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過ぎてく日に走り書き

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#家族

娘の築いた時間と父

「おとうは出てこないで」 小学二年生の娘は、その体に不釣り合いな大きな掃除機を抱えて、せっせと掃除に励んでいる。自分がこれから使うところだけ。 秋晴れの清澄な空気がカーテンレースをほどよく揺らす。ずっとそこに居座るように見えた入道雲はいつの間にか姿を隠していた。 娘が友達を家に招待した。 学区内の保育所に入れず、彼女は誰も友達のいない小学校に入学した。周りは既に友達のコミュニティが出来上がっているなかで、他人なのは彼女だけだった。 学区が違ってもすぐに友達はできるか

take you to good places

風に揺られてふわふわと雪が舞う。 雨のようにじめじめとしていなくて、雲の合間からは陽の光が差し込むし、何よりも季節を感じさせる光景だから親しみと暖かみを感じる。 だから食べ過ぎで膨れたお腹を軽くしようかと、散歩に行こうなんて思ってしまうんだろう。ドアを開けた瞬間の吹きつける風の冷たさに、ああそうだった。これが冬でしたよねと思いだして後悔する。憧れは妄想、吹きつける風と雪の冷たさはリアル。 非日常なリアルが続いた今年にも年末はやってきて、我が家から大掃除がなくなることもなか

夢はみんなでオムライスを食べること

”ゆたかさ”とはなんだろう。 欲しいものをあげれば息つく暇もなく溢れ出す。かっこいい車、バイク、テントサウナ、コンクリートの車庫、倉庫、薄い備前焼の皿、炭酸メーカー・・・・。 全て欲しいしあれば嬉しい。 でもそれを手に入れたら、更に欲しいものがきっとでてくる。 それを求める僕の心境ってあまり”ゆたか”ではないように思う。 ご飯を食べれて、お家で眠れて、子どもたちがすくすく育つ。 時々だから嬉しく思える旅行や外食ができるゆたかな生活。 さらに、みんなでオムライスが食べれ