満蒙独立運動とインドネシア独立運動

1911年に発生した辛亥革命の後、二度にわたって引き起こされた満蒙独立運動に関しては、日本人の協力者がいたという理由で「日本の謀略、もしくは自作自演」であったとする見方が少なくない。

しかし、満蒙独立運動が日本による謀略だというのならインドネシア独立戦争はどうなのか? 多くの元日本兵が義勇兵として参加したあの独立運動も日本の謀略だったというのだろうか?

そもそも満蒙独立運動を、日本人が「焚き付けて」引き起こした謀略、あるいは自作自演ととらえることがおかしい。満蒙独立運動は満州人、蒙古人による強い独立への意思が最初にあり、それを日本人有志が支援したものである。独立を望んでもいない満州人、蒙古人が日本人に踊らされたわけではない。

満蒙独立運動は、辛亥革命によって清朝が倒された後、行き場をなくした満州人、蒙古人が自らの独立を求めて立ち上がったものである。辛亥革命後、わずか10年ほどの間に第一次独立運動、第二次独立運動が連続して引き起こされたことをみても彼らがいかにそれを強く、そして緊急に求めていたかがわかるだろう。さらに張勲の復辟や外モンゴルにおける独立運動なども含めて考えればその望みがどれほど強いものであったかがわかろうというものだ。

一方、インドネシアではどうか? 過去数百年もの間、オランダの圧政下に置かれていたこともあり、あの当時、多くの現地民にしてみれば独立など夢のまた夢というのが正直なところであったろう。ただスカルノやハッタら一部の「過激派グループ」が細々と地下活動を続けていたにすぎない。それに日本軍が目をつけ、支援したのがインドネシアにおける組織的な独立運動のはじまりである。さらにいえば占領期間中、現地の青年たちに組織的な軍事訓練、政治訓練を施したのも日本軍であった。ということは見方によればこちらもまた「日本人が焚き付けた」とみることができるだろう。

したがって、仮に「そうした独立運動は日本が裏で糸を引いて引き起こしたものにすぎない」といって難癖をつけるのであれば、そうした非難によりふさわしいのは満蒙独立運動ではなくむしろインドネシア独立運動の方であろう。

しかしインドネシア独立運動に対して「日本が焚き付けた」などと非難する者はほとんどいない。このことひとつとっても満蒙独立運動が、その歴史的意義をどれだけ歪められているかがわかろうというものだ。

そうしてもしインドネシア独立運動が、民族の自発的な意志による輝かしい独立運動であるという評価が正しいのであれば、満蒙独立運動はーーもしそれが成功していたらばの話であるがーそれ以上に輝かしい、民族の自発的な意思に基づく立派な独立運動であったと評価されてしかるべきであろう。


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