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第二話 ウルニャン 本当の強さって?

本当の強さとは?

フェオニャンはライスの店に毎日のように通っていました。
どうやらフェオニャン、あのハーブティーが気に入ったみたいです。

「フェオニャン、ハーブティーの材料がなくなっちゃった。買い物に行ってくれるかな?」
ライスは笑顔でフェオニャンに頼みました。
「あ、飲み過ぎかな?」
フェオニャンは楽しそうに冗談を言いました。
「いや、思っていたより早くなくなっちゃったんだ」
ライスは笑顔で応えました。

「わかった。行ってきます」
フェオニャンはお買い物に出かけました。


シラカバのある公園

フェオニャンが買い物を終わらせて帰る道の途中に気持ちの良い公園があります。
「気持ちいいなぁ。あ、この木はシラカバっていうんだっけ?なんか優しい気持ちになるな。」
そんな独り言を言いながら公園の中を通っていると大きな鳴き声が聞こえてきました。

「うわーん💦」
「ん?」
そこにはわんぱくそうな男の子の猫が大きな声で泣いていました。
「どうしたの?」
「うわーん。。。ヒック。。ヒック。うぅぅ」
なかなか泣き止まないその男の子猫はウルニャンでした。

「ねえ、どうしたの?大丈夫?」
フェオニャンは優しく声をかけますが、ウルニャンはなかなか泣き止みません。
「私の働いているお店、ここの近くなんだけど一緒に行かない?美味しいハーブティー淹れてもらおう」
そう言ってフェオニャンはウルニャンを連れてライスのお店に行きました。

ライスのお店に入るとハーブのほのかな香りがしました。
泣いていたウルニャンが急に泣き止みました。
「いい匂い」
「でしょ?なんか気持ちが楽になるよね。この香り♡」
フェオニャンが誇らしげにウルニャンに話します。

奥からライスが出てきました。
「おかえり。今日は小さなお客様だね。」
ライスの手にはマグカップ。
「今日はカモミールティーをミルクで淹れてみたよ。どうぞ」
ウルニャンはライスからマグカップを受け取って一口飲んでみました。

カモミールミルクティー


「美味しい」
「落ち着いた?」
ライスが優しく聞くと、ウルニャンはコクんと頷きました。

「友達を守ったんだね。でもいじめっ子にやられちゃったかぁ」
「僕が弱いから。。」
ウルニャンがまた泣きそうになりました。
「なんで?ウルニャンは弱くないよ」
ライスの手にはルーン文字がありました。
「これ『ᚢウル』っていうんだけど、ウルニャンと同じ名前だね。」
「え?それ何?」

ライスは優しく微笑みました。
「これは力を表すルーン文字なんだ。でもね、強さって外見だけじゃないんだよ。友達を守ろうとする気持ちや、泣いている友達を励ます勇気も強さなんだ。ウルニャン、君はその力を持ってるんだよ。」

「でも結局やっつけられちゃったよ」

ウルニャンの声には落胆がにじんでいました。

ライスは穏やかな声で言いました。
「それでも大丈夫。強さは一度の出来事だけで決まるものじゃないんだよ。君は友達を守ろうとする優しさや勇気を持っている。それが本当の強さなんだ。」

「本当?」

「本当だよ。強さは時に見えないところにあるんだ。そのルーン文字『ᚢ』は君の名前と同じだけど、君の内にある力を表してるんだ。それは君が思っている以上に大きいんだよ。それにウルニャン、君は自分の弱いところを認めてるじゃないか。それは本当に強い心がないとできない事だよ」

ウルニャンはライスの言葉に耳を傾けていました。彼の目には、少しずつ希望の光が灯り始めているように見えました。

「でも、どうしたらいいんだろう?」
ウルニャンは不安そうに尋ねました。

ライスは優しくウルニャンの肩を軽く叩きました。
「大丈夫だよ。まずは自分を信じることから始めればいいんだ。君の内にある強さを感じてみて。そして、それを使って立ち上がり、次に向かって行くんだ。」

ウルニャンは考え込みました。少しずつ、自分の内に眠る力を感じ始めていました。

「ライスさん、ありがとう。次は、友達を守れるようになりたいんだ。」

ライスは微笑みながらウルニャンに近づきました。「その気持ちが大事だよ。友達を守りたいという気持ちは、君の強さをより一層引き出してくれるんだ。そして、その強さを持って、友達を守ってみせるんだ。」

ウルニャンは自信を取り戻しながら、ライスの言葉に耳を傾けました。彼は自分の中に眠る強さを信じ始めていました。


ウル

ライスはᚢの文字を見せながら静かに続けます。
「ウルニャン、この文字には不思議な力があってね。。」
とライスが言いかけると
「わかった!この文字をアクセサリーとかで身につけたら、力になってくるのね♡」
と少し離れた所で2人の話を聞いていたフェオニャンが嬉しそうに声を上げました。

ライスとウルニャンは、フェオニャンの声に振り返りました。フェオニャンは満面の笑顔です。

「そうだよ。この文字を身につけることで、その力をより身近に感じることができるかもしれないね。」ライスは微笑みながら言いました。

ウルニャンも頷きながら、心に決意を抱きました。「そうだ!この文字を身につけて、友達を守るために、自分の力を信じてみせるんだ!」

フェオニャンも笑顔で返事しました。
「じゃあ、ウルニャンそのスカーフを貸して。私がᚢの刺繍をしてあげる♡」

「いいの?ありがとう」
「ちょっと待っててね」
そう言ってフェオニャンはウルニャンのスカーフを受け取ると刺繍を始めました。

刺繍はあっという間にできました。
「カッコいい♡」
ウルニャンは刺繍のできたスカーフを身につけました。
お店に入った時より背筋を伸ばして堂々と見えます。


ウルニャン


ライスとフェオニャンが声を合わせたように言いました。
「ウルニャン、カッコいいよ」
そう言われて照れてしまうウルニャンと、思わずハモってしまい顔を合わせるライスとフェオニャン。

またライスのお店に笑顔があふれました。


ウルニャンは元気にライスのお店を出て行きました。

「元気になって良かったね」とライスがつぶやいた。

「ねぇ、ライス君、私、ウルニャンがどうして泣いていたか、ウルニャンに教えてもらえなかったのよ。ライス君も聞いてなかったと思うんだけど。。」
不思議そうにフェオニャンが聞きました。

「そうだっけ?」 ライスはカップを片付けながら答えました。

「私の時もそう。あなたは伝える前にわかってた。どうして?」
「いや、そうだっけ?」
ライスは本当に覚えてないような返事をしました。

「誤魔化してるの?何か秘密でもあるの?」
フェオニャンは知りたくて仕方ないのか、ライスの後ろを歩きながら聞いています。

「秘密なら話さないよ。だって話したら秘密にならないじゃん」とライスは笑いながら答えました。

「ライス君、秘密っていつかは明るみに出ちゃうものだよね。でも、それがどんな秘密か、ちょっと気になっちゃうなぁ。」
ライスの前に来てフェオニャンは興味津々って言う顔をしています。

「まぁ。。話せる時が来たら話すよ。じゃあ、お店の鍵閉めておいてね。」
フェオニャンの迫力に負けそうになりつつ、ライスはそれだけ話して出て行ってしまいました。

「教えてくれるつもりはないのね。。。ま、いつか話してくれればいいか。」
そうつぶやきながらお店をあとにするフェオニャンでした。


さぁ、次回はどんな猫さんが登場するかな?
お楽しみに♡

最後まで読んでくれてありがとうございました💓

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