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0455 - 森山さんと村松先生

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森山周一郎さんが亡くなられた。

世間的には「紅の豚」のポルコ・ロッソ役として有名だと思うが、個人的には「さよなら銀河鉄道999」の老パルチザンの声を担当していた方という印象が強い。

ここで紹介されている老パルチザンの台詞を追うだけでも涙が溢れてくる。

謹んでご冥福をお祈りします。

この訃報の流れで、ふと思い出したのだが、僕が「さよなら銀河鉄道999」を初めて観たのは中学生の時だ。

中学1年2年と、2年連続で同じ「村松先生」が担任だった。当時30歳前後で未婚。テニス部の顧問を担当していて、よく笑いよく怒る先生。

どういう流れでそうなったのかまでは思い出せないが、手塚治虫の話で村松先生とすごく盛り上がったことがある。それ以降、漫画やアニメの話ができるんだなと嬉しくなり、村松先生とオタク寄りなトークをするのが学校へ行く大きな楽しみになっていた。

ある時、たしか週に一度ある「道徳」の授業だったと思う。「今週と来週はみんなで映画を観よう」と、ビデオで観せてくれたのが「さよなら銀河鉄道999」だった。

勉強が好きではなかった自分としては「授業でアニメが観られるなんてラッキー」という軽い気持ちで観始めたのだが、前半を観て「続きは来週の授業で」となった際には、翌週が待ち遠しくてたまらなくなった。まだネットもなければビデオレンタルも贅沢な時代。作品を堪能するには「翌週まで待つ」という我慢が必要だった。そんな「溜め」を経ての後半だったからか、観終えた際には、感動しすぎてクラスメイトが引くくらい号泣した。

とはいえ、中学生だった当時の自分が抱いた感想は「あー面白かった!名作だな!」という単純なもの。理解力が乏しかったこともあってか、それ以上でもそれ以下でもなかった。

それから15年ほど経った30歳頃、ふと見返してみたくなりTSUTAYAでDVDレンタルしたことがある。

中学生の時よりも大号泣した。ストーリーで泣けるのはもちろんのこと、登場人物の台詞がとにかく沁み入るものばかりだったのだ。大人になった今だからこそ理解できる(感じられる)ことが多いんだなと、この出来事をきっかけに「子供時代に堪能した作品(漫画、アニメ、映画)を見返すブーム」が自分の中で始まった。それはライフワークとして現在も続いている。

今にして思うに、村松先生が中学生の僕たちに「さよなら銀河鉄道999」を観せてくれたのは、ただ物語として面白いだけではなく、登場人物の台詞を含めて「君たちに送りたいメッセージが沢山つまっているんだ」という理由だったのかもしれない。

残念ながら、その真意を確認することはもうできない。村松先生も数年前に他界してしまったので。

こうやって書いていたら案の定また「さよなら銀河鉄道999」を見返したくなってきた。近々、森山周一郎さんと村松先生、お二方の追悼鑑賞を個人的に決行しようと思う。自分も気づけば40代になっているが、だからこそ新たに感じられるものがあることをほんのり期待しつつ。

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