「国には売れる資産があるから借金は問題ない」に騙されてはいけない

反財務省のポーズを取るレントシーカーの本音が出ている。

だから、高橋氏も私も消費税の拙速な引き上げにはずっと反対しています。そんなことより売れる資産がたくさんあるから売れと。
「資産」の大きさや「負債」の大きさが問題ではなく、「純資産」の大きさ=「純資産がプラスかマイナスか」が問題なのである”

画像1

このロジックでは、財政赤字の分、国有資産を売却して穴埋めしなければいけないことになる。もちろん、売却先は「濡れ手で粟」を目論むレントシーカーである。

「国の借金」の大きさそのものが問題ではないのは、資産を売れば借金を減らせるからでも、政府の負債は民間の金融資産(財政赤字は国民黒字!)だからでもなく、

徴税権を持つ国家(中央政府)は永続的存在(going concern)
→元本の完済をいつまでも先送りできる
→利払費が発散するまでは持続可能

だからである。貸し手にとって望ましいのは「元本を完済せずに利息を確実に払い続ける借り手」だが、政府はその条件に当てはまる。

こちらは財務省の説明。

普通国債には建設国債、特例国債、年金特例国債、復興債及び借換債があり、普通国債の利払い・償還財源は主として税財源により賄われています。

利払費の対税収比が1980年代のピーク以降の最低水準であることが、現時点では財政引き締めを急ぐ必要がないことを示している。

画像2

レントシーカーの狙いが、ソ連崩壊後のロシアのオリガルヒのように国有資産を私有化する「エンクロージャー」であることは見え見えである。彼らは財務省の緊縮財政路線に反対する人々に「敵の敵は味方」だと思わせるために反財務省のポーズを取っているだけなので騙されてはいけない。

付録

通貨が価値を持つのは、国家権力が通貨での納税を義務付けるから(Taxes drive money.)ではなく、徴税による裏付けがあるため。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?