「豊かさ」を諦めかけていた。

90歳の修一さんと87歳の英子さん。ご夫婦の生活を追ったドキュメンタリー作品『人生フルーツ』を観てきた。

まず単純に、お二人の年齢をみて、ご高齢だな、と思うだろう。観る前は、古き良き日本の暮らしを大事にしている、日本昔ばなしみたいなお話なのかしら?と想像していたが、もっともっとリアリスティックで、若い人こそ見るべき作品だと思った。


本当はわかっている、というようなことが、年齢を重ねるとどんどん増えてくる。

たとえば、コンビニ弁当より手作りのお弁当のほうがいいこと。採れたての野菜の味が、スーパーで買った野菜の味とは違うこと。自分で収穫した野菜は特別美味しく感じること。メールより手書きのお手紙のほうが気持ちが伝わること。街が発展して便利になるのはうれしいけど、緑が減るのは悲しいこと。

本当はわかっている。

この「本当は良い」だったり「本当は好き」な方を選択するほうが、自分の身体や、地域や、環境に断然良い事なのを、知っている。

しかし、多くの人が(わたしも)、そちらよりも、楽な方、安い方、簡単な方を選んでしまう。このご夫婦に「どうしてわかっているのに、そっちを選択するの?」とまっすぐな眼で尋ねられたら、私はなんて答えるのだろう。想像するだけで、恥ずかしくなる。

このご夫婦は「本当はわかっている」方を選択してきたひとたちだ。それはどれも、作中で「時をためてきた」と表現されていたとおり、一朝一夕にはいかないものばかりで、実に50年、ふたりはふたりが「そのほうがいい」と思う生き方を、時代に流されることなく続けているのだ。

そして、これが人生で得るべき「豊かさ」なんだ。

「時間はかかるけど、コツコツと。自分でできることは自分でやっていると、何かが見えてくる」修一さんのそんな言葉のとおり、自分たちで身体を動かす二人から、これからの人生で得るべきものを教えてもらった。

お互いを「さん」付けで呼び、同じ方向はみているけれど、向き合っていないというか、それぞれが役割をこなして日々ご機嫌で過ごしている姿は、夫婦像としても憧れる。その距離感であるからこそ「彼女は、僕にとって最高のガールフレンドです」と人生の幕引き前に、率直に言えるのだろう。素敵すぎる。

人生は、必ず終わる。

残り時間、コツコツ、ゆっくり。私も、本当の「豊かさ」を、自分のひとつひとつの選択で得ようと思うのだった。

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asami.m

映画と海外ドラマ、読書が好きです。結婚生活、育児生活についてたまに書きます。札幌市民。

映画レビュー

観た映画の感想。

コメント5件

unimamさん☆機会がありましたら、是非ドキュメンタリー観て欲しいです!!
似たようなこと考えてました…。ばーむろーるさんの感じ方、さすがです~★
hashitashikiさん☆恐縮です~♡これはもう全国民一度立ち止まって観た方がいいと思いました!
『本当の「豊かさ」を、自分のひとつひとつの選択で得ようと思う』そうですね。ひとつひとつの小さな小さな選択、何年かかろうと何十年かかろうと最後は豊かな大地「大いなる川」に辿り着きましょう!!
いや!その道を歩み始めた時から豊かさは始まっているのかも・・・
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