仕事と育児を両立させながらMTGを頑張る工夫

皆さんこんにちは。久しぶりに長文を書くので初めましての方も多いかもしれません。シミチンと申します。青緑のカラーをこよなく愛することから、巷ではシミックの王子と呼んでいただいたこともありますが、どちらかというと今は王子と言うよりおじさんです。MTG歴は長く、過去にはプロツアーサンデーに残ったこともありますが、今は仕事や家庭とのバランスをとりながら程よい距離感でMTGを続けています。どうぞよろしくお願いします。

さて、先日行われたGP名古屋では、運良く準優勝という結果を残すことができました。チームメイトの活躍に恵まれたところも大きくはありますが、これをきっかけにとあるパパさんMTGプレイヤーの方からどうすれば仕事と育児を両立させながらMTGを頑張れるのか、何かの媒体で取材されてほしいという要望を頂きました。とはいえ、自発的に取材を受けというのは難しいので、こう言った形で記事を久し振りに書いてみることにしました。

0. バックグラウンドなど

まずは大前提として、自分の今の状況やMTGにおける目標、スタンスについては先に記載しておきます。共通項が多いほど、参考になる情報も多くなるかなと思います。

・社会人歴9年目のサラリーマン
・結婚4年目、子育て3年目、共働き
・全てのプロツアーに出るのは難しいが、年1回くらいは出たい。あわよくばそこでマネーフィニッシュする程度には勝ちたい
・上記を達成するため、国内GPには出て上位を狙いたいが、海外GPの参加は状況制約的に難しい

MTGをやるからにはある程度目標を持ってやりたい、その目標としてはやはりプロツアー。願わくば、年に1度くらいは出場したい。そのようにお考えの方は決して少なくないのではないかと思います。自分も例外ではありません。
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目次
1.仕事面での工夫
2.家庭での工夫
3.MTGでの工夫
4.終わりに&これから
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1.仕事面での工夫

ある調査ではMTGプレイヤーの平均年齢は29歳だそうで、多くの人が仕事をしながらMTGに取り組まれています。多くの社会人プレイヤーが努力するのは、いかにして遠征のための休みを確保するか、いかにして平日の労働時間を抑えるかだと思います。

休みの取り方

プロツアーやグランプリのために遠征をする場合、会社を休まなければならないタイミングが必ずあります。その際、有給が出来るだけ取りやすくなるよう、普段から僕はMTGが何なのかについて部署の人全員がわかるように説明をするようにしています。最も簡単な手段としては、飲み会等でチャンスがあれば、自分が出たフィーチャーマッチの動画や記事は積極的に見せます。自分が出ているのがベストですが、それが難しければ、他人が対戦している動画でも良いと思います。とにかく、何をしているのかを実際に見てもらうことが大事です。やがて、勝ち上がれば賞金があり、海外への航空券がもらえて代表選手として世界大会に招待される、と言えば、大半の人には興味を持ってもらえると思います。
幸いなことに、最近は日経新聞でもeスポーツが紙面を賑わすような世の中になりました。そういう意味では、これまで以上にMTGというゲームの理解を得ることは易しくなっていると思います。

(百聞は一見に如かず。カバレッジを見せることは少なくありません)

帰り方

働き方改革が叫ばれる時代ですが、慢性的な長時間労働はMTGをプレイするにも障害になります。こればかりは会社や業界、仕事内容によって左右されるところは大きいのでなかなか自分の努力だけでは解決できないことも多いと思います。ただそれでもやれることとして、今日は必ずMOでスタンダードのリーグを5戦しよう、ドラフトをやろう、だから◯時には帰ろうといった縛りを仕事開始前にかけることは有効です。労働時間が長くなってしまう原因のうち、自分で解決できるのはこの意識の部分ではないかと思います。

さて、ここまでは仕事面での工夫でしたが、本当に大変なのは家庭面です。

2.家庭面での工夫

※個人の価値観によって立ち回りも変わります。これが1つの正解というわけではなく、あくまで、私の価値観ということでご理解ください。

互いにfairが基本原則

幸いなことに、私は結婚して間もなくして子供を授かりました。しかし残念ながら生活水準を維持しつつ首都圏で家族3人を養うには夫婦どちらか1人だけでのサラリーでは十分とは言えず、共働きを選択しました。
共働きをする上では、男女は基本的にfairであるべきと考えます。育児や家事の負担が女性に偏ることはあってはなりません。お互いの会社の飲み会など、その日の予定に応じて、保育園の送りか迎えか、片方がどちらか1つをそれぞれ担当します。ただし、育児は勿論のことこれまで碌に家事をしてこなかった自分には育児や家事のハードルは決して低くありませんでした。(一人暮らし時代の私の家の惨状はそれはそれは酷いものでありました)

(育児休職、そこはまさしく”Training Ground”)

そこで、妻の妊娠判明後からは徹底的に家事の基本を覚えました。皆さんは違うかもしれませんが、洗濯の仕方、掃除の仕方などなど完全にレベル0からやっていくのは大変でしたが、子供が産まれてからでは覚える暇がなくなるので、この期間がトレーニング期間でした。
子供が産まれてからは、2週間の育休を取りました。当時弊社では珍しかったのですが、世の中の流れ的には追い風でした。この2週間で、今度は育児の基本を徹底的に覚えました。性別的にどうしようもない授乳以外=オムツ、沐浴(風呂)、着替え、ミルク作り、寝かしつけ、離乳食などなど、全てできるようになりました。なお、2週間で足りるのかと考えられるかもしれませんが、0と2週間では天と地の差があります。2週間育児に没頭することで、その後仕事に戻っても引き続き、スムーズに育児参加できるようになり、できることも増えました。逆に育休を取っていなければ、毎日仕事で疲れているわけで、やがて育児戦力外になっていたことは想像に難くありません。

若干話が逸れてしまいましたが、これでようやく妻と対等に育児や家事に参加できるようになりました。

自分の時間を大切に

夫婦共に育児や家事をこなせるようになったので、夫婦互いに自分の時間を確保するようにしました。子供ができると自分の時間を持つことに罪悪感を持つ人もいますが、個人的には、仕事も家庭も、充実した余暇があってこそ安定したパフォーマンスが出せるものだと思います。そうした考えから、我が家では、一通り家事が終わり、子供が寝ている間はお互い好きなことをして良い時間にするというルールを設けています。代わりに、子供が起きている間は家事や育児をする時間です。これがクリアできれば、Magic Onlineをしようがだらだらテレビを見ようが恨みっこなしです。

その過程を明確化するため、我が家では"家事ボード"を導入しました。まずはこれで日々の家事と役割分担を明確にし、1年くらいこれを続けて、やがて何も見なくても漏れなく出来るようになった時点で“家事ボード”は卒業となりました。役割分担は夫婦それぞれの得手不得手を踏まえて、非常に建設的な議論を経た後に決定しました。

(家事ボード(今は使ってないので再現)。終わったものをDoneの列に移していくだけ)

土日は、基本的に我が家では家族の時間になっています。買い物に出かけたり、3人で水族館や動物園に出かけたり、平日に散らかった部屋の掃除をしたりなどなど。そのため土日でも日中はほとんどMTGをする時間は取れません。ただ最近は子供が土曜日にスイミングに通い始め(毎週私が一緒に参加してます)、帰ってくると疲れて長めに昼寝をするので、その時間は好きなことに使うことができます。個人的に、この時間のことを“貴重土曜昼下(プレミアム・サタデー・アフタヌーン)”と呼んでいます。※今名付けた

(プールはpoolでもBreeding Poolではない)

3.MTGの工夫

選択と集中

このように時間を少しずつ確保していくなか、2016年10月にホノルルでプロツアーが開かれることが決まりました。私はそこに家族を連れていくということを最大の目標に、持てる力を投入することにしました。ちょうどその頃、ゴールデンウィークの際に妻が子供を連れて先に帰省するというので、そのタイミングでPPTQに参戦したところ、2回目の参加でRPTQの権利を取ることができました。この頃には概ね10時くらいには“自分の時間”を確保できていたので、ほぼ毎日PPTQに向けてMagic Onlineでスタンダードリーグに出続け、"Road to Honolulu"と名付けたバントカンパニーを練習していました。目標はハワイのプロツアー1本に定めていたので、WMCQなど関連しない大会には全く参加しませんでした。その代わり、ちょうど「異界月」の発売後から、RPTQのフォーマットだったスタンダードについてはほぼ全ての余暇を投入して練習しました。また、自分だけでは他の人と同じような練習時間は取れませんから、代わりに色々な媒体で情報収集したり、友人にスタンダードの情報を共有してもらうなどしてキャッチアップに努めました。とにかく、目標を1点に絞り、集中してこれに取り組む。当たり前のようにも思われますが、時間が少ない中ではこれが唯一のソリューションです。

こうした努力が実り、プロツアーの本戦出場を決めることができた瞬間は、格別に嬉しかったことを覚えています。なお、本戦は残念ながら奮わず初日落ちでしたが、本当に素敵な思い出になりました。

(次のチャンスがあったら、またあそこに家族を連れて行きたい!)

リアルマジックチケット

子供が1歳になろうとする頃、今度は幸運にもLast Sun 2016を優勝し、更に次のプロツアーの権利を獲得するなど、それなりに結果を出すことができました。その後、妻の育休が明け、仕事に復帰することになりました。こうなってくると、また生活環境が変わり、MTGへの取り組みも難しくなってきました。結果として、2017年の後半にかけては、ほとんど結果を残すことができませんでした。そんな中、我が家では土日のMTG大会への参加スタンスに関して、“家族会議”が開かれることとなりました。極めて”建設的な議論”の結果、2018年からは、「リアルマジックチケット」が導入されました。これは、年始に12枚発行され、リアルのマジック1日につき1枚消費するというものです。私が「1ヶ月に1くらいはマジックしたい」と主張したことにより実現したものですが、この1につき1枚というのがミソです。つまり、グランプリなら2枚消費します。プロツアーなら3枚消費します。更に、遠征で移動する場合には移動日1日で0.5枚消費します。なんということでしょう!PPTQ制度やPWP制度とのアンチシナジーっぷりには驚くしかありません!!

流石にそれは勘弁してくださいまし…ということで、救済措置として、大会でマネーフィニッシュした場合には裁量でチケットが回復するというルールが導入されました。こうして、私が計画的に大会に参加することができる、ある種画期的システムが完成したのです。

そして名古屋へ

2018年、自分は11月のプロツアー@アトランタに参加することに照準を定め、チケットを消費しながらPPTQをなんとか突破し、8月のRPTQに参加しました。しかし、結果はあえなく0-2ドロップ。この時点で残りチケットは6枚。仕方なく、次のプロツアーのために、チーム戦のグランプリ名古屋、その先のグランプリ静岡に狙いを定めたのです。(PPTQに出ることも考えれば、これで大体2018年のチケットは使い切る計算)

グランプリ名古屋に向けては、新たな試みとして、前の週に妻に旅行の予定を入れてもらいました。よく考えれば、自分も遠征をするなら、妻にも旅行に行ってもらわないとフェアじゃないなと思ったからです。

どこかに遊びに行っておいで、と言ったら「じゃあ香港行ってくる」と言って本当に友達と香港に行ってしまったのは驚きましたが、妻も久しぶりに色々な不自由から解放されて楽しかったようです。その間、私の家にはチームメイトの三原さんとゆうやんを呼んでチームシールドの練習をすることにしました。子供の面倒を見ながらなので大変になることは予想通りで、2日目の練習では多くの時間を子供と遊ぶのにとられてしまったのですが、この練習を行ったおかげでチームシールドの戦略指針として“ボロスはやらずにイゼットを組む”“セレズニアは教導とジャイグロを入れて殴る”という方向性を定めることができました。実際にプレイをしなかったとしても、練習会を主催することで非常に効果的な情報が得られるということがわかったのは大きな収穫でした。結果は、準優勝。惜しくも優勝を逃したことはとても悔しいですが、限られたリソースの中で最大の結果を出すことができたということでは満足もしています。

4.終わりに&これから

仕事や家庭に関する環境はこれからも目まぐるしく変化すると思います。初めての子育てですから、子供が大きくなってきたらまた知らない何かが必要になってくることもあるでしょう。とは言え、私としてはやっぱり、このマジックザギャザリングというゲームは、多くの仲間と繋がることができるツールであると同時に、自己を実現する場としてどうしても欠かすことが出来ないものになっています。そういう意味では、どんなに環境が変わったとしても、MTGの競技の場から完全に離脱するということは、今は考えることはできません。これからも、大変な事は承知の上で、欲張り、いいとこ取りを目指したいと思っています。

また、こうした僕の考え方に(一定のルールのもと)理解を示し、応援してくれる家族には改めて感謝するしかありません。今後ともよろしくお願いします。

それではまた、どこかの大会会場で会いましょう!

Decks, be Ambitious!

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シミチン

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