<経営の話 V字回復と浪漫飛行>

<経営の話 054>
ノルディックスキーのジャンプV字飛行は以前のスキーを2本揃えて飛ぶスタイルのフォーム点が減点されても、V字にした方が飛距離が出る。見た目より距離を採った。
私もなりふり構わず、外からの目を気にしすぎず、とにかく煎餅焼けるお店に戻すことを優先した。
飛距離(売上)は伸びてないというより大幅減だが、以前できなかったことができるようになった。
経営者の見栄として、規模が大きい方がすごいみたいなのはある。
そういうのは全く興味がなかった。生き残ることが最優先。

帰って来たとき、業績めちゃくちゃ悪かった。
売上が減ったからと言って新規店舗を出しても売上は回復しなかった。
むしろお腹急降下、ピーピー、
下りのエスカレーターに乗ってて走っても走っても上には上がれなかった。

そんなときはやっぱりV字回復したいと思う。
1日でも早く損益分岐点を1円でも超えたいって最早祈りに近い。
んがしか〜し、そうは問屋が卸してくれない。
売上たくさん欲しくても売れるものを自社で製造できないのだ。
自分の無能さを呪い、こんな状態にした責任者を恨む。

あと3年で、5年で、、、と何度期待し、それを自分自身に裏切られたか。
思い出すだけで泣けてくる。
何十年かけて悪くして来たんだから、元に戻すのだって同じくらい時間がかかるよなと自分に言い聞かせた。
そもそも元に戻そうなんて気もなかった。
無理に上がろうとするんじゃなくて落下する力を利用してできる仕事は何かと考えていた。
売上が減ったからあれができないではなく、お店減らしたら販売から製造に人が回せるなとか、
営業時間減らしたら休みを増やしてあげられるなとか。
店舗を減らしたり、営業時間を短くしたり、アイテム数減らしたり、積極的に落下することで選択の自由度を増やす。
上がろうと無理をすれば、必ずどこかに過度の負担がかかって壊れる。
それこそ取り返しがつかない。

この2年くらいでようやくマイナスがかなり減って来たところだが
まだまだゼロのスタートラインには立てていない。
魔法の杖はない。
一つ一つほころびを直し、穴を埋めていく地道な作業だ。
苦しさの裏側にあることに目を向けて〜 全てはそこから始まるはずさ〜
マイナスをゼロにするのはゼロからプラスにするより時間と労力が恐ろしくかかる。
のんびりやっててはダメだけど、そう簡単に結果は出ない。
辛抱強くやるしかない。

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