スクリーンショット_2018-08-15_0

【無料note】"サラリーマン2.0"になるための労働者の教科書


総論としては、まとまりはないんですが、各論(テクニック&その裏付け)としては非常に有用な本でした。

大前研一・著
『個人が企業を強くする』−エクセレントパーソンになるための働き方


有用だと思った箇所をトピックとともに紹介していきます。


●21世紀は「人」の時代

冒頭から大前氏は、「エクセレントカンパニー」の時代から「エクセレントパーソン」の時代になった、と指摘します。

組織や技術や資本よりも、「個人」のほうがより強力にレバレッジを効かせることが可能だからというロジックですね。

たしかに世界の時価総額上位のIT企業は組織力や資本力というよりは一人および数人の傑出した才能が引っ張ることで価値を創出してる企業だと言えるかもしれません。

そのような現状分析から導き出される結論の一つは、21世紀は世界的な人材競争がますます激しくなるだろうということである。しかも、その競争においては、名刺も肩書も関係ない。どんな能力を持っているのか、求められる以上の成果を残せるか否かが問われる。

これまでは言われたことをきちんとこなせることでも価値が創出できたが、今じゃプログラミングで十分なのでそれじゃノーバリューってことですね。5人でやってた作業が、1人とAIで代替可能になってくる。となると人材競争が激しくなるのは当然で、かつ、その1人分の椅子に座れるのはクリエイティブでイノベーティブな人材でしょう、ってことです。

●働き方はなんでもいい

逆に言うと、組織に貢献しているなら、どこで何をしていても構わない。温泉旅行に出かけていようが、海外のリゾート地でマリンスポーツに興じていようが、ネットにつながってさえいれば貢献できる。それが21世紀の働き方なのだ。

この本は巷で騒がれている「働き方改革」に対して大前さんなりの「それじゃダメなんだよ」というメッセージだと思います。働き方は個人に委ねればいいのであり、何を目的地にして働くのかを議論し定めることが本当は必要なんでしょう。私はそう思います。だからこそ、どんな価値を創出しているのかを第一義に考えて、仕事を選び、働き方を模索することが重要で、「残業絶対禁止」みたいに先に働き方を定めることは本末転倒な結果を生むことになる気がします。だって面白い仕事はのめり込んでやりたいし、つまらん仕事はサボったり投げ出したくなるわけですから。

●なぜ「語学力」と「リーダーシップ」と「構想力」が重要なのか。てか、そもそもどうやってそれを身につければいいのか。

21世紀に成功してリーダーになるための条件である「語学力」「リーダーシップ」「構想力」は”三位一体”なので一つでも欠けたら意味がないし、子供たち一人一人の能力や学習の進捗状況に応じてテーラーメイドで行わなければならない。

ふわっとしたイメージでこの3つの能力が重要なのはわかるが、じゃあなぜ重要なのか、どうすれば身につくのかを考えると意外と骨が折れる。というか大前氏は

「語学力」「リーダーシップ」「構想力」は”三位一体”なので一つでも欠けたら意味がないし、

と言っているが、3つが揃った人材なんて普通の場所には転がってなくて出逢えば神として崇められるんじゃないかと個人的には思うんだけどね。

●未来の東京の価値

日本は相続税などが高いから、(外国人は)帰化や永住まではしないだろうが、中国をはじめとするアジアの富裕層は「最後は東京」ということになるかもしれない。欧米人の富裕層の多くは「最後はロンドン」と考えるが、アジアにおける東京のポジションは、それに近づいているような気がする。だから、今の東京のミニバブルは当分続くと思う。つまり、1980年代のバブル期とは構造が異なり、財源が日本ではなく海外にあるので、今後もしばらくは枯渇することがないと考えるのだ。

こういう視点の不動産論は意外と新鮮で、つまり東京周辺の地価は今後もアジアの富裕層によって買い支えられるが、それ以外の場所に関しては底が抜けるように下がっていく可能性だってあるってことです。特に外国人に相性のいい東京の街(広尾・六本木・麻布あたり)は今後もっと高騰していくかもしれませんね。

●日本のサラリーマン最強説

商店や飲食店などの自営業はサボれば収入が減ってしまうので、サボれない。また欧米企業のサラリーマンの場合はSOPやジョブスペックが厳格に定められているのため、サボることができない。そう考えると、日本のサラリーマンほど自分の将来に投資する時間を安定的に確保できる稼業はないのである。退社後に居酒屋で同僚や友人と酒を飲んでくだを巻いたり、休日にゴルフをしたり、家でぼんやりとテレビを見たりしている暇があったら、その時間を使って自分のスキルを磨き、ネットワークを広げるべきなのだ。そういうことを今から始めれば、まだ競争相手が少ない”ブルーオーシャン”の中で企業や副業を成功させる機会が溢れているから、努力次第で明るい将来が開けてくるはずだ。


私が複業ラボを立ち上げたのも、独立や起業の前に練習として副業するってめっちゃいいんじゃないの?でも、フツーのサラリーマンだとはじめ方わからないよね?ってとこにあります。大前氏もこの点に着目してましたね。

サラリーマンやってるなら、空いた時間に副業をはじめてみたほうがいいでしょう。失敗しても学びになりますし、儲かれば生産性の向上に投資できます。

というわけでこの本は21世紀の労働者の教科書だと思いました。就職前の人もサラリーマンの人も読む価値はありますよ。これを読んで「サラリーマン2.0」になりましょう。

大前研一著『個人が企業を強くする』



おしまい。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?