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ぜんぶ

わたしが生まれた時、あんまりに反応がなく泣きもしないので祖父が「この子は耳が聞こえないに違いない」何度も検査に連れて行ったらしい

何度も“いないいないばあ”をしてくる親戚のおばさんのこと面白い人だなぁと思って見ていたのを覚えてる

最初に通っていた幼稚園は自由で先生たちも果物やお花のような人たちばかりだったんだけど、引っ越し先の幼稚園は軍隊みたいだった
母はその頃、幼稚園の先生からわたしには自閉症の傾向があるって言われていた
らしい

小学校に上がると子どもたちの言動が不思議で仕方なかった
授業にはついていけず走ってもドベタかドベタから2番目
でも、球技や水泳は得意だった

学校では一言も話さない
帰宅後は学年もばらばらな近所の男子グループと探検をしたり秘密基地を作ったりして誰かのお母さんが「ご飯だから帰って来なさーい!」って叫ぶまで遊び倒していた

この頃の男子の会話って「おりゃー!」「ぐあー!」とか擬音語で成り立つとか、身体の大きい子は小さい子に手加減したり優先してあげたり、喧嘩はするけれど無理強いはなくて言葉は乱暴なんだけれど分かりやすくて優しい平和な世界だった

相変わらず学校では一言も話さないままだったけれど中学生になって、近所のおばあちゃん姉妹がやっている文房具店にセーラー服で行って「あんた、女の子やったんかいな!」とバレるまで男の子になりきってそれなりに子ども時代を満喫していた

中学生になっても時折、鏡文字を書いちゃったり得意なことと不得意なことの落差が大きかった
そんなわたしを好いてくれる人たちと嫌悪感丸出しの人たちがいた
どちらの人たちとも、どう関わってよいかわからなかった

動物と特別学級の友達といるのが楽しくてお年寄りにも可愛がってもらってた
でも、子どもの頃から1人でいる時間の無限に広がる世界が1番楽しかったな

今は色んな人と出逢って関わりを持って明るく快活なわたしで過ごしていることが多いけれど子どもの頃のような隅っこから、じとーっと自分メガネで世界を観ている自分がいなくなったわけではなくてどんな自分にもちゃんと居場所を与えて安心していられるようにしている

明るいわたし
暗ぁぁあいわたし
親切なわたし
意地悪なわたし
自信のあるわたし
妬み嫉みのあるわたし

どのわたしもぜんぶわたし
ぜんぶのわたしに居場所があればいい
いつも同じであろうとしたり誰かと関わっていようとしなくていい


最近メガネを新しくしました
自分に似合うメガネを探していたけれど
めんどくさくなって1番好きなメガネにしました
フレームの径が6cmほどある!

ぜんぜん似合ってないけどハッピーです

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