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フクハン!

流行りのドラマみたいにカタカナ四文字で表記したら多少はポップになるんじゃないかと祈る気持ちでこれを書いている。本来なら正岡子規にでも倣って「病牀六尺」とでも題したいところだが、しかし病ではないし、ただのワクチン副反応だし、だからそーゆーのって誇大広告ってゆーか、嘘じゃん。嘘はよくないよね-。と私の頭の中の元気なギャルが一度もスマホの画面から目を離さずに云うので大人しくそれに従う。それが大人というものだ。は? マ? マよ。やば。大人やば。私の頭の中のギャルは私の頭の中の消しゴムを拾ってくれない。てか自分で拾えし。いや拾いたいけど、しゃがむと痛いんだよ。知らねーし。知らんぴ。知らんぴとか言うの今の子? あーしよく知らねんだけど。てかさっきから全部想像でしゃべってんだけど。ちゃんと取材しろや一次資料に当たれや。だから肝心なとこ詰めが甘いって言われんだよ。はい。はい。誠に申し訳ございません。

乱筆乱文支離滅裂お許し願いたい。なにしろ頭が朦朧としているので校閲の手が追いつかないのだ。同様に、検閲の手も追いついていない。だから普段なら言わないような、普段の私が守っているキャラクターなら書かないようなことをうっかり書いてしまうかもしれない。「意識の流れ」という文学ジャンルの亜種として重ね重ねお許し願いたい。そもそもこの苦しみをまずはお許し願いたい。

話を昨日に戻すと、コロナワクチンの第4回を打ちに行ったのだった。

でもその前に話を一昨日に戻す。私はねえ、新宿で道を歩いてたんですよ。じぶん新宿で道を歩いてたんかいな。ええやん。ええやろ。そしたらね、急に股関節がグリンなってね、グリンというのはもちろん効果音でして股関節が緑に変色したわけではないんですけどね、たぶん変な方向に体重をかけてしまったんでしょう。そこからずっとお尻の筋肉が攣ったように痛くて、帰りの電車も手すり無しでは着座できないし、行儀悪く足を広げて伸ばした姿勢じゃないと痛いし、だからやっぱり立っていようと思っても手すり無しには立ち上がれないし、そもそも左脚にほとんど力が入らないという体たらく。幸いにして歩いたり立ったりしている間は比較的痛みがマシになるので最寄り駅からは普通に歩いて帰れたものの、左脚の膝を腰より上の位置まで上げられず、ゆえに一人では靴下を脱ぐことすらできず、でも一人暮らしなんだよな実際問題かこれが、というわけで仕方なく潔く全てを諦め、出かけた服装のまま就寝したのが昨日の午前1時過ぎ。

これで話をようやく昨日に進められる。起床したのは午前7時過ぎ。昨夜の激痛は一睡を挟んだことで沈静化しており、とりあえず軽い屈伸運動なども問題なくできたので一安心なのだが、かわりに喉が痛い。水を飲み込むさいに多少の引っかかりを覚える程度の、4年前までなら取り立てて心配もしなかった程度の違和感なのだけど、時代も時代だしタイミングもタイミングだし、本当にこんな状態でワクチンを打ちに行っても平気なのか……? という懸念があったため9時になるまで待って(暗くなるまで待って)(オードリー・ヘプバーン主演)(未見)接種会場でもある近所のクリニックへ電話をかけた。さすがに長くなるので結果だけ書くと、37.5℃以上の発熱がなければワクチン自体は打っても構わないとのこと、不安があるなら接種前の時間帯を別途予約すれば先に通常の診察をおこなえるとのこと。まあ身体はすこぶる元気だったので、いちおう念のため診察を受けてから万全の状態で臨みたいと伝え、向かう。

クリニックは混雑していた。保険証を出しながら名乗ると、足早に駆けてきたスタッフが「こちらへ」と、まるでVIP客でも案内するかのように連れていかれた……のはX線撮影室だった。俗に言う旧Twitter線撮影室である。検査の一環でレントゲンでも撮られるのかと思ったら「ここでしばらくお待ちください」と言う。なるほど感染者かもしれないから待合室とは別のところに離す必要があるのかもしれない。言われるとおりに大人しく待つ。

X線撮影を目的とせずにX線室へ入るのはこれが初めての機会だった。寝転がるための撮影台がある以外は他の病室とあまり変わらないように見える。やがて一人のスタッフが来て検温を受け(35.9℃)、問診票を記入し、細く鋭利な綿棒を鼻の奥に突っ込まれてから10分後、号外です号外ですの言い方で陰性です陰性ですと告げに来られた。とはいえ発熱していない状況下での抗原検査は正確性が低いらしいが、ともかくワクチンは予定通り接種できる運びとなった。急激に寒さが増してきたため、帰りがけに新しい掛け布団をひとつ購入し、同時にポカリスエットを大人買いもして帰宅した。

それから数時間の記憶はあまりない。新品の暖かい布団に包まりながら早々と眠りにつき、意識を取り戻したのが今朝の5時頃である。

熱はない。測ってみたが36.3℃だった。ただ異常に肌寒い。発熱する前兆としての悪寒かとも思ったが、どうやらただ単純に気温が低いようだ。そして全身を覆う倦怠感と関節痛・筋肉痛が主症状。普段から常に体のふしぶしのどこかしらが痛む自分の、ぼんやりとしか知覚してこなかった痛みのすべてに輪郭線が与えられたような感覚がある。特に一昨日痛めた股関節と、日々椅子の上で全体重を支えている座面部分の尻がべらぼうに痛い。べらんめえに痛い。江戸っ子になっちゃうよ。

もう今日は動かずに大人しく寝そべっていよう。サービス精神皆無のパンダみたいに。過去3回のワクチン接種経験からすれば、きっと明日には軽快しているはずなのだけど、今はそのイメージもまるで思い描けないほど怠い。しかし眠気はそれほど強くもなく、指先は問題なく動くので、思いつくままに事実と感想を書き連ねていたらこんな、こんなねえ、2,400文字近くまで膨れ上がっちまってよお。

……ああ、体力ほしいな。

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