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ECモールにおける売上UPの基本を知る

この記事ではECモールにおける売上UPの基本の考え方を紹介します。
すぐ使える具体的な施策を知りたいという方が多いとは思いますが、基本的な考え方を理解しておくことで、より自社に最適化した施策を自分で考えることができるようになるため、長い目で見たときには重要になります。

EC売上UPの⽅程式をベースに考える

EC売上UPの方程式:売上=集客数×転換率×客単価

これがEC売上UPの方程式です。ECの売上分析を進めるとさらに、細かい分解が可能ですが、まず基礎はこの方程式になりますので、しっかりと覚えておいてください。
EC売上UPの方程式はそれぞれ以下を表しています。

  • 売上:売上は文字通り、ECサイト経由での売上を指します

  • 集客数:ECサイトに訪れる人数を指します。数字を確認するシーンに応じて、アクセス回数(サイト訪問者数×1人あたりサイト訪問回数)だったり、アクセスをしたユニークユーザー(アクセスをした人数のみ、例えばAさん、Bさん、CさんがECサイトに訪問した場合、3人となる。それぞれが2回ずつECサイトを訪問していても数えない)を指す場合もあります。ECモールごとに取得できるデータが異なるので、意識してみることが重要です。

  • 転換率:ECサイトに訪問した人のうち、どのぐらいの割合の人が購入に至るか示す比率です。

  • 客単価:ECサイトで購入する際、1購買者がどのぐらいの金額分の商品を購入しているかを指します。

なぜこの方程式をベースに考えるかというと、各要素に売上の変化の要因が現れ、ECの実施施策を検討するにあたり非常に都合がよいからです。
例えばですが、「ある月に前月と比較して、売上が100万円/月下がってしまった。対策を打つために原因を特定しよう!」というケースで考えてみます。
単に「売上が下がった」、というだけでは、考えようにも難しいですよね。
そこでまず、この売上の方程式に則り、集客数、転換率、客単価の数字の推移を確認します。すると、どこかの数字が下がっているはずです。今回のケースでは、集客数が大きく減少しているとしましょう。すると、次は集客数に影響がある部分に何か変化がなかったか?ということを調査していけばよいわけです。
売上に対する要因を特定するための基本的な指針になるものが、このEC売上UP方程式なのです。
ECの売上要因分析スピードが速く正確になるため、ぜひこの方程式に則って考える癖付けをしてみてください。

集客をする前に商品が売れる状態を整える必要性を知る

この後ECモールの集客について、解説していきますが、上記で説明したEC売上UP方程式の通り、集客だけで売上が上がるわけではありません。転換率が0%であれば、売上は0になってしまうので、当然です。
EC売上UP方程式にある三大要素のうち、最初に押さえるべき要素があります。
それは、「転換率」です。

なぜ、「転換率」を最初に押さえるべきなのかというと、「売れる商品を販売している」、「本来売れる商品が売れる状態を整える」といったことができていないと、どんなに集客しても売上アップにつながらないからです。集客にはお金がかかるので、転換率が0%の状態だと無駄にお金を使ってしまうことにもつながります。

例えば、ある2人の商人がいたとします。
商人Aは普通のスイカを1,000円で販売しています。その隣で商人Bが超高級スイカを1,000円で販売していました。商品以外の差は一切ない場合、どちらの商品が売れるでしょうか?当たり前ですが、商人Bが販売しているスイカが圧倒的に売れるでしょう。
次に、商人Aはものすごくきれいな装飾が施されたお店で、普通のスイカを1,000円で販売していたとします。商人Bはブルーシートに座って、みすぼらしい服装で超高級スイカを1,000円で販売していたとします。どちらのスイカが売れるでしょうか?相当な目利き出ない限り、商人Aが販売しているスイカを購入する人が多いのではないでしょうか?

ECサイトでは、実物の商品を見られないため、購買者は実際のお店で購入するときよりもさらにシビアに商品スペック、ECサイトを判断します。繰り返しになりますが、集客にはお金がかかるケースがほとんどのため、お金を無駄にしないためにも必ず商品が売れる可能性が高い状態を整えたうえで、集客施策を行っていきましょう。

EC モールにおける集客の重要性を知る

なぜ集客が重要なのか?というと、集客できなければ売れる商品も売れない、という至極当たり前の事実とともに、集客は施策次第で劇的なインパクトを与えることができる領域で、EC担当者の腕の見せ所だからです。
集客できなければ売れないというのは、すぐにピンと来るでしょう。例えば、どんなにきれいないダイヤモンドでも誰の目にも触れなければ売れるわけがないですよね?人は知っているもの、探し出せたものしか購入できないので、当たり前です。
集客こそEC担当者の腕の見せ所というのは、集客はやり方次第で、2倍3倍と訪問者を増やすことが可能ですが、適切な施策を実施できなければ、ただただお金を使って、次につながらなくなってしまうからです。

ECへの集客チャネルの全体像を把握する

池田紀行 著『売上の地図』掲載の図を参考に作成

ECモールの解説に入る前に、集客チャネルとして、どのようなものが考えられるか、全容をご説明いたします。頭に入れたうえで、読み進めていってください。ECモールへの集客チャネルは、購買に至るまでのプロセスで以下ように分類できます。

①認知

  • SNS公式アカウント

  • コンテンツマーケティング

  • ディスプレイ広告(ECモール外部/内部)

  • インフルエンサー

②興味喚起

  • ECサイト(オウンドメディア/ECモール)

  • ECモール内の検索キーワード連動型広告

  • 一般ユーザーのSNS投稿

  • SNS広告

③検討

  • ECモール

  • ECモール内の検索キーワード連動型広告

④購入

  • キャンペーン

  • クーポン

  • ポイント

⑤リピート

  • メルマガ/LINE

  • SNS

ECモールで販売する前から認知を形成できているとECモールでの施策は何も打たなくても勝手に売れることもあったりはします。しかし、世の中での認知が形成できていなくてもECモールの集客力を利用して、短期間での売上UPが実現できるところがECモールの強みです。
では、各モールの基本戦略の解説に入っていきます。

各EC モールの基本的な戦略を知る

ECモールにおける集客の基本戦略

ECモールの集客において一番重要な点は、自然検索に表示されるよう対策を施してから、売上実績をつくり、売上が上がることで、検索順位が上昇していく、という好循環をつくることです。

なぜ、売上実績が高い商品が検索結果の上位に表示されるか、というと、「ECモール内で上がった売上の手数料分がECモール運営側の収益になるから」です。ECモール運営側は自社の売上を上げるために、より売上が上がりやすい商品を検索結果の上位に表示するということです。理にかなっていますね。
ただ、新しく販売を開始した商品は、どうやっても人の目に触れる範囲の検索結果に表示することは難しいというのが現実です。そこで、広告の出番です。ECモールでは新たに商品を販売する場合、以下の順に施策を打っていきます。

【ECモールにおける集客の基本戦略】

  1. 検索連動型広告に出稿する(余裕があれば他の広告も出稿する)

  2. 最初は地道に検索連動型広告経由で売上実績を付けていく

  3. ECモールのイベントで爆発的にアクセスを獲得し、売上を上げる

  4. 獲得した新規購入ユーザーに対し、メルマガ/LINE配信などを行い、リピーターとして育成する

  5. 商品の売上実績が蓄積され、自然検索による検索結果の表示順位が上昇する

実際は最初の検索連動型広告を出稿した時点で十分な売上実績をつくることができ、自然検索順位が思うような位置まで上昇することもありますし、逆にあらゆる手段を講じても競合が強すぎて全く自然検索結果が上がらないケースもあります。しかし、この基本的な流れが変わることはあまりないので、徹底的に王道のプロセスを改善し続けることが重要です。ここからは個別のECモールの考え方のポイントを説明していきます。

amazonー集客の基本戦略

amazonで集客する基本戦略は以下の2つのポイントがあります。

  1. カートを獲得する

  2. amazon内の広告を有効活用する

カートを取得するという意味

amazonで最も重要なポイントは、「カートを獲得すること」です。買い物かごに自社が販売している商品が販売されている状態を「カートを獲得する」と言います。カートを獲得できなければ、土俵に立つことができません。

次に重要なポイントは、amazon内広告の活用です。
売上が立っていない商品は、通常消費者の目に触れるような検索結果上位には表示されません。
そこで広告の出番です。検索結果の最上部にあるスポンサー広告に表示することで、売上実績をつくっていきましょう。
amazonには最も活用頻度が高い広告が3種類存在します。

スポンサープロダクト広告掲載面
  1. スポンサープロダクト広告:検索結果の商品が表示される画面の最上部や途中に表示される

  2. スポンサーブランド広告:検索結果の最上部に表示される

  3. スポンサーディスプレイ広告:商品ページに表示される

これらをいかに最大限活用できるかがポイントです。
スポンサープロダクト広告については、以下の記事で詳細に解説しています。他の記事については目下作成中なので、お待ちください。

楽天市場ー集客の基本戦略

楽天市場もamazon同様、売上実績をつくることで、自然検索結果の上位に表示される状態を目指します。楽天市場において、重要なポイントは以下の2つです。

  1. RPP広告

  2. 楽天スーパーSALEサーチ

RPP広告掲載面

RPP広告は、検索連動型広告です。消費者が検索したキーワードに応じて、RPP広告の設定をしている商品が検索結果最上位の枠に表示されます。消費者が検索するアクションは購買に非常に近いアクションであるため、RPP広告を有効活用することは、売上UPに直結します。

楽天スーパーSALE検索窓

楽天スーパーSALEサーチは、楽天スーパーSALE期間のみ表示される検索窓です。割引商品のみが表示される検索窓となっており、楽天スーパーSALE期間の売上の多くが楽天スーパーSALEサーチに表示される商品から生まれます。楽天スーパーSALEサーチに商品を掲載した際には、売上が300%以上となることも珍しくありません。

Yahoo!ショッピングー集客の基本戦略

Yahoo!ショッピングも他モール同様、売上実績に応じて、検索結果に表示される順位が変わります。Yahoo!ショッピングにおいて重要なポイントは以下の2つです。

  1. メーカーアイテムマッチ広告(使えない場合、アイテムマッチ広告)

  2. PRオプション

メーカーアイテムマッチ広告およびアイテムマッチ広告掲載イメージ

メーカーアイテムマッチ広告およびアイテムマッチ広告は検索結果の最上位に表示される広告です。対象とする商品やキーワードに広告入札金額を設定することで、購入可能性が高いユーザーに商品を表示できます。

PRオプションの掲載イメージ

PRオプションは、売上実績に下駄をはかせることができる広告です。例えば、本来検索順位が20位の商品であっても、PRオプションを10%と設定していると、10位に表示される、といったような効果があります。
検索連動型広告とPRオプションをうまく組み合わせて、自然検索結果の表示順位を上げていきましょう。

最後に

ここまで基本中の基本となるECモールの売上アップの考え方を説明してきました。いかがだったでしょうか?継続的にECモールの集客知識を紹介してまいりますので、ぜひフォローお願いします。以下のアカウントでもEC関連の発信をしておりますので、読んでいただけると嬉しいです!