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肩甲上腕関節のボール&ソケットの関係。。。


1.英文紹介

Hidekazu Abe, Yoichi Shimada, Nobuyuki Yamamoto, Hiroshi Minagawa. RELATIONSHIP BETWEEN GLENOHUMERAL JOINT STABILITY AND GLENOID DEPTH : A CADAVERIC STUDY. Akita J Med. 2009, 6:53- 57.

2.目的

 肩甲上腕関節の多方向の安定性を測定することならびに高精度レーザーを用いて関節窩の深さを直接測定し、安定性の比との関係を明らかにした。

3.対象と方法

 新鮮凍結肩9例(平均66歳、男性5例、女性4例)。変性している肩関節は除外した。棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、上腕二頭筋長頭、関節包、靭帯を含むすべての軟部組織が肩から除去され、骨格のみとした。
 肩甲骨を剣状突起を残して切断し、測定装置に固定した(下記図)。


このとき関節面の0時と6時の位置が同じになるように、レーザーセンサーを用いて、関節面を床面に対して水平にセットし、テーブルに固定した。肩関節外転45°、外旋35°にセットした。回旋を設定するために、スクリューを上腕骨軸に垂直に挿入し、上腕骨軸と結節間溝を含む平面から10°内旋させた。
 上腕骨頭を関節窩に押し付ける力を表す「圧縮荷重」が50Nになるように力変換器を用いて上腕骨頭を調整した。上腕骨頭の脱臼を引き起こす力である「並進力」は、フォースゲージを用いて測定した。また、レーザーセンサーを用いて関節窩の深さを測定した(下記図)。

 機械的パラメータは、36方向で10度ごとに測定し、先行研究と比較するために4方向で45度ごとに測定し、合計40方向で測定した。パラメータは2回測定し、平均値を採用した。関節窩の深さは8方向で45度ごとに測定した。
 各方向の測定値から安定率を算出した。計算値は、わかりやすくするため、過去の報告に従い、100(%)で表した。

3.結果

 平均安定比を上記図に示す。安定率は前後方向で低く、上下方向で高かった。安定率は、前方90°で27.1±6.5%、後方280°で26.2±7.9%、上方10°で48.3±10.4%、下方180°で52.9±12.5%であった。 

 安定性比と関節窩の深さとの関係では、関節窩の深さが増すにつれて安定性比は増加し、相関係数は0.92(p=0.01)と高い正の相関を示した(上記図)。

 関節窩の深さは前後方向で浅く、上下方向で深く、90°と270°でそれぞれ1.4±0.3mm、0°と180°でそれぞれ3.4±0.9mmと3.3±0.9mmであった(図4)。

4.興味深い点

 今回は、関節唇などの軟部組織は考慮されていないが、肩甲上腕関節(以下:GH)の骨形態の重要性を改めて認識させてくれる論文である。GHが緩い患者の骨形態をレントゲンなどで眺めてみると骨頭に対して関節窩が小さいなど、その患者が骨形態から素因として持っている機能的な部分を把握するためには、大切な予備知識であると思われる。

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