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ビックモーターの除草剤って…

ビックモーターの除草剤散布の話題
いろいろ話になっている。


それについて、noteでもみなさんいろいろ書いている。


畜産の現場でも、除草剤というのは必要不可欠
全く何も使っていないということはあまりないと思う。

というのも、農林水産省からの指導が入るのだ。

農林水産大臣が、
家畜の飼養に関わる衛生管理の方法に関し、
家畜所有者が遵守すべき基準を定めているからだ。
(飼養衛生管理基準及び家畜伝染病予防法第12条の3)

飼養衛生管理基準において、
「衛生管理区域内の整理整頓及び消毒」
という項目に、
①衛生管理区域内は、ねずみ等の野生動物の隠れられる場所を無くしている
②病原体が残存しないよう不要な資材等の処分、除草等を行うとともに、
 資材、機材等を整理整頓し、敷地を定期的に消毒している
という項目が存在するのだ。

飼養衛生管理基準ガイドブックの動画版においても、
草刈りを推奨している。



牛・豚・鶏など、畜種によって、
除草するメリットが異なるので、それは別の記事で書こうと思う。



それはさておき、ビックモーターで使われていた除草剤が何なのか、
容器を使って断定しようとしている人たちもいた。


だが、除草にも関わっていると、少し違和感があったのだ。
というのも、Googleストリートビューで映っていたという除草剤

これの除草成分は、グリホサートカリウム塩なのだ。

これで雑草を除草することは出来るだろうが、
木まで枯らそうとすると相当難しい。
しかも、低木ではなく、高木(高さ3m以上の樹木)である。
話題になっていた除草王 ザッソージエースを使って、
樹木を枯らすというのは違和感があった。


そこで、除草成分が検出されたとの報道はあるが、
”どの”除草成分なのか、ということが気になった。
すると、

静岡県の土壌調査で発見された除草剤成分は、
・グリホサート
・ブロマシル
が検出されている。


だが、この2つ
除草剤の成分であることは間違いないのだが、
除草されるメカニズムが異なる。

グリホサートは、アミノ酸生合成阻害剤という部類で、
タンパク質の生合成阻害をすることで除草効果を発揮する。
別の言い方をするのであれば、茎・葉除草剤
代表例はラウンドアップだが、日本において商権を持っている企業が、
詳しい説明を書いてある。

https://www.nissanchem.co.jp/news_release/news/n2020_01_23.pdf


ラウンドアップの現状説明会
日産化学株式会社

これで木を枯らそうとすると、単純にかけるだけというわけではない。
ある程度の雑草であれば、かけるだけだが、
樹高が高いものを枯らそうとすると、一苦労であるらしい。

https://www.pref.nara.jp/secure/292262/%E8%B3%87%E6%96%991-2%E3%80%80%E9%99%A4%E8%8D%89%E5%89%A4%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%83%85%E5%A0%B1.pdf


奈良県 除草剤に関する情報

ビックモーターの映像では、木は立っているものの枯れているという、
立ち枯れともいうべき状況に見受けられる。
ということは、この資料にあるように、木をドリルなどで開けて、
ラウンドアップを注入した可能性は否定できない。



もう一つの除草成分である、ブロマシル
ブロマシルは、土壌処理型や光合成阻害型なんて言われる除草成分

ブロマシルは根っこから除草成分を吸収すると、
光合成でエネルギーを作ることを阻害することで除草する。

しかも、「松の近くでは使用しないでください」
そんな文言が書いてあるくらい、木を枯らす。
梅や桜が枯れたなんて話も聞くので、特別なことをしなくとも、
木の根元に散布するだけで木まで枯らしてしまうのだ。


立ち枯れのような樹木がビックモーターの前には映っていたので、
ドリルで穴をあけて、グリホサートの除草剤を注入したわけでないとすると、ブロマシルの除草剤を木の根元に撒いたという方がしっくりきたのだ。


https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/joho/minigijutsu/documents/mini34.pdf


長野県林業総合センター ミニ技術情報
ブロマシルによる樹木に対する影響


既に生えている雑草に対しては、グリホサート系除草剤で、
これから生えてくるであろう雑草には、ブロマシル除草剤で、
など、時期や場所、どんな雑草を除草したいか、など、
そういったものを考えて除草剤を選ばなければならないのだ。

というわけで、除草剤は成分を見て、
用法容量を守って正しく使いましょう!!

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