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車が『無拠点オフィス』となって理想的なノマドワーク環境を手に入れた話

きっかけが何だったかまでは思い出せないけど『場所や時間に縛られない働き方』を模索し続けてきました。

コアタイム制の会社で働いたことがあるし、アドレスフリー制の会社で働いたこともあるし、フリーランス時代にはシェアオフィスを利用したこともあります。その流れで、いわゆる『ノマドワーク』を試行錯誤するようになりました。

*自分のFacebookを遡ってみたら、2012年には既にアレコレ試していた模様

長らく東京で仕事をしていましたが、2019年の春に地元である静岡県西部へUターン。様々なジャンルの事業者や行政と関わりながら『商品開発』『販売戦略』『仕組みづくり』『創業サポート』をする企画会社として起業しました。

完全ひとりの株式会社で、オフィスも設けていません。ノートPCとネット環境があれば仕事はできるため、家で作業したり、カフェやコワーキングスペースで作業するのが基本スタイルです。

家は家族がいるので、いつ声をかけられるかわからない。カフェやコワーキングスペースも知り合いとの遭遇率が高いため(有意義な対話や雑談ができるのは大きなメリットだけど)本気で集中するのは難しい。また、周りに人がいるとオンラインの打合せもしづらい。

昔に比べれば随分とノマドワークできてきたとは思いますが、本当に満足できる環境にはまだまだ遠かったのが正直なところ。

突然あいつが現れた

静岡生活になって、東京の頃との最大級の違いは『車で移動するようになった』こと。たまに膝の上にノートPC置いて作業したり、スマホを使ってオンライン打合せしたりといった『車中で仕事する』こともあるけど、それらはあくまで緊急を要する時のみ。

ただ、頭の片隅では「車で快適に作業できたら、きっと働き方が大きく変わるだろうな」と感じてはいました。

そんな中、昨年(2022年)の夏に突如として発表されたのが、この車。

見た瞬間「これだ!」と思い注文。半年ほど待って今年(2023年)の春に無事に納車。

大袈裟ではなく自分の働き方が劇的に変わりました。これまで感じていたノマドワークでの不満点がことごとく解消されて、仕事する環境としてのストレスは大幅に減りました。

公式サイトを覗けば一目瞭然ですが、スペーシアベースの最大の特徴は『マルチボード』の存在。このボードがとにかく素晴らしい。

例えば、こんな感じで作業ができます。

後部席のマルチボードをデスクにして、バックドアを開けるだけで『景色が変わるオフィス』の出来上がり。その日の気分に合わせて場所を決めて、外の空気を感じながら仕事できる心地よさがたまりません。

スペーシアに乗ったことある人なら解って頂けると思いますが、天井が高いため圧迫感もありません。写真で見るより横幅も広く感じられます。

なによりデスクが大きいため、ノートPCとiPadの2画面を並べつつ手書きのノートを広げることも余裕です。更に、お湯を沸かしてお茶やコーヒーも淹れられるし、簡単な調理をしてお腹を満たすことも可能。

桜の季節には、作業していたらひらひらと花びらが舞い込んできたりもしました。(やらせでも演出でもありません)

景色を変えながら作業できるのは単純に気分が良いものですが、個人的に感じる絶大なるメリットは、やはり『自分だけがいつでも自由に使える作業空間』を手に入れたことです。

それによって得られる大きな効果は2つ。

1.)誰にも邪魔されずに集中して作業できる
2.)プライバシーを守りながら仕事できる

自分の仕事で大きなウエイトを占めるのが『考えること』と『資料作成(チェック)』なので、誰にも邪魔されずに集中できる環境は重要です。また、外部の事業者さんとの『機密情報』を扱っていることも多いため、PCの画面が覗かれたりオンラインの打合せが聞かれる心配の無い空間があることの安心感たるや。

車内での仕事は、想像以上に快適です。

マルチボードは3段階(上段・中段・下段)に設定できたり、後部席を畳んでベンチのように座ったり、そのベンチを下に落として後部の床をフラットにしたり。いろんな組み合わせを試しましたが、次の状態に落ち着きました。

マルチボードは1番高い『上段』にして、後部席はベンチモード。大容量のポータブル電源も積んでいるので、PCやスマホの長時間使用や、外が暗くなった際に使用するLEDランタンのバッテリー切れも心配ありません。

スペーシアベースの公式サイトから画像を拝借すると、このようなスタイルで作業しています。

夏場の暑さ対策としてミニ扇風機も導入しましたが、本格的な暑さには焼け石に水な状態。夜なら窓を開けて扇風機を回せばギリギリいけるかなって感じでしたが、集中して作業したいなら無理せず車でのノマドは諦めて『冷房が効いた屋内』を利用するのが良いです。夏の日中に車内で作業しようものなら、真面目に暑さで死にます。

ただ、猛烈に暑い状況を除けば(目安として気温が25度以下なら)このミニ扇風機があることで快適さが得られることは間違いないです。導入したこと自体は大正解。

Wi-Fi環境はスマホのテザリングを利用しています。大手キャリアの回線なので基本的には問題ないですが、山間部や海の近くだと接続が難しくなる場合があります。こればかりは実際に訪れてみないとわからない。万が一電波の入らない場所だったら、相当に急ぎ対応の作業を抱えていない限り、割り切ってゆっくり過ごすのもアリです。

<余談>

空さえ見えればネットに繋がるスターリンクが気になってはいますが、月額およそ1万円払うほど電波の届かない場所に頻繁に足を運ぶかと言われれば、そこまでガッツリとアウトドアする人間ではないため今は保留。ただ、常に動向は気にしています。上手くハマるタイミングが来たら導入したいです。

気軽な移動オフィス

軽自動車なので取り回りの良さも魅力的。多少の狭い路地でも平気だし、駐車場の選択肢も多いです。燃費も良いし、高速料金も安いし。さらにスペーシアベースは商用車扱いの4ナンバーなので、乗用車と比較して自動車税も安い。商用車扱いだけど車体はスペーシアということで、乗り心地や走り心地も軽快。本当に気軽にあちこち出掛けられます。

この環境を『無拠点オフィス』と命名しました。

その日の予定・天気・気分に応じて移動した先々で仕事ができる。オンラインで打ち合わせもできる。僕が10年以上前から求めていたのは、まさに『無拠点オフィス』だったんだなと、こうして実際に手に入れて強く感じます。

ちなみに、スペーシアベースは『車内で作業できる』だけではありません。もう1つ大きな特徴として『車中泊』ができます。

ぐっすり寝られる車中泊モード

またまたスペーシアベースの公式サイトから画像を拝借すると、このように足を伸ばして横になれます。

これは運転席と助手席の両サイドを利用したフラット空間。ここまでできるに越したことないけれど、準備するのに大幅に手間がかかるのが正直なところ。自分ひとりであれば、助手席側だけの利用で十分です。

車中泊モードにする準備は(オフィシャルの流れだと)こんな感じ。

【1】後部席のベンチを下に落とす

【2】マルチボードを『下段』にセットする

【3】助手席のヘッドレストを外して後ろに倒す

たったこれだけ。ボード側に頭を置いて助手席側に足を伸ばすカタチで、横になって寝転がることができるわけです。ただ、よーく見るとフルフラットではありません。

この矢印の部分に『意外としっかりとした段差』ができてしまいます。

アウトドア用のマットを敷けばそこまで気にはならないけど、このままでは凸凹感は抜け切れず、寝る体制によっては腰や足にぎこちなさを覚えます。

これをどうにかできないものか。試行錯誤の結果、とても良い具合の着地点を見い出せました。

より快適なフラット空間に

【1】助手席の背もたれを、後ろではなく『前』に倒すと簡易デスクとして使用できます。このフラット感を利用します。

【2】後部席は下に落とさずベンチモードにします。(すなわち、仕事する状態からそのままでOK)

マルチボードと助手席はほぼ同じ高さだけど、ベンチの部分が少しだけ低くなってしまいます。

【3】ここを、アウトドア用で購入していたリッジレストのマットで埋めます。

マットの一部をマルチボードの下に噛ませておくのが重要ポイント。

これで、オフィシャルの車中泊モードよりもフラット感が増した状態になりました。

仮眠程度であれば、上半身側に座布団や枕を並べるだけで十分。

厚みのあるアウトドア用マットを敷けば、ガッツリと心地よい睡眠モードに突入して、文字通り『車中泊』できます。

ちなみに、このマットは2箇所のバルブを緩めるだけで自動的に膨らんで、片付けもグルグル巻くだけ。手間が少なくて便利な逸品です。

実際に横になってみるとビックリします。車の中にいるとは思えないレベル。大袈裟ではなく『ベッドの上』です。

バックドアの窓に車用カーテンを付ければ、日中は日除けになるし、夜間は外から覗かれる心配がなくなります。マグネットで止めるタイプなので着脱も簡単。僕はドンキで購入したものを使用してますが、似たような品は100均でも探せば見つかるかも。

寝袋も常備しているため、寒い時には取り出して潜り込みます。幸い、地元である静岡県西部は滅多に雪が降らないほど温暖な地域なので、冬の車中泊もこの寝袋で間に合うとは思いますが、遠出などした先で氷点下を記録すると厳しそうなので、この冬からは『電気毛布』を導入しようと考えています。

それでも大きな問題が残っている

フットワーク軽く移動できる。外の空気を感じつつ景色も変えながら仕事ができる。完全プライベート空間で集中して作業ができる。眠くなったら体を横にして休むことができる。

非の打ち所が無さそうな『無拠点オフィス』ですが、意外と見落としがちな大きな問題が1つ残っています。

それは『トイレが無い』こと。

家やカフェやコワーキングスペースで作業する際には全く気にしなくて良いけど、この『無拠点オフィス』で過ごす際には、予め『利用できるトイレがある場所』を把握しておくことが必須です。

裏を返せば、行きたい時に利用できるトイレさえ確保できていれば、こんなにも快適な仕事環境は無いぞと、胸を張って紹介できます。

小さな車の大きな自由

移動中の風景も楽しみつつ、時間の移り変わりを感じながらのデスクワークは、ノマドワークを模索し始めた頃の自分からすれば相当に贅沢です。

このスタイルはたまたま自分の働き方(理想)には合っているという話で、他の働き方と比較してどっちが優れているというものでも、これを自慢したいという意図でもありません。

こうして「こんな働き方をしている人がいるんだよ」と提示することで、誰かにとっては、仕事をする場所、使う道具、移動の方法などを、自分のライフスタイルに合わせてカスタマイズしようと動き出すきっかけとなるかもしれません。

特に、地元である静岡県西部は製造業の地域であり、労働×時間で給料を頂くという価値観が根強いと感じます。

それも1つの正しい働き方ですが、作業した時間(拘束時間)に対する報酬ではなく、成果物に対する報酬という考え方ももっと浸透すれば『短時間で効率よく働く』だったり『活躍できるための自己鍛錬』だったり『クリエイティブすること』だったりの意識が高まって、全体的な生産性も上がっていくプラス作用が生まれると思っています。

『無拠点オフィス』という存在が、働き方の選択肢を増やす一助になれば嬉しいです。

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