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非特異的な腰痛の4分類の特徴と評価治療の本質的な考え方!

がっつり腰痛の話をします。

腰痛は複雑性の塊ですよん。

このクライアントさんの理学療法評価もすごく迷いました。多分この過程を文章にして臨床の頭の中を伝えるのがすごくいい勉強になると思います。

いつか話そうかなーって思ってます!

今回は腰痛の基本的な考えを徹底的にやりましょう。


腰痛をグループ化して考える

まずは腰痛の治療のガイドラインをしっかり把握しましょう。

腰痛治療のガイドライン2012より引用

医師が診断するとき基本的にはこれを元に鑑別していきます。

1機能的な腰部障害
2器質的な腰部障害

に分けます。

2はいわゆる画像上わかる明らかな問題。例えば腰椎分離症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などからの神経障害、筋力低下など。このような症状の場合は医師と相談して治療方針を決めましょう。また他にも、内臓由来、血管由来、心因性などの影響もあるので広い目でしっかり評価しましょう。

今回取り上げるのは1。

セラピストがしっかりと見分けて評価治療するのが1の機能的な腰部障害。

ではその腰部障害について深く考えてみよう。



機能的な腰部障害をさらに細かく

☝️この動画は筋・筋膜性については伝えていませんw

1椎間板性
2椎間関節性
3仙腸関節
4筋、筋膜性

この4つに分かれます。どれが原因かは問診と動作からの痛みを分けることで判断していきます。その原因に治療を加えて疼痛が除去できればアタリ。となるわけです。

だから病態の知識と問診と動作分析と治療の4つが必須の技術になります。んまぁ腰痛だけじゃなくて全部だけどw


椎間板性疼痛の評価と治療

評価

椎間板のストレスは基本的に腰椎の屈曲で高まります。なぜなら椎間板内圧が上昇するから。(でも伸展でも痛みが起こることが厄介。)脊柱を屈曲させた時に起こる現象としては

・椎間板→前方の圧縮、後方は伸張
・椎間孔→広がる
・椎間関節→上位椎の下関節突起が上方に移動
・後方軟部組織→後方の靭帯、筋肉、関節包の伸張

が起こります。なので椎間板だけではなく上記の組織にストレスが加わるため、色々な可能性を評価する必要があるのです。

でもシンプルに椎間板性腰痛のポイントは「腰椎の椎間板の前方の圧縮ストレスをどのように減らすか」がポイントになります。

徒手的は評価としては腰椎の棘突起を挙上させて屈曲時の痛みが減るかどうかで判断します。また、骨盤の前傾や腰椎の前弯の誘導、うつ伏せでの痛みの軽減も判断として利用します。

治療

・骨盤前傾を維持させる
・腰椎の前弯を維持させる

根本はこの能力をつけて椎間板の局所的な圧を軽減させれば良いので。骨盤前傾を阻害する因子、腰椎前弯を阻害する因子を取り除くことが治療のポイントになります。

多くは

・ハムストリングのストレッチ
・大臀筋のストレッチ
・股関節外旋筋のストレッチ
・腸腰筋の筋力強化
・多裂筋の筋力強化
・僧帽筋、広背筋、大臀筋の筋力強化

が重要になります。日常生活指導では「腰椎を丸める」ってことをリスクとして教えて、腰椎の伸展・骨盤前傾させることを学習させましょ。

なので椎間板性疼痛に対してはハンドニーのトレーニングはめっちゃ重要です↓↓


椎間関節性疼痛の評価と治療

評価

基本的には伸展型の腰痛がこれに当たることが多い。またまた厄介なのは椎間関節周囲にも痛みを感じる侵害受容器が多い。特に関節包の内側部や辺縁部、関節突起部に多い。さらに椎間関節の支配神経である腰神経後枝内側枝は棘間筋、多裂筋も支配しているため、筋・筋膜性腰痛にも関連します。

MAYFIELDより引用


ちょっとまとめると

<椎間関節性疼痛の複雑性>

椎間関節とその周囲組織に侵害受容器が多い

腰神経後枝内側枝の支配は棘間筋、多裂筋にもある

筋・筋膜性腰痛とも関連してしまう

椎間関節に炎症が起きると腹側の神経根に炎症を起こし神経症状も引き起こす

です。複雑に絡みます。


だから伸展するときに筋・筋膜の問題、仙腸関節の問題も合わせて評価する必要があります。


痛みの圧痛部位からの判断としては

1椎間関節→椎間関節、棘突起に圧痛
2筋・筋膜→最長筋、腸肋筋、多裂筋、腸骨周囲に圧痛
3仙腸関節→PSIS、PIIS、ILA、仙骨周囲に圧痛

徒手的には

1椎間関節→椎間関節を固定して伸展→痛み軽減で椎間関節を疑う
2筋・筋膜→最長筋、腸肋筋、多裂筋、腸骨周囲の筋肉を治療→痛み軽減で筋・筋膜性腰痛を疑う

3仙腸関節→PSIS、PIIS、ILA、仙骨周囲に圧痛→腰椎伸展時に仙腸関節の操作で痛み軽減→仙腸関節を疑う

という風に鑑別を進めていきます


治療

・ストレスのかかる部位を変える(局所的な動きから脊柱全体の動きに変える)

これが根本です。

椎間関節の一部分で動くと椎間関節に負担がかかります。だから動く部位を他の脊柱や股関節、骨盤でしっかりと分散できれば痛みが変わります。もちろん椎間関節だけではなく、筋・筋膜、仙腸関節の場合も同じ。

なので

・股関節前面筋のストレッチ(腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋)
・胸椎の伸展運動
・仙骨のニューテーションを妨げている筋肉の治療
・腹横筋を入れたままの伸展運動の学習(ニュートラルポジション)

になります。

吉田のオススメは圧倒的にピラティスです。

腰椎をニュートラルポジションに保つことで腰椎の過剰な動きを抑えて胸椎優位の伸展や回旋運動を引き起こすことができるから、脊柱の負担を分散することができます。


仙腸関節性疼痛の評価と治療

評価

仙腸関節由来の腰痛の多くはPSIS周囲、腸骨・仙骨周囲、鼠蹊部・臀部に多く出ます。またデルマトームに一致しない下肢症状を伴うことも特徴です。

整形外科テストではGaenslen、compression、FABERE、distraction、thigh thrustのうち3つ以上が陽性の場合を疑い、仙腸関節のブロックで70%以上の疼痛の改善を認めたときに仙腸関節性の腰痛として診断します。

また動作時に仙腸関節を操作したときに腰痛が変わるときはこれを疑いましょう。なので評価は圧痛部位とシンプルに仙腸関節を動かしたときの操作方法、それを妨げる因子を見つければOKデス。

仙腸関節の動きは主にこの2つ

ニューテーションとカウンターニューテーション

この2つの動きを誘導したときに腰の痛みが変わるかどうかを判断しましょう。

ただこれはあくまでも大雑把にしています。

本来であれば

・腸骨
・坐骨
・恥骨
・仙骨

を全て触り分けて3Dでアライメントを評価しましょう。

例えば

・縫工筋はASISを下方に引っ張る
・ハムストリングスは座骨を可能に引っ張る
・腹直筋は恥骨を上方に引っ張る
・長内転筋は下方に恥骨を引っ張る
・大臀筋はPSISを離開方向に引っ張る

などなど。骨盤周囲に付いている筋肉をしっかり覚えると骨盤を3Dで評価できるようになります!

治療

・ニューテーションの誘導をしたときに腰痛が軽くなる→ニューテーションを阻害する因子を取り除く(例えばハムストリングスのタイトネスや腸腰筋の筋力低下)

・カウンターニューテーションの誘導をしたときに腰痛が軽くなる→カウンターニューテーションの阻害する因子を取り除く(例えば腸腰筋のタイトネスや大臀筋の筋力低下)

これが答えです。因子に関してはかなり複雑でたくさんありますw

しっかりと機能解剖を頭に入れて治療しましょう。


筋・筋膜性腰痛

評価

このあたりは最近流行りの「筋膜」ですね。この筋膜は過活動や不活動が原因で炎症が生じると滑走性が低下します。また筋膜自体は痛みを感じるので腰回りの筋膜が硬くなると腰痛として認識されます。deep fasciaまで痛みが波及すると原因部位とは遠い場所にも痛みが生じます(→これが画像上問題ないけど神経症状や痛みが出るときです)

じゃあどうやって評価するか?

圧倒的な触診能力が必要です。

どの部位を触っているかを明確にわかることと硬さや滑走性不全がわかることが大事になります。


治療

評価と治療がほとんど表裏一体ですが。以下の筋肉を触診しましょう。また隣接する筋肉の間を触ることも大事です。動きが悪い、硬い、明らかな圧痛点があればそこを治療して腰痛の軽減があるかどうかの評価をしましょう。

触診する部位
・最長筋
・腸肋骨筋
・多裂筋
・広背筋
・腰方形筋
・大臀筋
・中臀筋

ほんとはこれに筋膜を考慮すると最高ですw

腰痛に対するモーターコントロール

これ必須です。

モーターコントロールとは運動をするために必要な骨格系、筋系、神経系を相互に調整する能力です。

今回紹介した機能的な腰部障害の原因、いづれに関しても腰痛のモーターコントロールは必須です。

ここら辺の文献を参考に↓

吉田はここで思いっきりピラティス使います。

インナーマッスルを使い
胸椎の可動域を広げて
腰椎の安定性を高めて
脊柱の分節的な動きを導き出し
脊柱全体の動きの幅を増やしてくれる


そのためにピラティスを使ってます↓


さらに脊柱について詳しく知りたい人はこちら↓

脊柱・骨盤noteに動画たくさん載せてます


まとめ

問診・動き・理学所見から

1椎間板性
2椎間関節性
3仙腸関節
4筋、筋膜性

この4つのどの腰痛なのかを見極める。そしてそれを1つ1つ仮説検証を進めて評価治療していく。これが複雑な腰痛に対して行う一番の近道です。もちろん知識としてはこれだけでは全然足りませんw


どうでしょうか?腰痛は複雑です。


今回紹介した内容が複合的に絡んでいる場合があります。さらに病期として急性期なのか慢性期なのか、受傷機転が何か、画像所見などの情報もとても大事です。


複雑だからこそシンプルに1つ1つ解決していきましょう。


「腰痛?マッサージでいいっしょ!!」って短絡的な解決方法にならないようにしましょう!!


ではではー!!!!!


ライタープロフィール

吉田直紀

理学療法士・ピラティスインストラクター!代々木・つくばで自費リハビリを展開。その他メディアとして月間10万PV「Reha Rock」、理学療法士のオンラインサロン「Free PT salon」を運営。Physio365編集長。

運営ブログ:Reha Rock
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