NOBORIクラウドストレージの歴史

こんにちは、株式会社NOBORIの百瀬です。
NOBORIではPHR事業開発部に所属しており、主にクラウド全般の設計を担当しています。
又、NOBORIのクラウドストレージの設計も行っています。

今回はNOBORIのクラウドストレージ部分について掘り下げて説明していこうと思います。

NOBORI : クラウドPACSとは

医療機関で撮影された医療画像をクラウドで保管するサービスです。
2012年からサービスを開始し、利用している医療機関は1000施設を超え、
ストレージ容量も二桁ペタバイトを超えたデータを管理しています。
又、データの保管場所は東日本/西日本のデータセンターで冗長構成で管理しています。

NOBORIストレージの基本設計

NOBORIのストレージ管理の基本方針はWrite Once Read Manyです。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/Write_Once_Read_Many

撮影された画像は新規登録のみで、編集などは一切行いません。
この特性によりデータを誤って削除したり改変されてしまう事が起こらない様にしています。
又、この特性はデータの管理が容易です。
NOBORIでは独自の仕組みで遠隔地レプリケーションを実装していますが、基本的には登録されたデータを漏れなく送信するだけで良い仕組みとなっています。

初期ストレージの検討

NOBORIを開始した2012年当時は、現在ほどクラウドサービスが発展していませんでした。
実質的にはAWSのみが選択肢となっているような状況でした。
当時のオブジェクトストレージ(AWS S3)の費用は、取得費用も含めると
GB単価は10円を超えていました。
この価格はサーバ設置を行う従来のオンプレミス型よりもコストが掛かってしまう為、他の方法を検討する必要が当時ありました。

Gluster FSの選択

当時検討した結果、採用したストレージは分散ストレージであるGluster FSを採用しました。
※Gluster FSはオープンソースの分散ストレージの仕組みで、現在はRedhatに買収されてRed Hat Gluster Storageとなっています。

この仕組みにより、オンプレミスよりもコストを下げたクラウドサービスの提供が可能となりました。

規模の拡大

NOBORIのサービス提供から数年経過し、保管容量がペタバイト近くなるとGluster FSでは幾つか問題がありました。
Gluster FSでは、1つのボリュームでストレージを管理する事が難しく、幾つかのボリュームに分割をしてデータを管理していました。
加えてハードウェアのリプレイス時に、保管データの移行作業が必要であった為、運用/保守工数が掛かってしまう課題がありました。
これらの課題を解決する為に新たなストレージを検討しました。

isilonの採用

検討した結果、採用したストレージはDELL EMCのisilonです。
isilonの歴史は古く2000年から販売しているストレージです。
主に放送業界などのメディアでの採用実績が多く、非常に実績のあるストレージです。
肝心のコストは多くの機能を付けると高くなりますが、アーカイブに限定した上で大容量で構築するとGB単価を抑えて構築が可能でした。

isilonでは巨大な1つのボリュームとしてストレージを管理する事が出来、移行作業なども無く運用が可能となります。
又、数年運用していますがトラブルもほぼ無く安定運用出来ています。

グループ会社のテクマトリックスが、昔からisilon製品を扱っており、構築/運用を協力出来ている点も非常に大きいと思っています。
 https://www.techmatrix.co.jp/product/isilon/

今後の容量推移

NOBORIの保管容量は、以下図の様に年々増加傾向にあります。

画像1

利用施設数の増加に伴って、保管するデータ容量は日々増加しています。
現状でも十分に安定運用出来ていますが、将来を見据えて新たな仕組みの
検討を継続しています。
特にクラウドストレージはサービス当初から継続して調査しています。
近年ではAWS/Azure/GCPが競い合いながら発展していますので、期待しながらウォッチしています。

以上NOBORIのストレージの歴史について記載しました。
ストレージは地味ですが、色々な選択肢があり占める費用も大きい為、
NOBORIでは重要なインフラの1つです。

NOBORIではインフラエンジニアを含め技術職を募集しています。
興味のある方は、是非お気軽にメール頂ければと思います!

メール:phr-bdd@nobori.ltd