米国胸部疾患学会（ATS）国際会議が、1905年に初めて開催されたワシントンDCで、今年5月に開催された。その初期から、学会の焦点は結核から、喘息、慢性閉塞性肺疾患（COPD）、敗血症、肺がん、急性呼吸困難症候群、睡眠時無呼吸症候群などの疾患や状態を含む肺、重症患者、睡眠医学の複数の臨床および研究トピックに拡大している

Walter, Kristin. “COPD Mortality, Goals-of-Care Conversations in Serious Illness, and Ad Vocating for Climate Change Science and Gun Violence Prevention-Highli Ghts From the American Thoracic Society Conference.” JAMA, June 7, 2023, 10.1001/jama.2023.4390 . .

Boyer博士：現在、肺機能検査と、それを人種や民族に基づいてどのように補正しているかを調べる研究がたくさんあり、学会ではその問題について多くの研究が発表されました。また、基調講演を行ったEliseo Pérez-Stable医学博士も、格差の是正によって科学がいかに健康の公平性を促進するかについて語ったので紹介したいと思います。国立衛生研究所（NIH）のマイノリティヘルス・健康格差研究所は、健康格差の研究方法について、私たち全員が基準を用いていることを確認し、NIHはそれを公表して、私たちが健康格差を本当に理解できるように取り組んでいるのだと思う。

Walter博士：ATSでは、今年JAMAに掲載された多くの研究が紹介されましたが、2つは会議と同時に発表されました。1つ目は、「Airway-Occluding Mucus Plugs and Mortality in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease」というタイトルです。この論文について、COPDの理解にどのようにプラスになるのか、お話しいただけますか？

Boyer先生：これは、COPDの患者さんにおいて、大きな気道閉塞性粘液栓が死亡率と相関しているかどうかを調べた研究です。CTスキャンを撮影し、患者さんの粘液栓の数を定量化したところ、粘液栓の数が多い患者さんは、時間の経過とともに死亡率が確実に上昇することがわかりました。
→COPD　中～大サイズ気道閉塞粘液栓：全死亡率と関連｜Makisey (note.com)

しかし、粘液栓が多い患者さんは、粘液栓がない患者さんに比べて、必ずしも症状が悪化していないことがわかりました。つまり、COPDの患者さんに症状が出る前に、予後を予測したり、介入したりするのに役立つスクリーニングツールになり得るかどうかということですね。

Walter博士：この学会で発表された他のJAMA論文は、"Intervention to Promote Communication About Goals of Care for Hospitalized Patients With Serious Illness "というランダム化臨床試験です。これは非常に臨床的に重要なトピックで、この試験と肺・重症患者医療の実践との関連性について、あなたの考えを伺いたいと思いました。

Boyer博士：この研究は、重症患者を担当する医療従事者に、患者とケアの目標について話し合うために使えるツールを送るという、非常にシンプルな介入を用いた興味深いものでした。この研究では、すべての患者さんに対して、ケアの目標について話し合う機会がわずかに増えただけでしたが、実際には、人種や民族が少数派である患者さんには、より大きな効果が見られました。このような研究は、非常にシンプルな介入、つまり臨床医が使用できるツールをメールで送ることで、患者とのコミュニケーション方法にかなり大きな影響を与えることができるということを示すもので、非常に重要だと考えています。

Walter博士：最近、人工知能、デジタルヘルス、ゲノミクスに関心が集まっています。今回の会議では、これらのことが重要なトピックとなったのでしょうか？

Boyer博士:ゲノミクスについては、個別化医療との関連や、疾患に対するゲノムの理解をどのように治療目標に生かすかについて、多くの議論がありました。間質性肺疾患（ILD）からCOPDまで、個別化医療に関連したトピックがありましたね。人工知能については、新しいトピックとして注目されており、今回の会議でもある程度は紹介されていましたが、今後、さらに発展していくと思います。

ウォルター博士：大学院教育は、あなたの職業人生において重要な焦点であると思います。今回の学会で、研修医やフェローを対象とした教育的な側面について、いくつか紹介してもらえますか？

Boyer博士：若いプロフェッショナルを対象としたセッションがかなり多くありました。会議の冒頭では、これからフェローシップに入る研修医、研修中のフェロー、そしてファカルティに移行するフェローのためのセッションがありました。このような若い学習者に向けて、実践的な教育や教訓的な教育を行うことは、この組織の大きな焦点だと思います。

Walter博士：今回の学会で発表された講演やプレゼンテーションの中で、特に注目したいものはありますか？

Dr. Boyer:特に、私たちがまだ話していないようなトピックを扱った基調セッションがいくつかありました。ひとつは、気候変動と健康についてでした。ATSの専門家パネルに、気候変動に関するホットな話題について、特に、気候変動に関わる科学を提唱・促進するためにATSの会員ができることについて、ATS会長と議論してもらいました。また、アドボカシーを通じた銃暴力防止に関する素晴らしいセッションがあり、全米から銃暴力防止を提唱する専門家が集まり、この非常に厄介な分野に取り組むために私たちに何ができるかを会員に話してくれました。
→呼吸器科医のための気候変動注目レビュー｜Makisey (note.com)


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