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アメリカの高校生はどう努力するか

前回のコラム「競争しないアメリカの高校生」では、最後に「アメリカの学生は、何をインセンティブにこつこつ努力するのでしょうか」と問いかけて文章を締めくくりました。すると早速、友人から、その答えが知りたいとリクエスト。きちんと読んでくれた証拠で、とても嬉しいリクエストですが、さてどんなものなのでしょうか・・・

アメリカの高校生が、全く周囲の仲間と競争しないわけではありません。そうではなく、「競争」する意図が、日本とアメリカでは異なるのです。日本をはじめ、中国、韓国などアジア諸国は、自分と他者との関係を序列するために競争するのが盛んなように見えます。他者と比較競争することで自分の位置を確認し、安心したり不安に思ったりする習性があるのではないでしょうか。極論を言えば、他者に競争で勝つために努力をするのです。

一方、アメリカの場合、自分の位置を確認するために他者と競争するのではなく、純粋な興味や好奇心が起爆剤となり、目標とする何かを成し遂げる途中で、熾烈な競争が起こるのです。そして、その競争は、日本のようにウェットではなく、かなりドライな感じがします。つまり、競争に負けても、勝った者に対して尾を引くような妬みや恨みはなく、実にあっさりしています。もっと悔しがってもいいのにと、歯がゆくもあります。教師として、また父兄として傍から見ていて、子どもの反応の違いに驚かされます。

つまり、インセンティブを外部からの動機付けだと定義するならば、アメリカの学生の場合、外部からの刺激というより、内からわき出る興味や好奇心をきっかけに、自分なりの目標や夢を持ち、その目標や夢の程度に応じて、意欲と集中力を持ってこつこつ努力をするのではないでしょうか。好奇心から来る集中力や持続力は、若さの特権のような気がします。

もちろん、アメリカの学生の皆が、そうした好奇心や興味を持つわけでも、また目標を自分で定めて努力できるわけでもありません。なので、公立高校で大勢の生徒を見ていると、生徒によって学習能力と意欲は、天と地の差です。その場合、アジア型の競争社会は、理由がどうであれ、期末試験や受験シーズンが来れば、外部から否応なしにプレッシャーがかかるので、悪くはないのかもしれません。

別の言い方をすると、理由がどうであれ、努力することには違いありません。でも、アメリカの大学受験では、エッセイ提出が求められます。そして、そのエッセイは、SAT/ACTスコアや、課外活動でもらう賞などが、単に他者に競争で勝つことを目的とした努力の結果なのか、それとも自分自身が本当に好きで、自分で目標を設定し、その目標に向かって強烈な情熱を持って努力した賜物なのか、を見極める判断材料なのかもしれません。

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杉原ひろみ

アメリカの公立高校で教師をしています。アメリカ東海岸在住18年。家族は日本人の夫と娘(10年生)の3人。子育てと仕事をとおして、アメリカの教育や、海外で暮らす子どものアイデンティティ形成について考えます。

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