母と私と、時々、ハワイ。

4年前の3月。私と母は生まれて初めての海外旅行に行った。

その年の3月に、母が還暦を迎えるにあたって、私は1年間お金を貯めて、ハワイ旅行をプレゼントしたのだった。

親孝行=ハワイ旅行、というのはリリー・フランキー氏の『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』を読んだ影響だった。いつだったっか、号泣しながら読んだこの本の中の、ボクがオカンをハワイ旅行に連れて行くエピソードが大好きすぎで、私も節目の親孝行には是非真似したい!と心に決めていた。

特にツアーにも入らず、4日間わたしたち母娘は、生ぬるいハワイの街を、食べたり飲んだり買い物したり綺麗な景色をみたり、という母が大好きなことをひたすら一緒に楽しんだ。

私は持ち前の長女パワーで、すべての手続き、支払い、お店の予約、英語でのモロモロをこなし、母は私について歩けば心配ゼロという状態のフルアテンドを実行した。母はのびのびとオリジナリティ溢れる楽しみ方をしていた。

ナンバープレートが可愛い、と写真におさめる母

3日目の早朝。私は単発のアクティビティ「ビーチヨガ」を申し込んでいた。朝6時にビーチ集合で、母は寝てたい(あと運動が嫌い)と言うので、私ひとりでビーチに向かった。

朝日が昇り始めた早朝のハワイを歩くと、自分がちっぽけなような気持ちと、なんでもできるような万能感が交錯し、やたらとハイテンションになった結果、「産んでくれてありがとーーー!!!」と、母への感謝が爆発した。

自分で働いたお金を貯めて使って、フルアテンドでぐったり疲れているにもかかわらず、やはりこの世に産まれてこなかったら、こんな経験はできなかったんだ!というプリミティブな感動に支配され、そのまま神聖な気持ちで挑んだビーチヨガで、ずぶ濡れになった。(最後に海に入るなんて聞いてなかった)

すっかり陽も昇り、ホテルに戻って母と朝食に出かけてもいいけれど、なんだかまだ一人でいたい気持ちになり(服も乾かしたかったし)、私はフルーツとスパムおにぎりを買って、ビーチで一人ぼんやりとした時間を過ごした。

ダイヤモンドヘッドに登ったり、アラモアナでお買い物したり、ウルフギャングでステーキを食べたり、パンケーキを食べたり、いろいろ派手な観光もしたけれど、4年経った今も、この時、ひとりビーチでぼんやり過ごした30分ほどの時間が一番思い出に残っている。

たいそうな事は考えなかったし、考えさせない空気感しかないので、本当にただぼんやりと、波音を聞きながら、小腹を満たしたその少しの時間。

きれいだなあ、たのしいなあ、おいしいなあ、心地よいなあ、来てよかったなあ。

全身で、自分ぜんぶで、こんな気持ちになることを、「幸せ」っていうのかもしれないなあ。


あれから、4年。毎年3月になるたびに、母は「またハワイに行きたいなあ」と言う。しばらくは私も「連れて行ってあげた」という気持ちが大きかったが、今となると、自分のためにも、一緒に行ってよかった、と心底思う。

あの旅行は、自分の意志で、幸せになれるという成功体験のひとつとして、自分の中に蓄積しているし、あの時、無意識に湧いた「産んでくれてありがとう」という、純粋な感謝の気持ちを、はっきりと思い出すことができるからだ。

またいつか、二人でハワイに行けるだろうか。

私もこの先ずっと、3月になるとハワイに行きたくなるだろうな。

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コメント9件

mamegumiさん☆ありがとうございます!!私にとっても素敵なお話なんです。
お母様、後ろ姿カワイイ。母娘でのハワイ、私もいつか実現させたいです!母が元気なうちに…♡
つぶまるさん☆本当は場所関係なく親孝行すべきなんでしょうが、母娘海外旅行はオススメです!
私も初めてのハワイ(28歳!)母と二人で行きました。ワリカンでしたけど(笑)
まだロイヤルハワイアンの前に小さな滝?噴水がありました。あの頃のワイキキとずいぶん変わりました。
もう母を連れて行くのは難しいのかなと思うと、本当にいろんな意味で思い出深いです。そんな思い出を思い出させて下さった記事、ありがとうございました。
他の記事もゆっくり読ませていただきますね(^^)
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