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無い青春

夢で、

高校時代に仲のよかった友人と高校時代を送っており、昼休みに中古ゲームショップ(当時通っていた平成8年のファミコンランドではなく令和6年のゲオだった)で「ワルキューレの冒険」を買う。
見つけたのは友人だったがお金を出したのは自分で、だから当然所有権も自分にあると思っていたら友人が「ひととおり遊んだら返せよ」などと言ってきて軽い口論になる。

教室にある自分の机は真ん前に壁があってエアコンの操作盤がついており、気が付くと42度に設定されていた。もちろん友人の悪戯だ。何度かの攻防を経て23度に設定を戻すと、恐いことで有名な化学の先生の授業が始まる。
そこで自分が鞄の中に、ゲームソフトだけでなくたくさんのアマガエルや充分に育った全長40cm級の鯉などを入れてきてしまったことを思い出す。

授業中にカエルが鳴き出したらまずい、と思って鞄を少し遠くへ投げやり無関係を決め込もうとするも、投げた衝撃で鯉を入れていたビニールが破れたのか、鞄の生地の隙間からじわじわ水がこぼれてくる。鯉がジタバタするたびに少しずつジッパーが開き、やがて完全に「生きている鯉の顔」が鞄から覗く。すでに化学の恐い先生を除く教室の全員がその異変に気付き注視しているのだが、鞄の置かれている場所は教室内ではなく炎天下の坂道である。

鯉が水を失いながら陽に照らされている。このまま放っておけば死んでしまうだろう。意を決して、教室の席から立ち上がって床を蹴り、車道に飛び出した子供を救うように全速力で近づこうとした次の瞬間、目が覚めた。

朝の5時だった。

ああ、怒られなくてよかった、と思った。


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