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終わりと始まり。友の墓参にはエゴしかない。

享年27歳。

彼に会いに来るのはボクのエゴだ。彼が望んでいるかいないかも分からない。彼はココロに語り掛けもしてこない。
ボクは彼の事をほとんど知らない。
一緒に何かに打ち込んで汗をかき、涙するなんて思い出もない。
学校でしか会わない友達のトモダチと言う距離感。

墓石の上に鳥の糞が落ちたような白い跡があった。
手水で水をかけて指で擦ってみる。
白いソレはおちた。
手が冷たい。

寒いかな。持参した布切れで墓石の水滴を拭き取る。

まだ日が低い時間の横から指すような日差しが墓石にあたり、光る。

ボクは話しかけるが、相手は愛想がない。
ボクに返事を返さぬ愛犬だってもう少し、愛想が良い。
彼は昔からそうだった。
あまり無駄口がなく、声をかけるとボソボソと一言二言コトバを返す程度だった。

暑がりだったな。と言うより汗かきだったな。

線香2本を立てる。本数に意味はない。
テキトーだ。

改めて手を合わせる。
なあ、〇〇。久しぶりやなあ。

そんなに話すこともない。
山肌に立つ墓園から見える風景の写真をスマホで撮って、そこを後にした。

彼の事でボクが知っている事はそれほどないのに、彼の人生の終盤は小説のような思い出すのも悲痛なエピソードが並ぶ。
古くからの良き友人(ボクと共通の友人)に恵まれていた事は唯一知る幸いな事だ。

ボクが九州で暮らし、商売の丁稚修行に苦渋を味わい、へこたれていた頃、遠く大阪から届く彼についての幾度かの知らせは辛いものだった。

それにも彼がピリオドを打った。
父親への強いメッセージを残して。

何も知らないし、知った気でいるな!と彼に責められるかも知れないが、あの時ボクのココロに浮かび、日記帳に記したこと。

親の期待と自分の思い、望みと現実、ズレ。
ココロのバランスを崩し病に苦しみながらも、勤めを再開し続ける。働くと言う事の意味。
逃れると言う事。伝えると言う事。愛すると言う事。

彼に他の選択は無かったのか?

ボクに何か彼に対しての選択は無かったのか?
ボクは何もしていない。何もしない選択をしたんだ。自分の生き死にの決断を考えていた頃。

ボクはその後、雇い主からの有らぬ疑いと人格への責めに耐えきれず勤務中の店内で泣きじゃくるなどしたあげく、辞職願を出し、程なくで大阪に戻ってきた。

そして自分の救いの為に新しい道に進み今に続いている。

時々、ボクは、ボクが、今の仕事に就き、続けている意味を思い出しに、ここに来る。

ボクのエゴだ。

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rin

ニチジョウとダジャレと時々、マジメな事をつぶやきます。 テーマに統一性がありません。キャラに一貫性がありません。あしからず。 職業的アイデンティティとしては「ソーシャルワーカー」が一番しっくりきます。 妻ー柴犬さくらーボク(ヒエラルキー順)で暮らしております。
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