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パールピアス:接着について

別記事にしております【接着系アイテム】について。
以前の記事はこちらから

今回はもう少し掘り下げてみようと思います。

「パールが取れてしまう」という問題。。

当店では接着アイテムにつきましては宝飾品に使用される専用エポキシ樹脂系接着剤を使用してパールやストーンを接着しています。

まとめますと「急激な温度変化に弱いのではないか。」という点。
どうしても季節によっては配送中に急激な温度・湿度変化が起こり、こちらで確認したときと状態が違ってお手元に到着することがあるのではないかと・・特に冬場と夏場に多く感じています。
引き続きいろいろと研究を重ねたり、情報交換もしておりますが、どんな製品を使っても、考えられる手間という手間をすべてかけても、
やはり何パーセントかの割合では起きてしまう、100%には到達できないというのが現在の状況となります。

元来研究好きなこともあり、自信を持っているところもあったのですが・・昨年の夏は、、完全に自信を失いかけ。。
今後商品のラインナップから外してしまうことも割りと真剣に考えております。

修理としてお受けさせていただくことは可能ですが、短期間に何度もとなった際にはやはり、こちらの接着の問題か、またはお客様による取り扱いかの原因の切り分けが困難であるということに今回初めて頭を悩ませました。

ですので今回は正しいピアスの取り扱い方をまずわかりやすくご説明させていただきます。

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高価なファインジュエリーでも廉価なアクセサリーでも、このようなピアスはストーンやパールが接着剤でついていることが多いので、キャッチを外すときには必ず

『ストーンやパールを道具にしない・取手として使わないこと。』これが大前提となります。

1 耳朶に付いた状態をご想像いただいて、パールには触れず、親指を針の底にあて、人差し指でキャッチを後ろに下げる 
2 1で空いたゆとりに、パールと耳の間に親指をぐっと入れ込んでパールとパールを支える金具ごと支えながらキャッチを掴んでまっすぐか確認しながら外す

手間は掛かりますが、二段階の作業で耳たぶから外して下さい。
パールを直接掴んでしまうと、思いの外、力が加わってしまうものです。
キャッチを外すときに、パールをそのまま掴んでしまう。。これは想像するよりも何気なく、悪気無く、やってしまっている方、多いのではないかなと今回いろいろな情報交換で知りました。

個人的なはじめての破損体験では、私は最初に手にしたパールが思い出深く、大切なものだったのですが、接着剤でついているとは、、当時なぜか思いもしなかったんです。
できるだけトラブルを控えて使用したいから、初めてのリペア以来ずっとこの方法です。

そもそも取れるシーンって、そのパールピアスを使いたいと思っているときなんですよね。
そしてまずジュエリーショップに行くという時間を作らなくてはなりません。
そして修理費も昔よりも上がってきているのと、その場でいただけることもありますし、郵送してくださることもありますが、後日・・取りにうかがわなければいけないとなったら、、またその時間を作って・・と、ひとつのピアスのためにとても大変な思いを。。

接着剤は永久に変質しないものではありません。
どんなに丁寧に扱っていても数年に一度はやはり確認が必要です。
パール自体を掴んでしまうと、そのときは問題なくても、必ずその回数分だけ接着強度が弱まって来ていると考えていいと思います。
なるべく金具部分を持つようにしていただきますと負担が掛からず永くご使用頂け、また万が一取れてしまった場合にもパールルースを紛失、落下させてしまう予防にもなります。

そしてもうひとつ。

ピアスの着脱について、原因の切り分けにいろいろと情報を得ましたが、キャッチの掴む方向によっても閉まる方向に無意識に持ってしまっている方もいらっしゃるようでした。
金属キャッチB型になっている側面を意識していただきますと外すときにスムースです。
まれに縦方向、キャッチの形をBと図で表しましたときの上下の方向で掴んでしまって(閉めていることになるのですが)そのまま引き抜こうとして力が必要以上に加わることもあるようです。

よく破損させてしまうという方いらっしゃいましたら、今後の参考にしていただけますと幸いです。
そして接着も自身でできますと本当に便利です。
接着剤の種類を間違えるとパールやストーンに曇りが出たり質感がそこなわれますので必ず【エポキシ樹脂系・二液タイプ】で。

もう少し踏み込んで、接着のコツと致しましては
1古い接着剤をなるべく取り去り接着面をキレイにアルコールなどで拭きます
(模造パールの場合についてはアルコールなどは付着させない方が無難です。この場合空拭きを。)
2二液混ぜるタイプのエポキシ系接着剤を準備
3各液同量をよく混ぜ合わせ(分量が少しでも変わると硬化の状態が変わってまいります。同量という表現が難しければ硬化剤を絶対に多くしない。)かなりしつこく混ぜ合わせ、空気を含ませないよう扱ってください(ここが結構イチかバチか)
4混ぜ合わせた液を塗り、パールやストーンをはめこみ、こちらの際にも空気が入り込んでいないかを確認の上、24時間触れずに完全に乾く(厳密に言うと液体の化学変化となりますが)硬化するまで触らずお待ち下さい。

宝飾店でのリペアも年々料金が上がってきているように感じます。

そしていくら専門の方にやっていただいても取れるとき・・は・・取れます。
取り扱い方によってまったく頻度が異なると思います。

また経験からだと宝飾店の場合・・かなり強固にされる方は、できあがりに安心感はあるのですが、年数が経ってくるとパールはまだ取れていないのに、新しいときには見られなかった接着のはみだしなどが結構すごくて
経年で徐々にそのあふれんばかりに塗られた接着剤が変色して黄ばんだ色が現れてしまうことがあります。。

どれをとっても一長一短なので、制作目線でも、かつ一般消費者としての目線でももう永遠のテーマ・汗

保管状況でもまた変わってまいります。

パール(本真珠)と接着剤はどちらも湿気を嫌う性質がございます。
そして引き出しなどで保管の場合ですと、防虫剤、こちらもパール・接着剤ともに嫌う性質がございます。
なかなか盲点なのでこちらにもご注意下さい。(保管されるのであれば除湿材がおすすめです。)

制作及び破損時やメンテナンス時、全ての場合において、持てる全ての限りを尽くしますが、それでも短期間でも繰り返し取れてしまうような場合
私が未熟であることももちろんあるかと思いますのでなんともはがゆく、申し訳ない気持ちで一杯ですが、上記のことで原因の切り分けも困難となって参りますので、ご自身でのリペア、またはご自身での宝飾店への持ち込み修理なども視野に、どうか容赦いただきたいと思います。

もちろんご自身で修繕下さっていて、こちらへ報告があがらないものなどもあるかと思います。

私の接着の未熟さもありつつ、お客様各位ピアスの寿命を延ばす方法にもなりますので、今一度注意点を意識した上、お使いいただけますと幸いです。

付けたい。絶対の感じで付けたい。
絶対に付けたい。
いつか絶対の絶対に、付けたい。(切実)

発送事前の確認ではたまに絶対に付いているか確認するためにねじ切ってしまうときもあるほどです・汗

お届け時、できるだけ万全の状態でお渡しできるよう接着部分を新しいものに交換させて頂いたり、何度かテストのため、ご購入後4.5日お時間を頂く場合がございます。と余裕を持って発送をお伝えしておりますので何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。