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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について。 No.16

またK値の続きである。おまえはK値教信者にでもなったのかと笑われそうだが、まあそんなようなものかもしれない。K値の有用性を理解した今それを訴えたいし、科学者としてもブレイクスルーが産まれた瞬間に立ち会えた喜びがある。だが、狂信者ではないのでご安心を。あくまで冷静である。

今回のCOVID-19流行では、国民ひとりひとりの自律的な判断と行動が制圧の鍵を握る。政府からの要請であれ何であれ、それが妥当だと納得できれば人は率先して動けるものだ。それはしばしば強制的都市封鎖より効果的だ。専門家を含め誰にも正解が判らない状況なので、もう嫌になった、考えるのもうんざりと思考停止してしまわず、自分なりに考えていきたいものだ。

とはいえ大量の情報が錯綜している一方で、肝心の判断材料に使えそうな指標や情報は乏しいというのが現実である。K値を含め私がSNSで一般の人に向けて発信するのは、微力だし間違いもあるかもしれないが、その時点で、よりましな情報を分かり易く説明し判断材料にして貰いたいと思うからである。

K値について、専門外の物理学者が手を出すべきことではないという意見を目にし唖然とした。そのような縄張り・蛸壺な考え方が日本の科学を駄目にしてきたのではないだろうか? ブレイクスルーはしばしば分野を超えたところから生まれる。

また、未審査なのに一般人に教えるなという考えにも同意できない。K値は、実験を含まず捏造の余地もない。有用性や解釈に議論はあっても、一般市民を大きく間違った方向に誘導するようなものではない。一般社会と科学が接近し、市民の判断が必要になってくるこれからの世界においては「由らしむべし知らしむべからず」はもう通用しない。

今日は、中野教授がよくある質問に答えるスライドを作られたのでアップする。大丈夫、今回は3枚しかない。内容は見て頂ければすぐに判るのでここでは繰り返さない。

さてごく最近、別の研究者によってK値が数理的に検証され、その利点と欠点が考察された。http://www.bi.cs.titech.ac.jp/COVID-19/Mathematical_analysis_of_K_indicator.pdf 解析したのは東京工業大学の秋山泰教授でバイオインフォマティクス(情報科学と生命科学の融合領域)の専門家である。ようやく池田・中野論文をきちんと理解して学術的な考察を加える人が出てきてくれて、喜ばしい限りである。

秋山教授の解析から、K値が感染拡大収束の予測に有用であることが改めて確認された。指摘された欠点も致命的なものでは無い。そして何より重要なのは、秋山教授が、中野教授らの𝑘=1+2.88𝐾′ という関係式を、解析的に導出することに成功したことである。

中野教授らは、このモデル方程式を経験的に導き出したが、なぜそうなるのか理由は不明でK値にまつわる謎となっていた。それがあって、実効再生産数Rtに比べて根拠が不明で信用しにくいという批判があった。詳しくは秋山教授の考察を見て頂きたいが、この式が成り立つ根拠が判ったことでK値は学術的に、より確かなものとなった。
今後自粛緩和をどのように実際にやるのか、そのためにはどのような予測を立てて、自粛緩和したときの対応をどうするのかを組織的に考えることが必要だ。所謂出口戦略の策定である。各自治体が今それを模索していることだろう。

K値の予想曲線は数十日前から描けること、そこからK値がずれ始めたら何か異変が起こりつつあると感知できることなどの特徴から、私はK値がこの出口戦略に役立つと考える。自粛を緩和してからK値をモニターし、異常が感知されたら直ちに対策を講じるのだ。

K値が優れているから他の指標は捨てよと言っているわけではない。しかし、振れの大きい指標だと、すぐ鳴ってしまう火災報知器のようになり混乱を来す。K値も採用しておけば、それを軽減できると思われる。地方自治体の担当者の皆さんに是非ご一考願いたい。

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