コミュニケーションスキルの話


コミュニケーションの分類

コミュニケーションの定義は多岐に渡り、どのように分類するかについても複数の観点があります。
【規模】
・個人内/対人コミュニケーション
・集団内/集団間コミュニケーション
・組織内/組織間コミュニケーション
・国家内/国際コミュニケーション
・文化内/異文化間コミュニケーション
【双方向性】
一方向/双方向コミュニケーション
【情報形態】
言語的/非言語的コミュニケーション(パラ言語を含む)
【メディア】
対面/非対面コミュニケーション
【目的】
・描写/伝達/説明/説得/交渉/欺瞞/娯楽など
【関係】
・夫婦/親子/兄弟/教師と生徒など
・親疎(親しい間柄か否か)
・社会的地位の高低



コミュニケーションに必要なスキルの全容

【人間の情報処理についての知識】
・記憶の危うさを理解する
・思いこみの影響を理解する
・感情の影響を理解する
・社会的圧力の影響を理解する
・人間の情報処理の弱点 (誤解, 記憶違い, 勘違い)を補う方略を理解する

【コミュニケーションの機能についての知識】
・コミュニケーションが思考に及ぼす影響
・コミュニケーションが感情に及ぼす影響
・コミュニケーションが人間関係に及ぼす影響
・非言語的コミュニケーションの機能

【コミュニケーション・メディアの特性についての基礎知識】
・対面コミュニケーションの特性を理解する
・電話コミュニケーションの特性を理解する
・メール・コミュニケーションの特性を理解する
・各メディアの長所を生かし短所を補うための方略を理解する
・各メディアを用いる際のマナーを理解する

【ベーシックスキル】
・目的に応じた言語表現ができる (語彙, 文法など)
・目的に応じた非言語表現ができる (視線, 表情, 動作,パラ言語など)
・わかりやすく話を組み立てることができる
・論理的に話を組み立てることができる
・受け手の既有知識, 理解力や状況に応じて話を組み立てることができる
・時間制限や状況に応じて話を組み立てることができる
・適切な自己主張ができる
・共感的に他者の発言を受け止めることができる
・他者の反応 (言語反応 非言語反応) を敏感に察知することができる
・他者の考え方・感じ方を推察できる (他者の視点に立てる)

【説明スキル】

・要点を明確に伝えることができる
・制限時間 (制限文字数) に応じて長さを伸縮することができる
・受け手の状態 (既有知識, 理解力など) に応じて説明の仕方を変えられる
・受け手の既有知識につなげる形で説明することができる
・受け手の理解を促進する具体例を用いることができる
・受け手の理解を促進する補助ツール (概念図やイラストなど) を使える

【スピーチスキル】
・問題を提起し、論を展開し、 結論を導くことができる
・根拠に基づいて論を展開することができる
・論の根拠をサポートする具体的な証拠や例を挙げることができる
・反論を想定し, 再反論することができる
・論理的に内容を構成することができる
・受け手に理解しやすいように内容を構成することができる
・受け手の関心を引くように内容を構成することができる
・決められた持ち時間に応じてスピーチを組み立てることができる
・スピーチの際に言語的・非言語的情報を活用することができる

【レポート (論文) 作成スキル】
・正しい書きことばが使える (文法、語彙, 表現など)
・公共性を意識した文章表現ができる
・問題を提起し、論を展開し、 結論を導くことができる
・論理的に論を展開することができる
・根拠に基づいて論を展開することができる
・論の根拠をサポートする具体的な証拠を挙げることができる
・反論を想定し、 再反論することができる
・要点を抽出し, 要約を作成することができる

【コミュニケーションメディア活用スキル】
・目的に応じて適切なメディアを選ぶことができる
・各メディアの長所を最大限に生かすことができる
・各メディアの短所を補う工夫をすることができる
・各メディアを適切に組み合わせて用いることができる

【討論 (共同思考) スキル】
・他者の発言を正しく理解することができる
・根拠を明示して意見を述べることができる
・討論の主題に関連づけて発言することができる
・討論の目的 (拡散か収束かなど) を意識して発言できる
・他者の発言を効果的に引用して発言することができる
・他者の発言に適切な質問や意見を出すことができる
・タイミングよく (文脈に沿って) 発言できる
・他者からの質問や意見に対して適切に対応できる
・発話交代を適切に行うことができる討論の進行役をつとめることができる

【プレゼンテーションスキル】
・プレゼンテーション・ソフトを活用することができる
・論理的に内容を構成することができる
・受け手に理解しやすいように内容を構成することができる
・受け手の関心を引くように内容を構成することができる
・プレゼンの際に言語的・非言語的情報を活用することができる
・決められた持ち時間に応じてプレゼンを組み立てることができる

【画像活用スキル】
・文書の内容を補う簡単なイラスト(挿絵や説明図)を作成できる
・イラスト集等から目的に応じたイラストを選び出すことができる
・イラストを効果的にレイアウトすることができる
・デジタルの静止画や動画を撮影することができる
・デジタルの静止画や動画を編集することができる
・デジタルの静止画や動画を効果的に活用することができる

【資料作成スキル】
・課せられた様式に合わせて自在に文書を変形することができる
・図(チャートやダイヤグラム) や表を作成することができる
・数値情報を適切に表やグラフで表すことができる
・見やすく情報をレイアウトすることができる
・文字のファントやサイズを目的に応じて選択することができる

【人間関係調整スキル】
・コミュニケーション・トラブルの発生を予想することができる
・コミュニケーション・トラブルの予兆に気づくことができる
・コミュニケーション・トラブルを解決することができる
・適切な主張・反論・要求 ・ 拒否・ 弁明 謝罪ができる
・適切な自己開示ができる




参考文献

三宮真智子、思考・感情を表現する力を育てるコミュニケーション教育の提案: メタ認知の観点から、鳴門教育大学学校教育実践センター紀要 19, 151-161, 2005

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?