校教育はとても頭でっかちで、理論や構想は壮大なのですが、それを実際の実験や日々の暮らしに落とし込むプロセスが雑なのです。高校教育になってようやく、そうした粗雑な部分がなくなってきます。逆に、日本の場合は、身の回りから課題を見つけるのは得意ですが、それを学問的な理論と結びつけることが弱いと感じます。

最近では、「もやし」もアメリカで市民権を得て、スーパーでも売られてはいますが、典型的なアメリカ人の食卓に「もやし」が上がることは、まずないでしょう。なのになぜ、生徒にとって馴染みのない「もやし」を実験で使うのでしょうか。

そんな疑問を抱きながらも、興味を持った私は、試しにキッチンでもやしの栽培も始めました。後日、娘から聞いた話ですが、中国系の友達のお母さんも同様に、キッチンでもやしの栽培を始めたとか。なんだかとても嬉しくなりました。

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