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蜂蜜に含まれるボツリヌス菌・・・

漢方薬の話しが続きましたので、今日は、細菌の話しをしたいと思います。

先日の便秘薬の「麻子仁丸」の中に蜂蜜が含まれていて、他の生薬を調和させる佐使薬の働きをすると書きました。

今日はこの蜂蜜に含まれる、ボツリヌス菌という細菌についてのお話しです。

皆さんは、蜂蜜はお好きですか?

私は、砂糖の代わりに甘味が欲しいときに、蜂蜜をよく使います。

ただ、この蜂蜜、ボツリヌス菌という細菌が含まれています。もともとボツリヌス菌は土壌細菌で、芽胞の状態で自然界に広く分布しています。そこで、ハチが蜜を集めるときにボツリヌス菌の芽胞を取り込んだときに、蜂蜜に含まれてしまうのです。

ちなみに、芽胞とは、その細菌の周りの環境が自分が生きやすい状態に変わるまで、殻をかぶって何年も籠っている状態のことをいいます。芽胞については、腸内細菌の中にもこの特性を持つ細菌は多く存在し、腸内の細菌の勢力争いに大きな影響を与えています。

仮に、ボツリヌス菌の芽胞を含んだ蜂蜜を摂取すると、休眠状態から覚め増殖が始まります。ただ、胃酸で殺菌されたり、腸内細菌にやられたりと、大人の場合は、健康に影響をあたえることはありません。

ただ、1年未満の乳幼児については、胃酸の殺菌能力が弱く、腸内細菌も豊富ではないため、ボツリヌス菌が大腸で増殖し毒素を生み出す可能性があります。要するにその毒素が原因で食中毒を起こしてしまうのです。生後1年に満たない乳幼児には、蜂蜜を与えないよう注意が必要です。

ボツリヌス菌は嫌気性で増殖するのに酸素を必要としないため、酸素のない大腸で増殖するというわけです。大腸で芽胞の殻を完全に脱ぎすて、悪さをするんでしょうね。

細菌は持つ特性である、嫌気性、好気性については、またコラムでお話ししていければと思います。