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(アメリカに)留学しなくちゃ 〜4. 留学先、どう選ぶ?〜

ぷにぷにアザラシです。今回は少し趣向を変えて、留学先をどのように考えるべきか、について書きたいと思います。アメリカ以外でも、海外ポスドクを考えている方は参考にして下さい。

※これはアザラシの個人的な意見です。

目次
1. ラボの研究内容を知ろう
2. ラボのPublishを見よう
3. ラボの経済状況を知ろう
4. ラボの人間を知ろう
5. まとめ

1. 研究内容

まず始めに気になるのは、もちろん研究内容でしょう。考え方としては、

・ 今までの研究内容と似たような内容・技術を継続する
・ 研究内容は似ているが、技術を変える
・ 技術は似ているが、研究内容を変える
・ 研究内容を変えて、新しい技術も学ぶ

などがありそうです。
私個人的には、2番目または3番目の、研究内容または技術のどちらかを変える、というのが良いと感じます。
海外でせっかく学ぶ良い機会ですので、今まで日本でやってきたこと = 日本に既にできる研究者が多くいることを海外でも研究するのは、少しもったいないと私は考えます。もちろんそのために日本で少し勉強していかねばならないかも知れませんが、その労力に見合うだけの経験は得られるでしょう。
(ちなみに私は3番目のタイプでした)

4番目のすべてを変える、というのは賭けです。もちろん当たれば良いですが、何もわからない分、研究が進まなくなったときの代替案がかなり思いつきづらいでしょう。海外でずっと研究者を続けるのではなければ、ある程度時間も限られてきますので(例えばJ1ビザなら5年)、与えられた時間の中で成果を出すのは厳しいかも知れません。

2. 業績の確認

私はここをおろそかにしたので、少し失敗したと感じています。ので、しっかり確認して下さい。確認するポイントは、

・ コンスタントに論文が出ているか
・ Nature, ScienceなどBig journalに偏りすぎていないか
・ 論文のFigを見て、違和感はないか(不正がないかの確認)

・コンスタントに論文が出ているか
  これは非常に大事です。特に、「ラボが始まって何年で、何本の論文が出たのか」をしっかりと確認して下さい。もちろん、ラボが始まって始めの3, 4年はほとんど論文が出ていないと思います。しかし、10年程度経っているのにNatureなどトップジャーナル数本だけ、というラボは、少し気をつけた方が良いかも知れません。

・Natureなどに偏りすぎていないか
  これも上の論点と被るのですが、もしも日本に帰って研究を続けたい場合、限られた時間の中でNature級の成果を必ずまとめられるとは限りません。もしかすると、途中でPNASなど、Natureよりも低いランクに論文を出さざるを得なくなることもあります。その時に、ラボのボスがそういうことを許してくれるのか、それは非常に大事です。Natureにしか投稿しないラボもアメリカには山のようにあります。そういうところに留学して5年経って結果が出ない場合、辛いことになるでしょう。ちなみに私はこのおかげで、論文を出すことができませんでした。他の方が現在引き継いでいて、論文にはなりそうなので良いですが、もちろん私を筆頭としては出してくれないので、残念な気持ちもあります。

・論文のFigを見て違和感がないか
  Big nameなラボだからといって、安心してはいけません。ちゃんと隅々まで、変なFigがないかを見て下さい。虚偽データとは必ずしも断言できませんが、いいかげんなデータ管理をしていることは間違いないと思います。私はFig確認で、あるタンパクの機能活性を測る権威のラボを断念しました。そういうラボだと行ってから気付いては、もう遅いです。

3. 経済状況

留学したいラボが見つかって、次に問題になるのはお金の話です。
ここまでたどり着いたら、候補はある程度絞られていると思いますので、ラボのボスに直接メールするというのが一番早いでしょう。またはアメリカの場合、以下のリンクからNIHグラントの取得状況を調べることもできます。

 NIH RePORT: https://projectreporter.nih.gov/reporter.cfm

場所によってはポスドクの最低賃金が決まっているので、お金がなくても雇って欲しい、というのは不可能なこともあります。例えば、日本の奨学金などで留学する場合でも、多くの場合は最低賃金に届いていないので、ラボ側が残りの賃金を補填できるのかどうか、しっかり確認すべきです。

4. 人間性

実際にラボに赴くまでに、最低Skypeで電話などはしておきましょう。もしもそのラボのボスが、日本のどこかの研究室と共同研究をしているのであれば、その人に人柄を聞くのも良い手段だと思います。そしてもしも可能であれば、現地まで一度足を運んで下さい。ラボで生活するとは、ボスと1:1の関係ではないです。同僚のポスドクなど、他の人間もしっかりと知って、安心して海外へ出発することをオススメします。日本人がいない環境とは、初めのうちは想像以上にストレスがかかるので、人間性は軽く見ない方が良いと思います。

5. まとめ

以上、留学する先のラボの選び方について、私なりにまとめてみました。留学は人生で何回もできるものではないので、悔いのないようにしっかりと選んで下さい。うまく選べれば、この先の人生も明るいこと間違いないでしょう!

以上、どなたかの助けになれば幸いです。

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