ハネムーン旅行記#11/二重の非日常
イビサの最終日は、パリに続いてフォトセッションからスタートした。日の出が遅いから、まだ暗い。
車を出してもらっている間に(いつもの鼻ピアスにーちゃんは朝早くてもエントランスにいた。見かけによらず働き者だ)、ホテルのフロントのお姉さんに「これからウェディングフォト撮るんだ」と言ったら、「ワオ!イッツワンダフォー」みたいな感じで喜んでくれた。
イビサの人はみんななんだかんだでイビサのことが好きみたいだ。ハイシーズンは色々と大変だとしても。
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撮影用の格好でイビサをドライブする、という経験は二度としないだろう。助手席にドレスを着た奥さんが乗っているというのも不思議な感覚だ。
30分くらいドライブして、フォトグラファーのDarioさんと待ち合わせている、島内のある教会に着いた。
短パンにサンダルというアメリカンな格好で登場したDarioさんはフレンドリーなナイスガイだ。日本語はわからないけど、英語はわかりやすい。Darioさんはイビサ出身で、色々なところで写真家の仕事をしてるらしいのだけど、やっぱり地中海に生まれ育つと"根アカ"に育つのだろうか、なんて思ったりした。
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ちょうど朝日が差し始めたところで撮影スタート。真っ白な壁面の教会はとても綺麗だった。雲が少しあったけれど、光が差し込む感じが幻想的だった。
はやい時間だからほとんど人がいなくて、撮影にはバッチリだった。
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教会から、Darioさんの車で海岸へ。砂浜と崖と空と海とがとても綺麗なビーチだ。潮が高かったからかあまり広くないビーチで、1組くらいファミリーがいたけれど、ガラガラだった。
ビール沿いもまた全然雰囲気がかわって楽しい。しかもDarioさんが「ドローンで撮ろう」と言い出し、ドローンをもってきてくれた。海岸から駐車場までは少し離れていて、しかも結構急勾配の坂道をダッシュで往復していたので、Darioさんは汗だくになっていた。
一方、残された僕らはというと、砂浜に絵を描いたり文字を書いたりして遊んでいた。打ち寄せる波。さらわれていく砂。
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ビーチでの撮影を終えて、そろそろ満足?と思い始めていると、Darioさんが「もう少し時間があるから、もう一カ所行くかい?」と誘ってくれた。
再び車に乗り、しばらく移動すると、道なき道に入り始めた。Googleマップで見ても道の表示がない。
どこに行くんだろう?少なくとも行き先は別の海岸のようだった。
異国の地で若干不安になっていると、ついに開けたところに出た。そこは砂浜ではなく、赤土の広がる海辺で、崖になっていた。
赤土と、海と空のブルーがとても綺麗だった。
「ここが、イビサの秘密の場所だよ」とDarioさんは言った。確かに、ガイドブックにはなく、地図にもないその場所は、イビサ出身のDarioさんの「とっておきの場所」なのだと思う。
Darioさんのもてなしに奥さんと感激しつつ、さらに撮影を進めていく。あの鮮やかで元気な景色の写真は、僕たちのお気に入りのひとつだ。
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Darioさんに、はじめの教会まで送ってもらって、お礼を言ってお別れした。
まだお昼にもなっていないけど、なんだか充実している。異国でフォトセッションという二重の非日常を体験しているからなおさらなのかもしれない。
帰りは、ヘアセットが乱れるのを気にしなくて良いから、ミニ・クーパー・カブリオの幌を開けて、ホテルまでドライブして戻った。「オープンカーで、ドレスを着て、地中海の街を走る」なんてそれこそ撮影向きなんじゃないかと思いながら。
最後までお読みいただきありがとうございました。 このnoteのテーマは「自然体に綴る」です。 肩肘張らずに、「なんか心地いいな」と共感できる文章を探したくて僕も書いています。なにか良いなと思えるフレーズがあったら、スキ!やフォローをしてくださると励みになります。