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日本初月着陸!! なぜ今各国は月着陸を目指すのかなどについてわかりやすく解説します!!!

こんにちは。
先日1月20日に日本中を沸かせる、次のようなニュースがありました。

「日本初の月面着陸成功 JAXA無人探査機で 5カ国目」(日経新聞 1.20)

「月面着陸」なんていうワードは、久しぶりに聞いた気がします。やはり、我々世代には「月面着陸」といえば、1969年に月面に有人着陸したアメリカの「アポロ11号」、そして、その時、彼らが持ち帰った「月の石」は翌年1970年、前回の大阪万博で展示されていました。

1. 月面着陸の歴史

世界で初めての無人での「月面着陸」1966年の旧ソ連のルナ9号です。その後、1966年に米国のサーベイヤー1号無人での「月面着陸」を行いました。その次となる3回目が有人での「月面着陸」を成功させた「アポロ11号」になるのです。
実はこの無人「月面着陸」については、今世紀に入っても中国、イスラエル、インド、日本、ロシア、米国がチャレンジしており、そのうち成功したのは中国とインドです。

2013年 嫦娥(じょうが)3号 中国
2019年 嫦娥(じょうが)4号 中国
2020年 嫦娥(じょうが)5号 中国
2023年 チャンドラヤーン3号 インド

そして、今回の日本の月探査機「SLIM」は旧ソ連、米国、中国、インドに次いで世界5ヵ国目の偉業を成し遂げたそうです。本当に凄いことだと思います。誇らしいですね。


2. なぜ各国は月着陸を目指すのか?

さて、ここで少し立ち止まって、なぜ今、各国はこれほど「月面着陸」したいのか考えてみましょう。不思議に思いませんか。
もちろん、人類発展のため、科学の進歩のためという崇高な思いは、皆さんあると思いますが、なぜそれほど国家予算民間の資金まで使って「月面着陸」を目指しているのでしょうか。

最初の米ソ競争の時代は冷戦時代で大国の威光を示すためでした。現代では、それが変わって
「月も含む宇宙進出、宇宙開発そのものがビジネスになるかもしれない」
と、皆が思い始めたからだと思います。
特に、各国や民間企業が、今、最終的に狙っているのが「火星移住」だと考えられています。

米国で2019年に発表された「アルテミス計画」は、当初は2024年までに有人での月面着陸を再び成功させることを目標にしていますが、これは、近い将来、月を足掛かりにして、火星移住を実現させるためのものと考えられています。

この「アルテミス計画」では、米国政府、すなわちNASAだけでなく、NASAが契約しているスペースXのような民間宇宙会社、そして欧州宇宙機関(ESA)、日本のJAXA、カナダ宇宙庁(CSA)、オーストラリア宇宙庁(ASA)などの国際的なパートナーシップのもと、進められています。

NASAはアルテミス計画のために、毎年10億ドル以上の予算をとって、2021年には月着陸船の開発運用にイーロン・マスク氏のスペースXを選定、また2023年には、アルテミス5号の月着陸船として。ジェフ・ベゾス氏のブルーオリジンと契約しています。
このような先進国が連携して、民間企業も連携して、まず「商業月面輸送サービス」などの月面でのビジネスを軌道にのせたいと計画しています。

それでは、最終的な目標「火星移住」に向けて、なぜ月が重要になるのでしょうか。
それは「月は火星に人類を送り出すための重要な拠点」になりうるからです。

月面の重力は地球の1/6しかありません。また、大気がないことによって、月面基地から宇宙船を飛ばすことは地球から飛ばすよりも格段に効率的に行えるはずです。そのため、火星移住を効率的に行うためには、まず月面での拠点整備が必要なのです。

現在、各国は月面の水資源を優先的な探査目標としています。実際に中国やインドは水資源があると思われている月の南極付近に着陸して調査を行っています。それらのデータから南極付近では水が氷の状態で存在する可能性が高まっています。

もし、水が大量に存在すれば、人類が長期間滞在するための飲料水、生活水としてだけでなく、ロケット燃料用の水素の原料としても活用できるといいます。また、それ以外でも、月には鉱物資源やレアメタルが存在する可能性も高く、こうした材料も、わざわざ地球から資源を持って行かずとも、月で拠点整備の材料ロケット建設材料を揃えることができる可能性があります。

このように、今回の日本初の月面探査機SLIMの成功の背景には、科学的な探査以外に、米国主導のアルテミス計画などの動き、そして、競争する各国の宇宙開発の流れがあることを理解しておくと面白いと思います。


3. 月面探査機「SLIM」

さて、話を今回、日本が初めて成功した月面探査機「SLIM」に戻します。
今回の「SLIM」の着陸は、月面で目標から誤差100メートル以内に収まる高精度な着陸技術も実証したそうです。

実は、この技術は非常に重要で、今後の細かな目標への探査はもちろん、将来的な宇宙飛行士による有人での月開発に向けてピンポイントに近い着陸技術、物資輸送が実現できる足掛かりになるはずです。

「SLIM」は着陸当初は、故障していると思われた太陽電池パネルが、その後、太陽の向きが変わって発電した様子で、探査運用を再開できることになりました。良かったですね。

メディアによると、「SLIM」は、この後、特殊なカメラで月表面を撮影する科学観測を始めたとのことです。そして、その岩石の詳細な成分を調べて「月の起源」の解明などに繋げる狙いとのことです。


4. 月の起源の仮説

さて、ここで出てきた次のワード「月の起源」ですが、これについて少し解説します。現在、「月の起源」については4つの仮説があります。
簡単に言うと、
1. 地球の一部がちぎれて月になった
2. 全く違うところで生まれた月が地球の重力でとらえられた
3. 太陽系ができたときに地球と一緒に生まれた
4. 地球に大きな星がぶつかって、その際、宇宙空間に地球のかけらが集まってできた

そして、今、この中でもっとも有力な説が4番で「ジャイアント・インパクト説」と呼ばれています。
地球と同じ成分が多ければ、1や4の説が有力だということになるのでしょうか。今後、そうした科学分野でも貢献できればいいですね。

私の好きなSF小説、ジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」では、

「月面で5万年前の宇宙服を着た遺体が見つかります。実は、月は火星と木星の間に、遠い昔、存在したミネルヴァという惑星の衛星であったもので、ミネルヴァが核戦争で粉々に破壊された時、ミネルヴァの重力から離れて太陽に接近して偶然地球の重力に捉えられたものである。そして月面にあった遺体はそのミネルヴァ人であり、その後、難を逃れた他のミネルヴァ人は地球に渡ったのではないか。」

という壮大な話でした。

月面開発、火星移住も非常に興味がありますが、月の起源を考えることもワクワクさせてくれますよね。

それでは。

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