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◆イスラム銀行の歴史的成立過程の調査ジャーナル。ブラジルの地域通貨発行主体、#パルマス銀行 の成功事例


概要

原油高でイスラム金融が急拡大。そこではイスラムの教義に従い、利子を用いない特殊なルールで取引が行われる。イスラム金融の考え方、仕組み、ビジネスの特徴を平易に説き明かす。

目次

第1章 イスラム金融の急成長とその背景
第2章 利子を用いない金融の仕組み
第3章 イスラム金融の歴史地理学
第4章 日本のイスラム金融
    ―グローバル化へのキャッチアップに向けて
第5章 イスラム金融ビジネスに着手する日本企業
    ―東京海上グループの
    イスラム保険(タカフル)事業への取り組み
第6章 イスラム金融の社会的意義

イスラム銀行

マイクロクレジット: microcredit)は、失業者や十分な資金のない起業家、または貧困状態にあり融資可能でない(商業銀行からの融資を受けられない)人々を対象とする非常に少額の融資(ローン、クレジット)である。

これらの人々は担保となるものや安定的な雇用、検証可能な信用情報を持たず、通常のクレジットを利用するための最低条件にさえ達しない。マイクロクレジットは、少額保険、少額送金など少額ファイナンスサービスの一環であるマイクロファイナンスの一部分である。

マイクロクレジットはバングラデシュグラミン銀行が起源と言われている画期的な仕組みである。

グラミン銀行の場合は貧窮のどん底(=絶対的貧困)にある人々(ほとんどは女性)が個人事業に従事し、収入を得て、貧困を脱することを可能にさせ、成功を収めている。 手法の特色としては、

  1. 極少額の返済

  2. グループに対して貸付けし、返済を怠るとグループ全体が連帯責任を負う制度

  3. 定期的返済

などが主な特色である。

近年は最貧国といった開発途上国にとどまらず先進国にも広がっている[1]

女性に関しての意義[編集]

世界中でマイクロクレジットを実施する多くの団体では女性が主な対象となっている。これはおそらく、女性への貸し付けは男性への貸し付けよりも家族全体に恩恵をもたらすことが多いという傾向からきている。また女性に小額貸付の管理をさせ、責任を持たせると社会経済上の地位が向上する。これは女性の地位に肯定的な変化をもたらすとみなされている。しかしながら、本当に女性の地位を政治的および経済的に変える力があるのかについての議論は今も進行中である[2][3]

マイクロクレジット・サミット・キャンペーン[6]から以下の言葉を翻訳して引用する。

12億人が1日1ドル以下で生活している。女性は子供養育に責任を持つことが多く、そのため一般的に女性の貧困は子供の肉体的・社会的な成長を阻害する。経験的に、女性は貸し付けリスクに優れ、収入を家族のために使うということがわかっている。同時に、女性が家庭に収入をもたらすことができれば、家庭内での社会的な地位向上も得ることができる[4]

マイクロクレジットを実施する団体には女性に的を絞ることを明確にしているものも多い。プロ・ムヘルナマステダイレクトの2つの組織は女性を対象とした活動を行っている。国連婦人開発基金エルサルバドルに対してマイクロクレジットを促進した。また、グラミン銀行、元国連事務総長コフィー・アナン、元アメリカ合衆国国務長官ヒラリー・クリントンなどはマイクロクレジットに言及する際には女性に関しての意義を強調している。

パルマス銀行ポルトガル語: Banco Palmas)とは、ブラジルセアラ州の州都フォルタレザ市パルメイラ(Palmeira)地区で1998年より運営されているコミュニティ・バンク。

パルメイラ地区の発祥は、1970年代にさかのぼる。当時同市にはビーチ沿いにいくつかのスラム街があったが、再開発によりこれらスラム街が取り壊され、元住民は内陸部への移転を余儀なくされたが、これがパルメイラ地区である。移転先には水道や道路、電気など基本インフラが整備されておらず、下水道設備もないことからたびたび洪水に悩まされたりした。このような状況を受けて、インフラ整備などを要求したり、あるいは住民自身でインフラを整備したりする住民運動が巻き起こった。この住民運動から「パルメイラ地区住民協会」(Associação dos Moradores do Conjunto Palmeira, ASMOCOMP)という住民団体が1981年に結成されたが、このASMOCOMPがパルマス銀行の母体である。

同銀行は地区内の企業に向けて、ブラジルの法定通貨であるレアルではなく、同地区内でのみ流通する地域通貨パルマで融資を行う。1パルマ=1レアルという固定レートになっているが、これにより会計上煩雑な処理をしなくて済む。また、パルメイラ地区の住民は低所得者層が多いため、大手商業銀行などから融資を受けることが難しく、仮に融資を受けられても非常に高い利率を負担しなければならないが、住民自身が運営を行うパルマス銀行の場合、非常に低い金利で融資を受けることができ、経営上もパルマス銀行からの融資のほうが得であるといえる。これにより数多くの事業が同地区で生まれ、3万人強の人口を擁する同地区で、1000名以上に雇用が生まれている。その他、経済面で信用のおける住民に対してクレジットカードを発給するサービスや、住宅リフォームに対して融資を行うサービスなどもある。

また、オランダに本拠を構え、中南米各地で事業を運営しているNGO・STROと共同で、同銀行はフォメント・プロジェクトと呼ばれるプロジェクトを実践した。このプロジェクトではオランダからのODAで小学校が同地区に建設されたが、地区内の建設会社に対してその代金の一部をレアルではなくパルマスで支払うことで、地区内での資金循環=経済効果を高めることができた。現在3万レアル(約150万円)ほどが地域内で流通しており、融資を通じて3450家族2万名ほどが同銀行のサービスの恩恵を受けている。また、同銀行では6名の有給職員を有しているが、これら有給職員の給与のうち2割はパルマで、そして残りの8割がレアルで支払われている。

2009年時点ブラジルでは同様の事例が47存在し、ベネズエラアルゼンチン、またフランスでも同様の取り組みに対する関心が高まっている。


#アンネの法則の山下安音です。私のライフワークは、平和学研究とピースメディア。VISGOのプロデューサーに就任により、完全成果報酬型の教育コンテンツと電子出版に、専念することになりました。udmyとVISGOへ動画教育コンテンで、世界を変える。SDGs3,4の実現に向けて一歩一歩